廃疾かかえて (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 319
レビュー : 39
  • Amazon.co.jp ・本 (177ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101312828

作品紹介・あらすじ

怪し気な女ともだちに多額の金を貸していた同棲相手の秋恵。その人の好さに暴力的な衝動をつのらせていく、身勝手な男・北町貫多を描く表題作。大正期の無頼派作家・藤澤清造の歿後弟子を任ずる金欠の貫多が稀覯雑誌を求め、同行を渋る女と地方へ買い出しに行く「瘡瘢旅行」他、敗残意識と狂的な自己愛に翻弄される男の歪んだ殉情を描く、全く新しい私小説。

感想・レビュー・書評

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  • いずれ罵倒語一覧をつくる。

  • これで西村さんの読んだ本はすべて登録したカナ?
    いつのまにか新しいのがたくさん出てる…

  • 西村賢太の本は、刊行されればどんな内容かは考えず、とりあえず買って読んでみたいのだが、後で感想を求められれば、どの本にどんな内容が書かれていたのか、どうにも思い出せない。ここまで書いてしまえる作者の切迫感(作者が、私淑する藤澤清造を形容する際に用いた言葉は、作者自身の文章にもあてはまるので使う)がすごいんだ、としかいえない。それで十分だと思う。
    また、秋恵を殴るんでしょう?と静観しても、その印象を読後まで持ち続けられない良質な私小説。

  • ここにきて、読者は本当に安堵する。ほらいつもの通り。「廃疾かかえて」「瘡瘢旅行」「膿汁の流れ」等、タイトルにこだわりを感じる。最後の小説が印象深かった。彼女の祖母が病気となって、見舞いに実家に帰ると言うのを、粘着気質に疑いをかけ、無理くりに止めて、彼女がそ彼のその態度を責めるや否や激昂し、喧嘩となる。しかし、自分自身の祖母への愛着を思いだし、反省し、彼女に謝る。ここにきて初めて細やかな公正?をしたかと読者は安堵、否、驚愕させられるも、彼女が実家に戻った途端に、彼女の金を使い込み、女遊びをし、さらに彼女も実家で男と遊んでいるんじゃないかという、全く理由なき疑いをかける始末。ここにきて、読者は本当に安堵する。ほらいつもの通り。

  • 同棲した女との話が中心。
    総てのエピソードを小説にしてしまうんではなかろか?

    解説にもあるようにDV男ならではの「落差」が肝だろう(象徴的なのがこれだけ荒くれ者のどうしようもない男なのに一人称が"ぼく")。

  • 秋恵シリーズだったがDVメインでなく面白かった。
    安定の西村賢太。

  • おもしろいわー。

  • 自分のやりたいように生き、後先を考えない様、まるで幼稚でロクデナシと言える主人公。
    三編の短編、いずれも同棲する女性がおり、よくその女性に好き放題やるのが本作の本質。読んでてウンザリしてしまう為体。起点は同じだが指針が異なるのは面白い。だが、やはり主人公の行動にはウンザリしてしまう。私小説作家の極みここに在り。

  • ヒトデナシっぷりは先に読んだ『小銭をかぞえる』収録の2編よりは和らいでいる感じ。というか、続けて読んだもんで麻痺した。荒んだ風景だが、同時にコミカルな要素も感じられ、どんよりとした暗澹さはあまりないのが救いではある。
    今回は、貫多の身勝手で粗暴な行いよりも、秋恵の許諾してしまう態度に病巣を感じてしまった。
    果たして、秋恵はパート先で知り合った優男のところへ逃げ去った後、幸せな暮らしをしているのだろうか。いやしてない。かなりの確率で殴られ、再び肋を折られ、金をせびられていると思われる。いまも王子のスーパーでレジ打ちのパートを続けたりしないで欲しい、のだが。

  • おもろい。笑った。

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著者プロフィール

1967(昭和42)年7月12日、東京都江戸川区生まれ。中卒。新潮文庫版『根津権現裏』『藤澤清造短篇集』角川文庫版『田中英光傑作選 オリンポスの果実/さようなら他』を編集、校訂、解題。著書に『どうで死ぬ身の一踊り』『暗渠の宿』『二度はゆけぬ町の地図』『小銭をかぞえる』『随筆集 一私小説書きの弁』『人もいない春』『寒灯・腐泥の果実』『西村賢太対話集』『一私小説書きの日乗』(既刊六冊)『棺に跨がる』『形影相弔・歪んだ忌日』『けがれなき酒のへど 西村賢太自薦短篇集』『薄明鬼語 西村賢太対談集』『随筆集 一私小説書きの独語』『やまいだれの歌』『下手に居丈高』『無銭横町』『夢魔去りぬ』『風来鬼語 西村賢太対談集3』『蠕動で渉れ、汚泥の川を』『芝公園六角堂跡』『夜更けの川に落葉は流れて』『藤澤清造追影』などがある。

「2019年 『狼の吐息/愛憎一念 藤澤清造 負の小説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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