軽薄 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2018年8月29日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784101313344

作品紹介・あらすじ

18歳の頃、カナは元恋人に刺されるも一命を取り留めた。29歳の今、仕事も夫と幼い息子との家庭も充実しているが、空虚な傷跡は残ったままだ。その頃、米国から姉一家が帰国しカナは甥の弘斗と再会。19歳になった彼に激しい愛情を寄せられ、一線を越えてしまう。カナに妄執する弘斗は危うげで、そしてある過去を隠していた──。二人を繋いでしまった、それぞれの罪と罰。喪失と再生の純愛小説。

感想・レビュー・書評

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  • 『軽 薄』



    お久しぶりです♪ 金原ひとみ さん♡


    この作品を読む前は…

    タイトルが『軽薄』だもん
    誠実さなんて皆無で ただただ軽い
    ちょっぴり【ちゃらんぽらん】を添えた
    そんな 主人公のお話かと思っていたの



    裏表紙に書かれている「あらすじ」には


    18歳の頃、カナは元恋人に刺されるも一命を取り留めた。29歳の今、仕事も夫と幼い息子との家庭も充実しているが、空虚な傷跡は残ったままだ。その頃、米国から姉一家が帰国しカナは甥の弘斗と再会。19歳になった彼に激しい愛情を寄せられ、一線を超えてしまう。カナに妄執する弘斗は危うげで、そしてある過去を隠していたーー。
    二人を繋いでしまった、それぞれの罪と罰。
    喪失と再生の純愛小説。


    こう書かれていたんです
    〈えっ、ちゃうやん…全然 ちゃうやん……〉


    そうですよね♡
    ちょっぴり安心?して読み始めました
    金原さん 12番目の作品


    甥と関係を持つカナ…
    甥と不倫って
    普通に考えられないでしょう?
    だから この作品に嫌悪感を抱く人も
    多いかもしれない
    でも、繊細で流れるような金原さんの文章に
    ドキドキさせられてしまう


    甥との会話の中で…
    旦那と息子を失っても、感情は動かないのか?という問いに

    「それは、世界が変わるよ。泣き暮すと思う。もし俊を助けられるなら死んでもいいと思う。でも、二人が死んでも後を追おうとは思わないと思う。苦しみながら、私はまた日常に戻っていくと思う。でも弘斗だって、両親が同時に死んだとしても、後追いをしようとは思わないよね?」

    「そうだね。カナさんが心中を持ちかけてきたら考えるだろうけど」

    やめてよと苦笑すると、本気だよと弘斗も 笑った。


    …という 場面があるのだけど
    ゾクゾクしちゃったの
    溜息しかでない
    「喪失と再生の純愛小説」
    本当…言い得て妙だわ♡♡


    不思議なんだけど…
    金原さんを読み続けていると
    お腹いっぱい になって
    「ちょっと お休みしようかしら♪」
    に なるんだけど 休んだら休んだで
    我慢できなくなるくらいに
    読みたくなってしまう

    そして "どっぷり"と余韻に浸るの♡



    • bmakiさん
      私はまだ一冊も読んだことがないのですが、長編好きで、短編嫌いの私に合いそうな金原さんの小説ありますか??

      何か一冊読んでみたいのですが...
      私はまだ一冊も読んだことがないのですが、長編好きで、短編嫌いの私に合いそうな金原さんの小説ありますか??

      何か一冊読んでみたいのですが、最初の一冊が決まらないのです。。。
      2025/09/23
    • bmakiさん
      あ゛っ!!
      私エロいのも苦手でした。。。
      そしたら読めるのないかしら。。。(゚o゚;;
      あ゛っ!!
      私エロいのも苦手でした。。。
      そしたら読めるのないかしら。。。(゚o゚;;
      2025/09/23
    • ともちんさん
      まきちゃーん♡

      お疲れ様(((o(*゚▽゚*)o)))
      金原ひとみ…私が読んだ中でだったら
      ズバリ『マザーズ』じゃないかしら?
      600頁ち...
      まきちゃーん♡

      お疲れ様(((o(*゚▽゚*)o)))
      金原ひとみ…私が読んだ中でだったら
      ズバリ『マザーズ』じゃないかしら?
      600頁ちょいあるし…
      あんまりエロくないですよ♡

      文章が綺麗で
      サラ〜ッとね 流れる文体が心地いいです。
      でも、こればっかりは好みだから…
      あと、『ヤブノナカ』も良さそう♡
      私は はやく 『デクリネゾン』を読みたいです
      (((o(*゚▽゚*)o)))
      2025/09/23
  • 救いがないと思った。
    頭を鈍器で殴られたようなショックを受けた。

    たとえ、自らの軽薄さが招いた事態だとしても、カナがなぜここまで弘斗に寄り添うのか?
    ここまで全てを失わなければならないのか?

    ひどく気分が落ち込んだ。

    が、しかし…
    愛があるなら、この結末はありなのか。

    金原さん、すごいな。
    圧倒的に心を揺さぶってくる。
    キレキレで「ぼーっと生きてんじゃねぇよ。お前生温いよ」って、説教されている気分です。




    ・叔姪婚(しゅくてつこん)って言葉を初めて知った。日本では叔母と甥は結婚できない…って知らなかった。従兄弟同士は結婚できるのに。

    ー 人生とはただの暇つぶしでしかなく、人が生まれてから死ぬまでにする全ての事が暇つぶしであるという事実から目を逸らすための現実逃避の手段が、人生に意味や目標を見いだすという行為なのではないかと思ってしまう。

    ー 小説などで目にした事のある行為、母親が乳幼児の性器を口に含むといった行為
    ←この小説って、コインロッカー・ベイビーズ(村上龍)の出だしだ!高校生の時読んで衝撃的だったから覚えている。
    やっぱり金原さんは龍さんの影響受けているよね。

    ー 結局、不倫なんてヤレる状況でヤリたいと思ったら最後、ヤルしかないのだ。そしてヤッたが最後、よっぽど状況が大きく変わったり、周囲にばれたりしない限り、だらだらとヤリ続けるしかないのだ。
    ←すごいリアル。そんなものなんだろうね。
    若いひとは受け入れたくないかもしれないけど。

    • たけさん
      naonaonao16gさん、おはようございます!
      一晩寝て回復できましたよ。
      ご心配おかけしました。

      金原さんの小説は、とても鋭利な刃物...
      naonaonao16gさん、おはようございます!
      一晩寝て回復できましたよ。
      ご心配おかけしました。

      金原さんの小説は、とても鋭利な刃物のようで、まるで自分がカナのように背中を刺された痛みを感じてしまう。
      「軽薄」さの意味とか深く考えてしまって、なんとなく落ち込んでしまいました。
      2021/02/22
    • naonaonao16gさん
      おはようございます!

      回復されましたか~
      よかったです!

      鋭利な刃物、わかる気がします。言葉がぐさぐさと刺さってくるような。

      この作品...
      おはようございます!

      回復されましたか~
      よかったです!

      鋭利な刃物、わかる気がします。言葉がぐさぐさと刺さってくるような。

      この作品の「軽薄さ」、わたしが知っている言葉の軽薄とは少し違っていたような気がしました。
      何でしょうね、軽薄って。ネガティブなイメージが強いですが、でも多少の軽薄さもないと生きていくこともできないような。

      うーん、もう一度読みたくなってきました!
      2021/02/22
    • たけさん
      そうですね。
      恋愛には誠実さを求めてしまうものですが、一方で相手の軽薄さ(あるいは、そのフリ)によって救われることがあるのも事実ですしね。
      ...
      そうですね。
      恋愛には誠実さを求めてしまうものですが、一方で相手の軽薄さ(あるいは、そのフリ)によって救われることがあるのも事実ですしね。

      僕もショックがさめたら、もう一度読んでみたい、と思いました。
      2021/02/22
  • 金原さんが学生の頃、受賞した頃から作品を読んでいて。
    今風の言い方をすれば、かなりクセの強い作家さんだなーという印象を持って、その後に出される作品も、かなり人を選ぶ作品だよなーと思っていたけれど、「マザーズ」あたりから、彼女特有の世界観を大切にしながらも、より多くの人に受け入れられる作品が増えてきたんじゃないかと思う。読者である自分の変化もあるかもしれないけれど、金原さん自身が、結婚して子どもを持ったことが大きいんじゃないかな。
    この作品は、文体もまどろっこしくなくて、読みやすくなったように感じたし、そのためか、生きるということに対する彼女なりの価値観が、理解できたかどうかは別として、ひしひしと伝わってきました。

    作品の背景には、高校時代の同棲相手がずーっといて、解説ではそれを「毒」と表現してます。わたしは、解説の「毒」とはもう少し異なるものを「毒」と捉えていて。それを説明すると、以下のような感じになります。
    この本のタイトルになっている軽薄さ、それが彼女の人間性であって、けれどそれがストーカーによって形成されたものなのか、生まれつきのものなのか、そこまで深くは言及されていません。
    おそらく、ストーカー事件以前に、ストーカー気質の男性を愛してしまうという、彼女の中にある根深さが、本当の「毒」なのではないかと思います。
    きっと誰もが持っているその毒を、どう処理していくのか。彼女はいったん、結婚という方法で解毒しようとしたけれど、結局それは封印にしかなっていなくて、封印はきっと、大切に取って置いてるのと変わらないのだろう。これからは、弘斗がきっと、解毒してくれるだろう。いや、中和かな?個人的には、心の穴を埋める(=この作品で言うと解毒)なんてことは不可能だと思っているので、彼女に巣食っていたその毒を少しでもなくしてあげること(=中和)が、現在の彼女の救いになる気がしました。

    • たけさん
      naonaonao16gさん、読みましたよ!
      読み終わったあとnaonaonao16gさんのレビュー読んで、なるほど!と深く頷かされました。...
      naonaonao16gさん、読みましたよ!
      読み終わったあとnaonaonao16gさんのレビュー読んで、なるほど!と深く頷かされました。

      個人的には読み終わって自分の中の何かに引っかかって気分が落ち込みましたが、作品の評価は高いです。
      おすすめしてくれて感謝です!
      2021/02/21
  • 私は誰も愛していない夫も彼も__
    心に開いた穴を埋めるため、許されざる恋をした。
    お互いの感情が静かに強く摩擦し合い、文章から伝わるヒリヒリ感に読む手止まらずでした。
    この狂気を殺意をそして愛を野放しにしてはならない。

  • 今まで読んだ金原ひとみさんの作品は、言葉のチョイスや会話が破天荒で振り切れてるイメージがあったけど、今作は雰囲気がちょっと違う。
    甥との不倫なんて重いテーマだけど、恋愛小説というよりはカナの人生観もろもろの変化や気付きについてといった感じ。
    単純に子供がほっとかれていて可哀想だったな。

  • 作者を衝き動かす根幹は何なんだろう?

  • 文字通り"軽薄"な女性の物語です。
    何もかも自分の都合の良いように考えて行動する。
    これ以上無いぐらい書名にマッチした主人公でした。

  • 「失えるものの数だけ、人は魅力を携えるのかもしれない」人の魅力はその人が失えるものの数に比例する?前に読んだ『死ぬこと以外かすり傷』を思い出した。

  • 私は本に希望も未来も愛も勇気も求めていなくて、ただただ現実から引き離してほしくて、たまに芯を食った言葉を聞かせてくれたらいいと思っていて、これはまさにそういう本だった。

    主人公の世界が狭くて、作品の世界に閉じ込められる感覚が強かった。現実世界の思想が入り込む隙を与えない。あ〜好き。

  • タイトルの「軽薄」が何を表しているのか気になりながら読み進めた。
    意味は意外にも中盤で、主人公カナの告白により明らかになる。
    カナの生い立ちや結婚の経緯、甥である弘斗との関係。それらには一切共感できないのに、物語の中で触れられる小さなエピソードとそれに対するカナの感覚にはいちいち頷けてしまい、この「軽薄」の意味を知って、秘密を暴かれたような居心地の悪さを感じた。
    しかも「マザーズ」から続けざまに読んだせいか、カナの母親の部分に拘って読んでしまった。

  • 過去のトラウマから理性的だった恋愛観が、段々とタガが外れていく小説。
    一生懸命取り繕っていた体裁を、あれよこれよと剝がしていき、最後は本能一択で結末を迎えます。
    本能で突き進めばそりゃそういう最後になるだろうな、と失笑してしまうような最後でした。
    これだけ正直に生きられたらある意味幸せで、羨ましいなと思いました。
    なんだかんだで相思相愛ってましたからね。

  • なかなか読み終わることができず、2時に一気読みをした。以前の彼がしたことと、弘斗がしたことを許せてしまうほどカナは愛していたのかと思った。

  • 愛とは何か。
    人生に感じる違和感は何か。
    この難しい問いに対して全精力を投下し書き上げた作品なのだろう。
    ページをめくる手が止まってくれなかった。
    血縁関係の恋愛は世界が定めた倫理に反する。
    それを乗り越え止められないのが愛なのか……。
    考えるきっかけを与えて貰った。いい出会いだった。


  • 私の中でうまく噛み砕けない部分も多かったのですが、読み終わったあとに、タイトルの「軽薄」という文字を読んで、えもいえぬ気分になりました。ですが、「何者かでいなければならない、という焦燥感(意訳)」には、とても共感できました。「何者」かにならなければ、自分に価値がないと思ってしまう。けれどその何者は、自分にとって何なのか。そういった面を考えさせられました。


  • はじめての金原ひとみ。

    様々境遇が異なり、年は30歳と近いのに主人公カナには共感し難い部分が多かった。酒、男、薬がアイデンテティの柱。10代からそういうものに触れ、19で男に刺され、その後海外に渡り、才能が花開き仕事も成熟。稼げるまともな男と結婚し家庭を築く。ここまででも情報の洪水なのに、8歳の息子を抱えながら、10歳下の甥と不倫。あまりに私にとっては非現実的で入りこめない。

    しかし、この物語の本質はそういった主人公の波乱万丈なアレコレについてではない。言葉にしてしまうと、イメージやネタ性が先回って情報洪水を起こすし、実際にも読みながら戸惑い、混乱していたが。
    あとがきを読んで、それまで続いたモヤモヤがスッと消化され始めた気がした。カナは他人からは理解され難い、違う世界、つまり海底を生きていたのだ。たぶん、誰かに心から愛されたい、それ以上に、誰かを心から愛したい。しかし過去の傷や、地上でのしがらみ、モラルなどから、なかなか人と本気で向き合えない、愛せない。身体的な性愛によってやっと呼吸をする。常識がないから、ビッチだから、タブーを犯した女だから、と曇ったメガネ越しに彼女を軽蔑することは簡単だが、この境遇でしか発達し得ない彼女の思考に一度寄り添ってみると面白い。
    同様のテーマの他の小説と異なる部分は、カナには度胸があり、強い意思を持って、愛を貫こうとする姿勢に見られるのではないかと思った。つまり、ただもののメンヘラではないのだ。

    刺す男はおかしいし、刺される女もおかしい。だけどそこには彼らなりの関係性、秩序があり、一般常識では理解し難いストーリーがある。刺されるべくして刺される。精神的異常では片付けられない。


    また、男性の持つ執着性、暴力性、それらは犯罪として明るみにでることで他人の注目を集めるが、実際には多くの世のカップルにいびつな関係性をもたらしているのかもしれない。

  • アメリカから帰国し久々に会った10歳下の甥っ子に求められ始まった関係。背徳的で魅力的。10歳下の男というだけじゃなくて、甥っ子ってところに背徳感が満ち満ちる。その背徳が蜜の味で、そんな描写のところばかりを読んでいた気がする。会話がダラダラ続くこともなく、三人称で描写がしっかり書かれているちゃんとした小説。
    主人公には息子もいて、そこかしこに叔母や息子をもつ母の心情が描かれていたりして、そこがまたムードをあおる。それだけでも十分だと思うけど、甥っ子には実は影があり……。
    「軽薄」とは何をいっているのだろう。どことなく何事にも一枚膜を隔てているような主人公のスタンスをいうのか、それとも社会のモラルや何となくステレオタイプに反応してしまう一般的なものに対して軽薄ということじゃないかと思った。後者だとしたら、そういう軽薄はそれでいい。そういったものへのなじまなさが二人を近づけたようにも思う。

  • 29歳のカナと19歳の甥との不倫の物語。

    カナは過去に恋人にストーカーされ刺されている。一方甥は、過去に想いを寄せていた人に暴力事件を起こしていた。(甥の出来事については終盤で明かされる)

    被害者と加害者という立場で表すなら、被害者凹、加害者凸という感じであろう。 「何か、心にぽっかり穴が開いている感じがするの。だからそれを埋められるような何かが欲しいかな」

    こう、カナは甥に対して話していた。

    甥は暴力事件に関して、なぜ殺そうと思ったのかと問われれば、「そうしなきゃいけなかったんだ」「カナさんも、刺されなきゃいけなかったんでしょ」とお互いに過去の出来事に必然性を感じているのだと思った。(ここの引用は甥の発言のみであるが)

    カナはある時期から自発的な感情を持たずに生きていた。
    友達からは「あらゆるものに支配的に関わっているように見えるよ。」と言われている。
    支配するということは、少し高みにいるのではないだろうか。高みにいれば、自分の感情を揺さぶられることはないだろう。

    あらゆるものに支配的というのは、あらゆるものに対等に向き合っていないとも捉えられると思う。

    向き合わない軽薄さの上に築きあげた日常や人間関係で上手くやりすごしていたが、甥の登場で軽薄という根底と向き合うこととなった。

    終盤で小学校低学年の頃の夏祭りの回想が入る。
    甥が風鈴をプレゼントしてくれたときに、夏祭りで心惹かれた風鈴を何故か両親に欲しいと言い出せなかったという過去を思い出したのだ。
    「あの風鈴を手に入れられなかったあの夜からずっと、何かを喪失し続けてきたのかもしれない。」と語る。

    風鈴に関してはあの夏祭り以来欲しいと思うことがなく、プレゼントされたことにより急に思い出されたため、甥が時を超えてプレゼントをしてくれたと考えるのはすこし薄っぺらい気もするが。

    欲しいという欲求は自発的な感情であり、その感情を時を超えて満たしてくれる人が現れたと考えるとおもしろいなと思った。

  • 感性豊かだからこそ感じてしまう不幸せと、狭い視野や了見の中で鈍感な幸せのどちらが人生豊かと言えるか。
    題名通り軽薄なのは主人公なのかそれとも平凡な我々なのか?読者に対するアンチテーゼを投げかけているようにさえ思えた。
    官能小説のような表現が強すぎ。そんな必要があったのかちょっと違和感を覚えるが…

  • 当たり前になった人生から道をそれたくなる。それを望んでいたのかといえばそうとも言えない。「軽薄」という言葉が表現しようのない渇望の力学を表現していて、ずっしりと重く響く。

  • 金原ひとみさんばかり読んでしまう。
    こんな作品も書けるんだ!
    これまでに読んだ2作品ほどグロくないし、すごく好き。

    歳をとるとそつなくこなせることが増えるから傲慢になるけれど、本当はできることは限られていて、その限られた中で何が1番大切か考えなくちゃいけない。と気づける人は自由になれるのかも。
    子供の頃できていたのだから、きっと私たちにもできる。
    結婚してようがしてまいが、30近い女は反省ばかりしてるんですね。

    自分のことが客観的に見えているくせに感情に流される人たちを見るのが気持ちよくて気持ち悪くて癖になる。
    最初に読んだのが憂鬱たち、だからはまったのかも。
    憂鬱を気怠げでかっこいい音楽に昇華するビリーアイリッシュやチリビーンズのように好きになってしまった。

    どの作品の主人公たちもみんな真面目で勤勉で、努力の方向性が間違っていてもがむしゃらに走り続けるから苦しんでいる。大体の人はここまで頑張れないから正気を保っていられるんじゃなかろうか。

    金原さんは恋愛の描き方も独特で、少女漫画くらい夢見がちかと思いきや、昔のフィールヤングより病んでいて、全部刹那的で永遠なんて存在しない。
    他人の恋愛はうまくいくかいかないかの2択でどうでもいいのでこれまで読まなかったのだけど、執着が愛に変わる時、それはもともと自分の中にあったんだと気づく爽やかさがすごく好きでもっと読みたくなった。

    自分の価値観を信じて間違えたから世間の価値観に合わせていたけれど、やっぱり素直に生きるしかないのだ。本当に素直になればきっとうまくいく。だって世間の価値観に合わせているうちに大切なものを失くすかもしれないでしょう?そんなことに気付ければこの世はきっと楽園に変わる。

    無くしたものより欲しいものより今持っているものをいかに愛せるか。
    執着を手放し自由になれそう。

    カナが他の主人公たちと違ったのは体が健康だったこと。だから体と心の声がちゃんと聞こえたのかも。だって拒食症や蕁麻疹に苦しんでいる時に正常な判断ができるわけない。

    憂鬱な人は常に最悪の事態を想定しているから雑でいられる海外暮らしと相性がいいんだろうな。可能性を排除して諦めるしかないから自由になれる。

    サリンジャーはいつか無くしてしまう子供の純粋さを讃えていたから、8歳の子供に対してまだこんなものか、という表現にどきっとした。
    カナの感情はカナだけのもので、誰にも文句言う権利はないし、秘密を守る権利があるけれど。
    家族だから気が合うとは限らない、という至極当然のことを日本人は見ないふりをするから怖い。

    『好きではないし、行きたいとも思わない。でも 行ってしまえばすぐ馴染む。でもここに居続けるには、常にルールを厳守する必要がある』

    カナが感じているのは憂鬱ではなく苛立ちだ。
    世間の期待に応え続けているのに世間は心を満たしてくれない苛立ち。こんなに頑張っているんだからもっと満たされるべきなのに、が拭えない。
    日本で暮らすことの違和感や息苦しさ、
    海外で暮らすことの自由や不安の表現が上手で、わかる、と思う。

    でもコミュニティの中の人間を平等に扱うために他者を排除する時代にはいったので、やっぱり楽な逃げ道は簡単に使えない。抱えすぎているものを手放して不自由になる、ことが同じなのかもしれない。私はもう、一人で憂鬱でいることに疲れたのだ。

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著者プロフィール

1983年東京都生まれ。2003年に『蛇にピアス』ですばる文学賞を受賞しデビュー。翌年同作で芥川賞を受賞。10年『TRIP TRAP』で織田作之助賞、12年『マザーズ』でBunkamuraドゥマゴ文学賞、20年『アタラクシア』で渡辺淳一文学賞、21年『アンソーシャル ディスタンス』で谷崎潤一郎賞、22年『ミーツ・ザ・ワールド』で柴田錬三郎賞を受賞。他の著書に『AMEBIC』、『オートフィクション』、『fishy』、『パリの砂漠、東京の蜃気楼』、『デクリネゾン』、『腹を空かせた勇者ども』、『ナチュラルボーンチキン』『YABUNONAKA -ヤブノナカ-』など。

「2025年 『マザーアウトロウ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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