あなたの呼吸が止まるまで (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.17
  • (9)
  • (50)
  • (68)
  • (27)
  • (7)
本棚登録 : 534
レビュー : 62
  • Amazon.co.jp ・本 (170ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101314822

作品紹介・あらすじ

舞踏家の父と暮らす朔は、物語を書くのが好きな十二歳。クラスの中で浮いた存在になることを恐れつつも、気の強い鹿山さんとの友情を深め、優しい田島君への憧れを抱きながら、少しずつ大人に近づいていた。だが、そんな朔の日常を突然切り裂くできごとが起こり-。私はきっと、なんらかの方法で戦わなくてはいけない。唐突に子供時代を終わらせられた少女が決意した復讐のかたちとは。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 初めの頃から佐倉さんの言動は若干おかしかったけど、それでも恋に発展してくのかと思ってた。…とんでもなかった。
    朔が感じている嫌悪感がこちらにも強く伝わってきて、気持ち悪くなった。島本さんって、本当にこういう文章を書くのがお上手ですね。
    田島君に対する恋心なんかもちょっと痛いくらいに胸に響いてきたし、素敵な文章がたくさん。
    面白いと言うのとは少し違うけど、好きだと思える小説でした。

  • 本当の話かと思った。本当の話だと信じてしまっている。
    そんなお話。
    子どもには禁断だよ。

  • 12歳の不安定な少女の感受性の高さに、気持ちが悪くなるくらい共感しました。朔ちゃんは、本当はだれよりも大人で誰よりも甘えたくて、小説家を目指す彼女が感じたままの風景や物事に対する描写がありのまま伝わってくるこの文体は、すごく考えられていると思います。
    佐倉さんの右手の親指には絆創膏が巻いてあって、そのフチがかすかに汚れていることに気付いた瞬間の朔ちゃんが吐き気を感じるシーンは、読んでいる私にも同じように胃からこみ上げてくるものを感じ、強すぎる衝撃で、この一文でこの小説のことを畏怖してしまうような気持ちになりました。不安感や不安定ななにか、に対して立ち向かうあまりに強い12歳に脱帽です。生理がはじめてきたあとのいいしれない不安感や不信感、心のモヤモヤをもって早口に喋るシーンにもすごく感情移入しました。一言で説明できない事象に対しての事件がぴったりで、納得させられます。「そんな彼を見ていると、体を支えていた骨さえも溶けて柔らかくなっていく気がしました。そんなふうにゆるく弱くなっていく自分が、なぜか不思議と、愛しくもありました。」この文章が、なによりも恋に落ちた瞬間を表しているんじゃないかと、一番大好きな場面です。島本さんの本を他にも読んでみたいと思いました。

  • 子供でも大人でもないひとの不安感がよく表れているとおもった。年齢と辛い経験の量が比例するとは簡単には言えないけど、でも確かにそれに近いものはあって、たとえば辛い経験が少なくても、こねくり返すうちに腐ってしまったりして、つまり、思春期というのは、つらい。12歳のつらいことの生ぬるさを感じながらそれよりも年をとったわたしを重ねてそんなことを思った。思春期はきらきらしている時期だと扱われることがあるけどわたしはそうは思わない。大人でも子供でもない。でも大人でも子供でもある扱いを受ける。なにもわからないまま、容れ物や定義だけが成長していく。そんな感じ。
    主人公の朔目線で物語は進んでいくのだけれど、はじめの方は せんせいあのね のような単純で乾いた語り方だったのに比べ、朔につらいことが起こってから、描写が精巧になっているような気がした。美しいものは苦しみを孕んでいないと輝かないのかもしれないとなんとなくおもった。

  • たとえば主人公、朔の田島くんへの淡い恋愛模様。
    子猫を二人で拾ってぱんださん、と名付けてかうものの親に見つかり勝手に捨ててしまう彼に幻滅したり。
    クラスメイトにはやされても毅然とした態度の彼
    見て、恋心が戻ったり。

    たとえば朔と鹿山さんの友情。年齢よりもかなり大人びた鹿山さんの、さばさばしている態度。
    嫌いなものが多い鹿山さんが、朔と友達になりたいと思ったきっかけのエピソード。

    のように、みどころはあるはずなのに、ただひたすらに佐倉さんの変貌をとげる姿が気持ち悪かった。
    あんた、いい人だと思ったのに!という裏切られたようなこの感じ。

    ナラタージュの、小野くんに似たがっかり度。

    まともなようで、少しずつ変わってゆく。もしくはもともと持っていた姿をだんだん見せる。
    その光景は毎度ながら圧巻。

  • mission complete.

  • 周りの環境のせいもあって、少し大人になることを強制された少女。島本先生の心の葛藤の描写が好き。

  • 特殊な家庭環境により大人と子供の狭間をいきる朔。どこか客観視している文体から朔には大人びている印象を持った。それは読んでいて周りの大人が子供に見えてしまうほど。無知、というものはとても怖い。丁寧に綴られた中に眠る不安感。12歳の少女の話を読んでいるはずなのに、まるで大人の話を読んでいるかのようだった。ふとした瞬間に現れる朔の子供らしい面に思わずほっとした。大人になりたい、と思う反面まだ子供でいたい不安定な年齢だからこそ醸し出せる不安定な雰囲気…定期的に読みたくなる1冊。

  • 娘がこんな思いをしたらどうしよう

  • 絆創膏を貼った指への唐突な嫌悪感

全62件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

島本 理生(しまもと りお)
1983年東京都板橋区生まれ。都立新宿山吹高等学校に在学中の2001年に「シルエット」で、第44回群像新人文学賞の優秀作を受賞し、デビュー。06年立教大学文学部日本文学科中退。小学生のころから小説を書き始め、1998年15歳で「ヨル」が『鳩よ!』掌編小説コンクール第2期10月号に当選、年間MVPを受賞。2003年『リトル・バイ・リトル』で第128回芥川賞候補、第25回野間文芸新人賞受賞(同賞史上最年少受賞)。2004年『生まれる森』が第130回芥川賞候補。2005年『ナラタージュ』が第18回山本周五郎賞候補。同作品は2005年『この恋愛小説がすごい! 2006年版』第1位、「本の雑誌が選ぶ上半期ベスト10」第1位、本屋大賞第6位。2006年『大きな熊が来る前に、おやすみ。』が第135回芥川賞候補。2007年『Birthday』第33回川端康成文学賞候補。2011年『アンダスタンド・メイビー』第145回直木賞候補。2015年『Red』で第21回島清恋愛文学賞受賞、『夏の裁断』で第153回芥川賞候補。『ファーストラヴ』で2回目の直木賞ノミネート、受賞に至る。

あなたの呼吸が止まるまで (新潮文庫)のその他の作品

島本理生の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
村上 春樹
島本 理生
有効な右矢印 無効な右矢印

あなたの呼吸が止まるまで (新潮文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする