夏の庭 The Friends (新潮文庫)

  • 新潮社 (1994年3月1日発売)
3.85
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  • 本 ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101315119

感想・レビュー・書評

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  • 中学時代に読んだ作品。
    それほどページ数もない短い小説なのにとてつもなく強い印象が今でも残っています。
    あの頃に読めてよかったです。

    • yhyby940さん
      映像作品も観ました。三國連太郎さんのおじいさん、さすがと感じました。もし機会があったら、どうぞ。
      映像作品も観ました。三國連太郎さんのおじいさん、さすがと感じました。もし機会があったら、どうぞ。
      2024/05/31
  • H29.8.4 読了。

    ・三人の小学6年生と一人の老人の交流と死をテーマとしたお話。小学生たちとの交流を通して、活き活きと変化していく老人が印象的でした。また、草取りや包丁の使い方などを老人から教えられて学んでいく小学生たちの成長も垣間見れてよかった。
    少年たちが学んだ「おじいさんならこんな時なんて言うかな。」はまさに1UPしてますよね。

    ・「太陽の光の七つの色。それはいつもは見えないけれど、たった一筋の水の流れによって姿を現す。光はもともとあったのに、その色は隠れていたのだ。たぶん、この世界には隠れているもの、見えないものがいっぱいあるんだろう。」

  • 少年たちの夏休み。「人は死んだらどうなるのか」という好奇心から、おじいさんの観察を始める。すると、死にそうだったはずのおじいさんが、少年たちの思いとは裏腹にどんどん元気になっていく。そして少年たちも、おじいさんとの関係が深まるにつれて気持ちが変化していく。そこに友だちや親との関係も交えつつ、少年たちの成長が爽やかに描かれる。「死」を通して「生」をみつめる物語だった。

    子どもの頃は置かれた環境で生きていかなきゃならなくて、それが世界のすべてだった。大人になると選択肢は増えていく反面、不自由にもなっていく。子どもの自由さはどこかにいってしまうんだよなぁ。
    大人になり、ただ忙しなく過ぎ去っていく日々、なにか大切なものを見落としているのではないかと、あの頃の感覚を彼らに思い出させてもらった。特に虹を見た時の語りが好き。

  • このお話は、読んだ人の年齢や今置かれている立場によって
    感じたことや想ったことが、みんなそれぞれどこか似ているようでも
    実はみんな違う...読み終えてからしばらく心に残る余韻は
    読んだ人の分だけあるような気がしました。

    それはたぶん...(もしかしたら私だけなのかもしれませんが..)
    ここに登場する三人の少年たちのひと夏の経験を、同じ年ごろだった自分とを重ねて
    自分にとっての一番身近なお年寄りである、祖父母のことを思い出して懐かしんだり
    その頃の友達のことや、学校生活、夏のプール、サッカー合宿
    そして怖い話なんかにも、ふっとどこかに自分を重ねて回想してみたりする
    そんな想いを呼び起こしてくれたお話だったと感じたからです。

    その頃の私は祖母と一緒に暮らしていました。
    祖母は明治の生まれで、日本髪を結い上げたり、日本初期の
    パーマネントの機械も備えている髪結いさん(美容師)でした。
    立ち仕事だったからなのか足腰がとても丈夫で、何をするにも大抵は
    自分の足でどこまでもしゃんしゃん歩いて事こなしていた人だったので
    私が物心つく頃から皺くちゃで細くて小っちゃくて、華奢なおばあちゃんなのに
    何年たっても変わらない...ように見えていたおばあちゃんでした。

    だからあの頃"死ぬ"なんてこと、考えてもみなかった..。
    誕生日や敬老の日に贈る"長生きしてね"のメッセージでさえも
    お体裁のように書き添えていただけだったかも...と思ったくらいです。

    けれども、息が止まると死ぬとか、しゃっくりが百回止まらなかっから
    死んじゃうよ! とか、(←作中にはないです)そんなことは
    あぁ..あったあったあったよね~...と思い出して。(笑)
    子供ながらに怖がったりふざけあったりしていたことが
    とても懐かしく思い出されました。

    三人の少年たちにとってこの夏休みの出来事は
    少しだけ胸に痛むものもあっただろうけれど(動機)
    ほかの友達には出来ない事がやれているような
    ちょっと自慢もしてみたくなる大冒険だったことでしょう。
    そしてそこでは人と触れ合うことの優しさや寂しさも味わって...

    この先十年二十年三十年経って、あの少年たちもいつの日か
    このひと夏の経験を思い返すようなことがあったなら、
    どんなふうに懐かしく思い出すのかなぁ...と想像してみたりして。^^

    "だってオレたち、あの世に知り合いがいるんだ。
    それってすごい心強くないか! "

    なんとも微笑ましい..♪
    そっか....それなら怖くないよね...。^^

    この一言は、今の私自身にとっても心に響く言葉でした。

    コスモスの花咲く風景を目にしたらきっと思い出します。
    三人の少年たちとおじいさんと夏の庭。

    • nejidonさん
      yumiieさん、こんにちは♪
      感動がよみがえる素敵なレビューですね!
      細かい部分はかなり忘れているので、再読したくなりました。
      この...
      yumiieさん、こんにちは♪
      感動がよみがえる素敵なレビューですね!
      細かい部分はかなり忘れているので、再読したくなりました。
      この本は読感文の課題図書になったことがあったように思います。
      そうなると、感動しなくちゃいけない作品になってしまうのが、惜しいです(笑)。
      そんなことは抜きにして、多くの子どもたちに読まれてほしい名作だと思います。
      2017/11/24
    • yumiieさん
      nejidonさん、こんばんは!
      コメントありがとうざいます♪

      こちらは教科書なんかにも載せられているのでしょうか...?
      とすれ...
      nejidonさん、こんばんは!
      コメントありがとうざいます♪

      こちらは教科書なんかにも載せられているのでしょうか...?
      とすれば確かに、少年たちのしたことやおじいさんとの交流そのものに道徳を求めたり
      人と触れ合うことで感動するという事の方が大きいのかもしれないですね。
      読みながら、そんな思いは私にもありました。
      だけど読み終えて心に残っていたのは、なぜか私のおばあちゃんのくしゃくしゃな笑顔で...。^^
      お年寄りとの触れ合いといわれて自分と祖母とを重ねちゃっていたんですね。
      とても嬉しくて楽しい時間でした。
      大人にも子供たちが感じることとはまた違ったよい思いが伝わると思います。
      ぜひまた読んでみてください♪
      2017/11/24
  • 娘が借りてきたのを、読んだ。
    今年の夏は夏とつく本を色々読もうと思っていたから。

    ちょうど子どもと同じくらいの年代の、子どもたちが出てくるけど、時代が違いすぎて
    私の頃の夏休みの感じを思い出した。

    お母さんが夜ご飯にクラッカーとワインだけしか口にしない。寂しいことだと思うけど、そのポソっという音が、何かすごく美味しそうな気がして、クラッカーを買ってきた。

  • 読みやすかった。最初は3人の少年たちが、独居老を見張るってどんな話かと思った。きっかけは興味本位で始めて、少年たちとおじいさんは反発し合っていたが、徐々に打ち解けて、いい関係だなと思った。清々しい、爽やかな青春のお話だった。『西の魔女が死んだ』を思い出させる一冊だった。

  • 湯本香樹実さんの恐らくいちばん有名な名作。
    たぶん10年以上前に読んで、久しぶりの再読。
    読書で初めて泣いたのはこの作品だったような気がする。
    本編ももちろん素敵だけど、私は湯本さんのあとがきを読んで、自分の亡くなったおじいちゃんを思い出して泣いた。
    身近な人が亡くなった経験のある人は、その人のことを思い出すんじゃないかな。

    小6の3人組の、ひと夏の物語。
    「人が死ぬのを見てみたい」そんな気持ちから始まった、近所のおじいさんの観察。
    湯本さんは子どもの心の描写がすごく上手いと思う。主人公、木山目線で優しく描かれている。でも、子どもっぽさみたいなのは少なくて、湯本さんが子どもたちをきちんと見つめて書いているんだろうなぁと思った。
    彼らの成長も必見。

    大切な人のことを想って読んでみてください。

  • 良かった
    小学生3人と老人のひと夏の交流を描いた物語
    そして、子供たちの成長の物語

    ストーリとしては、
    祖母の「死」を契機に「死ぬこと」を考え始める子供たち。
    そんな中、子供たちは生ける屍?のような老人と出会います。
    老人の死ぬ瞬間を見るために、老人を観察するようになりますが、老人は逆に元気になっていきます。そして、徐々に、その老人と少年たちの交流が始まります。
    老人の家を補修したり、庭を掃除・手入れしたり、そして、さまざまなことを老人は子供たちに教えていきます。
    老人との交流を通して、老人が活気を取り戻し、子供たちも様々なことを感じ取り、学んでいく。

    しかし、突然の別れ
    「死」
    その老人の「死」を通して、彼らは大きく成長する。

    そんなストーリ展開
    子供たちの成長が清々しい

    「ぼくも、『もしおじいさんだったら』ということをあいかわらずよく考える。すると、自分ひとりでくよくよ考えているよりずっと、すっきり答えが出てくるのだ。それは、『思い出の中に生きている』なんていうのとは、ちょっと違う。もっとたしかな、手ごたえのある感じだ。」

    「だってオレたち、あの世に知り合いがいるんだ。それってすごい心強くないか!」

    とても心に残るセリフです

    お勧め

  • メガネの河辺、でぶの山下、そして「ぼく」木山の3人は、小学6年生。
    ある日から、ぼくらは木造の古い家にひとりで暮らすおじいさんを観察することにした。
    その老人が死ぬところを発見しようという作戦で、家を見張ったり、尾行したりしていたのだが、どういうわけかおじいさんは死ぬどころかだんだん元気になってきて、やがて一緒におじいさんの家を補修したり庭をきれいにしたりするようになり…


    おじいさんとの交流、いくつもの出来事、夏休みの終わり、そしておじいさんとの突然の別れ。
    “おじいさんは、充分、立派に生きたのだ。おじいさんの白い骨が、ぼくにそう教えてくれている。”

    小学6年生の男子の、バカをやったりちょっと気になる女子がいたりの日常の中にある、あいまいな未来への恐れと、その先にある、死への恐れ。
    おじいさんの死は、そういうものを恐れなくてもいいということを教えてくれた。

    明日を怖がらなくてもいい、ってすごいことだと思う。
    若い人の自殺が増えているという。
    死を身近に感じたことがないからだという。
    こういう物語の中にも、救いはあるのに。

    こどもたちにも、生きていくことが怖くなってしまった人にも、読んでもらいたい。

  • 三人の少年と老人のひと夏の出来事。
    小学生の頃は勿論、死について漠然とした考えしかなかった自分。初めて亡くなった祖母を見た時は、正直怖くて触れる事が出来なかったことを思い出した。
    タイトルから想像していた内容とは違っていたがまた夏が来たら読みたくなる1冊だ。


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著者プロフィール

1959年東京都生まれ。作家。著書に、小説『夏の庭 ――The Friends――』『岸辺の旅』、絵本『くまとやまねこ』(絵:酒井駒子)『あなたがおとなになったとき』(絵:はたこうしろう)など。

「2022年 『橋の上で』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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