夏の庭―The Friends (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 1488
  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101315119

作品紹介・あらすじ

町外れに暮らすひとりの老人をぼくらは「観察」し始めた。生ける屍のような老人が死ぬ瞬間をこの目で見るために。夏休みを迎え、ぼくらの好奇心は日ごと高まるけれど、不思議と老人は元気になっていくようだ-。いつしか少年たちの「観察」は、老人との深い交流へと姿を変え始めていたのだが…。喪われ逝くものと、決して失われぬものとに触れた少年たちを描く清新な物語。

感想・レビュー・書評

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  • このお話は、読んだ人の年齢や今置かれている立場によって
    感じたことや想ったことが、みんなそれぞれどこか似ているようでも
    実はみんな違う...読み終えてからしばらく心に残る余韻は
    読んだ人の分だけあるような気がしました。

    それはたぶん...(もしかしたら私だけなのかもしれませんが..)
    ここに登場する三人の少年たちのひと夏の経験を、同じ年ごろだった自分とを重ねて
    自分にとっての一番身近なお年寄りである、祖父母のことを思い出して懐かしんだり
    その頃の友達のことや、学校生活、夏のプール、サッカー合宿
    そして怖い話なんかにも、ふっとどこかに自分を重ねて回想してみたりする
    そんな想いを呼び起こしてくれたお話だったと感じたからです。

    その頃の私は祖母と一緒に暮らしていました。
    祖母は明治の生まれで、日本髪を結い上げたり、日本初期の
    パーマネントの機械も備えている髪結いさん(美容師)でした。
    立ち仕事だったからなのか足腰がとても丈夫で、何をするにも大抵は
    自分の足でどこまでもしゃんしゃん歩いて事こなしていた人だったので
    私が物心つく頃から皺くちゃで細くて小っちゃくて、華奢なおばあちゃんなのに
    何年たっても変わらない...ように見えていたおばあちゃんでした。

    だからあの頃"死ぬ"なんてこと、考えてもみなかった..。
    誕生日や敬老の日に贈る"長生きしてね"のメッセージでさえも
    お体裁のように書き添えていただけだったかも...と思ったくらいです。

    けれども、息が止まると死ぬとか、しゃっくりが百回止まらなかっから
    死んじゃうよ! とか、(←作中にはないです)そんなことは
    あぁ..あったあったあったよね~...と思い出して。(笑)
    子供ながらに怖がったりふざけあったりしていたことが
    とても懐かしく思い出されました。

    三人の少年たちにとってこの夏休みの出来事は
    少しだけ胸に痛むものもあっただろうけれど(動機)
    ほかの友達には出来ない事がやれているような
    ちょっと自慢もしてみたくなる大冒険だったことでしょう。
    そしてそこでは人と触れ合うことの優しさや寂しさも味わって...

    この先十年二十年三十年経って、あの少年たちもいつの日か
    このひと夏の経験を思い返すようなことがあったなら、
    どんなふうに懐かしく思い出すのかなぁ...と想像してみたりして。^^

    "だってオレたち、あの世に知り合いがいるんだ。
    それってすごい心強くないか! "

    なんとも微笑ましい..♪
    そっか....それなら怖くないよね...。^^

    この一言は、今の私自身にとっても心に響く言葉でした。

    コスモスの花咲く風景を目にしたらきっと思い出します。
    三人の少年たちとおじいさんと夏の庭。

    • nejidonさん
      yumiieさん、こんにちは♪
      感動がよみがえる素敵なレビューですね!
      細かい部分はかなり忘れているので、再読したくなりました。
      この...
      yumiieさん、こんにちは♪
      感動がよみがえる素敵なレビューですね!
      細かい部分はかなり忘れているので、再読したくなりました。
      この本は読感文の課題図書になったことがあったように思います。
      そうなると、感動しなくちゃいけない作品になってしまうのが、惜しいです(笑)。
      そんなことは抜きにして、多くの子どもたちに読まれてほしい名作だと思います。
      2017/11/24
    • yumiieさん
      nejidonさん、こんばんは!
      コメントありがとうざいます♪

      こちらは教科書なんかにも載せられているのでしょうか...?
      とすれ...
      nejidonさん、こんばんは!
      コメントありがとうざいます♪

      こちらは教科書なんかにも載せられているのでしょうか...?
      とすれば確かに、少年たちのしたことやおじいさんとの交流そのものに道徳を求めたり
      人と触れ合うことで感動するという事の方が大きいのかもしれないですね。
      読みながら、そんな思いは私にもありました。
      だけど読み終えて心に残っていたのは、なぜか私のおばあちゃんのくしゃくしゃな笑顔で...。^^
      お年寄りとの触れ合いといわれて自分と祖母とを重ねちゃっていたんですね。
      とても嬉しくて楽しい時間でした。
      大人にも子供たちが感じることとはまた違ったよい思いが伝わると思います。
      ぜひまた読んでみてください♪
      2017/11/24
  • 夏の文庫ラインナップに入っているので、いつか読みたいとずっと思っていた。

    少年3人と老人の距離がじわじわと縮まっていく人と人とのあたたかめの距離が懐かしかった。

    昔の番組で「みんななかよし」という道徳の番組があったけど、あの番組の「口笛ふいて~」のメロディーが自然に頭の中で流れ出した。

    子供に読ませてみたいと思ったけど、今時の子には(特にうちの子みたいな子には)「は?だからナニ?」と言われて終わりそう。

    どちらかというとターゲットは昭和40~50年代に子供だった子なのかな…と思ったり。

    それにしても所々、目頭が熱くなってしまって参ってしまった。亡き祖父母との夏の思い出が浮かび上がり、懐かしくて切ない。あの頃には戻れないけど祖父母に会いたいなぁ…とぼんやり思った。

  • あのころに戻れる…
    こんなお話に弱いのです。本文で泣き、作者のあとがきで泣き、最後の解説文で泣き・・仕事の合間に読んでいたのですが、接客業だというのに、もう読み終えた後は、顔面ぐちゃぐちゃになってしまいました。「暑いですね。」が挨拶代わりにもなっている夏日の毎日ですが、こんな作品に出会えば、清々しい風が身体をす~うっと通り抜けていくような気持ちよさに包まれます。井上陽水さんの『少年時代』のメロディも浮かんできます。ビジュアル的にも心情的にも、ほわぁんと眼前に広がる世界が心地よくて。おすすめです!自分の子どもにも読んでほしい!

  • あまりにも有名な小説を、今更ながら。
    無駄がなく、すごくシンプルな筋だけど、それがまっすぐな感動に繋がる。
    本当に爽やかな読後感。
    あぁ良い物語だったな、と素直に思える。

    小学6年の3人の少年たち。その中の山下のお祖母さんが亡くなったのをきっかけに、木山と河辺も、人が死ぬところを見てみたいという好奇心に駆られるようになる。
    そして3人は、町外れに1人きりで暮らすおじいさんを観察し始める。生ける屍のような老人が死ぬ瞬間をこの目で見るために。
    3人の好奇心は日ごと高まっていくが、不思議とおじいさんは元気になっていくように見えて…。

    「人が死ぬ」ということを芯から実感したのはいつだっただろう、と考えた。
    初めて経験した身近な死は中学生のときの祖母の死だったけれど、身近で衰えゆく姿を見たわけではないし、亡くなる瞬間に立ち合ったわけでもないから、本当に実感したとは言えないかもしれない。
    生きているものはいつか必ず死んで、会えなくなる日がくる。そしてそれはいつか自分にも訪れる、ということを、実感したのはずいぶん大人になってからだったかも知れない。

    この小説の少年たちも、死という概念がまだ自分のなかには存在していない。
    祖母を喪った山下でさえも、死ぬということは何だかぼんやりと靄に包まれた感覚だ。それは普段あまり会ったことがなかった祖母だったから、というのがとても大きい。
    だから、知りたいと思った。死ぬ、ということを。
    という、幼いからこその残酷な感情が元で1人のおじいさんを追いかけ観察を始めるのだけど、それが思いがけない方向に転がってゆく。

    流れや結末を書いてしまうとこの物語の良さが薄れてしまうので書かないことにするけれど、その夏少年たちがした経験は、彼らのなかに一生忘れられない記憶として残るのではないかと思う。
    切なく、大きく、だけど瑞々しい子ども時代の経験として。

    青々とした植物やみどりの感じとか、プールに行ったりサッカーをする描写とか、面倒くさがりながらも塾に行くところとか、夏休みを目一杯楽しんでいた幼い日のことが懐かしくなる。
    1日1日が冒険で、新しく知ることで溢れていた年代。
    瑞々しい、という言葉が私のなかでは一番しっくり来る、素晴らしい青春小説だった。

  • 6年生の男の子3人と老人の交流の話。
    1人の子が祖父の葬式に行った事から、死に興味を抱く3人。
    そして近所で死に1番近いであろう見知らぬ老人を観察するようになる。

    そんな事ってある?って(私が)思いながらも、彼らは仲良くなり、老人からいろいろ学び、感化される。

    結果、本当に老人の死に直面してしまう。
    ほんの夏休みの間の出来事だけれども、3人の男の子は何かを感じ取り成長したのだろう。


    テレビのニュース番組で又吉さんが紹介してたので読んでみました。

  • H29.8.4 読了。

    ・三人の小学6年生と一人の老人の交流と死をテーマとしたお話。小学生たちとの交流を通して、活き活きと変化していく老人が印象的でした。また、草取りや包丁の使い方などを老人から教えられて学んでいく小学生たちの成長も垣間見れてよかった。
    少年たちが学んだ「おじいさんならこんな時なんて言うかな。」はまさに1UPしてますよね。

    ・「太陽の光の七つの色。それはいつもは見えないけれど、たった一筋の水の流れによって姿を現す。光はもともとあったのに、その色は隠れていたのだ。たぶん、この世界には隠れているもの、見えないものがいっぱいあるんだろう。」

  • 3人の小学生が「人は死んだらどうなるんだろう」という思いから、1人の衰弱したおじいさんを観察することになる。
    ところがおじいさんは子ども達に観察されていることに気付くと 最初は憤慨していたが、死ぬどころか生き生きとしだし 子どもたちと関わっていくようになる。
    子どもたちはおじいさんから 色々な事を学び、おじいさんは子どもたちから生きる力を与えてもらっている。
    おじいさんと子どもたちの関係がすごく素敵です。

     おじいさんと関わっていくことで 子供達が「死」というものを理解し、そしてその悲しみなどを受け止め成長していく姿に心温まるものがあります。

    小学生の息子から この本よかったよ、と薦められた。
    小中学生にぜひ、読んでもらいたい1冊です。

    • nico314さん
      nobo0803さん

      たくさんの花丸とフォローありがとうございます。

      「夏の庭」、私も好きな1冊です。
      nobo0803さんの...
      nobo0803さん

      たくさんの花丸とフォローありがとうございます。

      「夏の庭」、私も好きな1冊です。
      nobo0803さんの本棚には気になる本がいっぱいあるので、またお邪魔します。
      どうぞよろしくお願いします♪

      2013/01/28
  • 町外れに暮らすひとりの老人をぼくらは「観察」し始めた。生ける屍のような老人が死ぬ瞬間をこの目で見るために。夏休みを迎え、ぼくらの好奇心は日ごと高まるけれど、不思議と老人は元気になっていくようだ…。いつしか少年たちの「観察」は、老人との深い交流へと姿を変え始めていたのだが…。喪われ逝くものと、決して失われぬものとに触れた少年たちを描く清新な物語。

  • 木山、山下、河辺の3人の小6の少年達は、ある夏の始まりの日、町内に1人で暮らしているおじいさんの家の前で見張りをはじめる。1人でそのおじいさんがある日死んでしまったらどうなるのか?それを最初にぼくらが見つけよう…という好奇心からだった。初めの頃は不審がって少年たちを疎ましく振舞っていたおじいさんはやがて彼らに悪意がないことが分かると彼らを家に招き入れるようになり、それ以来少年たちとおじいさんの交流がはじまり、その日々は少年たちの胸にやがて熱く深く記憶されるものとなるのだった…。始終ノスタルジックな切なさと暖かさに包まれていて、少年たちの一つ一つの会話も1度聞いたら忘れられないユニークさと切なさとが伴っていました。こういう雰囲気をどこかで…と最初のころは妙な既視感にとらわれましたが、途中で「スタンド・バイ・ミー」だ!と気がつきました。そうなんです、ストーリーも舞台も違うけどあの名作に似たにおいがするんです。懐かしくも二度と戻らない少年の日への郷愁とでもいうんでしょうか。
    死んでしまったら、その人とはもう会えなくなってしまう。でも死ぬことでその人の存在全てが無くなるわけでは、けして、無い…。おじいさんは永遠にこの子達の心の中に残って生き続けているんでしょう。
    読後目を閉じるとおじいさんの庭に咲き誇るコスモスの花が目の前に広がってくるようです。本当に切なくも美しい物語でした。

  • 身近な人の死から遠くなった現代、「死」に興味を持ち過ぎて「死体」を見てみたいと言った小学生たちと、死までの経過を観察されることになった老人の見えない絆……。
    とても不謹慎な子どもたちに感情移入しつつ、おじいさんの変化を楽しんだ。もしかしたら、おじいさんは楽しかったのだ。死に際に現れた不謹慎な子どもたちに、何かを重ねていたのだ。
    生きること、誰かと関わること、冒険すること、挑戦すること。
    何もかも、ひと夏に詰め込まれていた。
    もっと若いうちに読みたかった。
    素敵な作品だった。

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著者プロフィール

湯本香樹実 1959年、東京都に生まれる。東京音楽大学卒業。『夏の庭-The Friends』(新潮文庫・徳間書店)で第26回児童文学者新人賞、第22回児童文芸新人賞、ボストン・グローブ=ホーンブック賞(米)など受賞。他に『ポプラの秋』『春のオルガン』(新潮文庫)など著書多数。絵本に『もりのとんとんバンド』(「こどものとも年少版」2006年3月号、福音館書店)『くまとやまねこ』(河出書房新社)、童話に『きつねのスケート』(徳間書店)などがある。東京都在住。

「2016年 『おとうさんは、いま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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