- 本 ・本 (480ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101316369
感想・レビュー・書評
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月刊誌ダ・ヴィンチへのアツい批判に笑う
うーんまあ確かにそうかもだが・・・諸行無常だよねえ詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
感想は、「上巻」に記載。
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出版業界のビジネスに興味を持って。不況と言われて久しい気がするが、問題は電子書籍の登場だけではなくいと感じた(~2004大学時代の本@202012棚卸)
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p229『博士の愛した方程式』
電子図書館 本に対してインターネット感覚
p263 -
年間書籍のタイトルは年々右肩上がりであるのに、売り上げが伸びない理由が知りたい。書籍販売の再販制度の弊害をよそに業績を伸ばす業態もある。マンガ喫茶やレンタル本またはわたしも利用しているブックオフなどが上げられる。業界のシステムは百科事典を家具として揃えていた時代のものであり、現実は新刊1200円で購入した本を1,2週間後にはアマゾンで個人が800円で売るような時代なのである。そして新たに電子書籍ブームが到来するとしたら、出版業界はお先真っ暗な状況であることは間違いない。
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いったい誰が「本」を殺したのか?先日の上巻に続い下巻を読了。
本書は2000年出版時の内容を捜査編として、上巻に1章から6章及び下巻に7、8章とエピローグとして収録し、文庫化に合わせて下巻には新たに検死編を収録している。
出版不況を招いている犯人は誰なのか?という視点で、本に関係する川上から川下まで、著者〜出版社〜取次〜書店〜読者とそれぞれの立場の検証を行ったルポであり、ここであぶり出された問題は文庫化から5年以上経った今日でも改悪はされど、改善しているとも思えないのが現状だ。
その後毎年のように繰り返されている特定著者によるビジネス本の乱造ブーム、「作者棚」による書棚占拠、まるで首に縄をくくったかのようなブックオフへの大手出版社の出資、あれよあれよという間にできあがった大日本印刷グループによる出版コングロマリッドの形成、そして昨年からの何度目かの電子書籍元年幻想......。
この数年でさえ話題に事欠かないこの業界だが、なぜ根本的な解決に至らないのか?
本書のルポに全面的に共感するわけではない。さすがに一般人以上に本に接してきたからこその作者であるがゆえに、「本」に対する幻想は出版社の持論と同じ匂いをそこかしこに感じる。
なぜ「本」だけ消費財ではなく文化財(それも今ではなく未来に対しての)扱いなのか?しかも、出版社と名乗る営利企業が販売する商品に対してすべからく「文化財」扱いする必要が有るのか?
まるで既得権益としかいえないこの部分に対して、いまだ明確な答えはない。
しかも立ちが悪いのは、この問題に言及する作者自身が出版社から本を出版し、取次がその書籍を各書店に卸し、書店が読者(これもおかしいと思う、なぜ本を買う人は顧客・消費者・購入者とは呼ばれずに「読者」という名前付がされるのか?)に販売して、はじめて我々にその主張が届くわけだ。
ということは、内部の業界に属する人がいくら頑張っても構造改革並の荒行は期待できないということ。
それこそ、他業種もしくは黒船にすがって無理やり開国を迫られるしか手立てはないのではないかと思えるほど、非常に先が暗いルポタージュだった。 -
読了して思ったのが、この作者のフットワークの凄さ。
時代の移り変わりに翻弄されながらも、必死で策を練る人々。それをインタビューで浮き彫りにしていっている。
書物が持つ本質を見極めた上で、時代に対応したコンテンツをつくれば、「本」は死なないと思う。 -
・「講談社とか集英社のような大手版元の出版物やベストセラー本は、時速50、60キロで走れる道が取次と書店の間にできていると思います。しかし大手版元でもない、ベストセラーでもない、新刊でもない本の流通が、読者の大きな障害になっているんです」(今井書店社長・永井伸和)
・「僕らは人様の精神を商品にするといういかがわしい仕事をしている。この人がどれくらいのものになるか。そんな目で人の異常さとか不足さとか過剰さとかがカネになるか、ならないかを見ている。この仕事にはそういう嫌な面がある」(幻冬舎社長・見城徹)
・「ぼくの足元には、おそらくぼくが20年かかっても掘りつくせないほどの本の材料が、まるで宝物のように埋まっているのだ」(無明舎出版社長・安倍甲)
・「ひとつはじぶんも物書きであるか物書きの候補者のにおいをもったものである。もうひとつはじぶんが所属している出版社を背光にして文壇的にか政治的にか物書きを将棋の駒のように並べたり牛耳ったりしてやろうと意識的にあるいは無意識のうちにかんがえているものである。あとのひとつは、他の職業とおなじような意味で偶然、出版社に職をえているといった薄ぼんやりしたものである」(思想家・吉本隆明)
・「川の表面を流れている”いま売れているもの”を追っても、それはもう流れ終わって遠くに行っている。編集者はもっと上流に狙いを定め、みえない底の流れをとらえなければいけない」(新人物往来社書籍編集部編集長・大出俊幸)
・「作家・版元側は複本問題をよく主張しますが、ほとんどの地方図書館は、複本を揃えようと思っても、一冊以上揃えられないというのが現状です。それ以前に複本を買うだけの予算がない。」(慶応大学文学部教授・糸賀雅児)
日本の近代化が達成できたのは、寺子屋からの伝統をもつ学校と、名もなき庶民までが本を読む習慣の二つが両輪のようになって日本の歴史を牽引してきたからだと唱える著者による本を取り巻く現状ルポ。
カバー写真:広瀬達郎(新潮社写真部)
書店、取次、版元のルートや地方出版者、零細書店のあり方、
雑誌やコミックスの扱われ方にブックオフの台頭、
図書館の無料貸本屋問題に電子ブックのこれから、
インターネット時代の著作権問題やICタグ導入によるプライバシー問題、
書評の消費社会化に読者の読解力の低下など
様々な問題点やそれに取り組む人々のインタビューによって
これからの本の未来を模索する手がかりとなる本です。
解決方法は示されていはいないけれど、
とりあえずこのままではいけないと危機感を持たせてくれます。
著者プロフィール
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