おもたせ暦 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.83
  • (17)
  • (27)
  • (18)
  • (2)
  • (2)
本棚登録 : 198
レビュー : 30
  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101316536

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 『おもたせ』というよりも『おすそわけ』がメインなような。
    お取り寄せガイド+ちょびっと料理教室てな趣。
    好評だった話ばかりではなく、たまに失敗談が挟み込まれているのがいい感じ。
    水切りヨーグルトで作る『シュリカンド』、作ってみたいと思ったけれど
    平松さんの作り方だと乳清が全部流れちゃうから勿体無いなー
    などと思ってしまうあたしは貧乏性(笑)。

    この本を読んで思ったのは
    いくつになっても女子はおすそわけが大好き(はあと)ってことだった。
    最近はめっきり縁遠くなってしまったけど、好きなバンドがたくさんいて、
    日参するくらいの勢いであちこちのライブハウスに出没していた頃、
    そこでしか逢えない友だちに配るためのおすそわけセットを
    嬉々として作っては配り歩いていたことを思い出す。
    配ったのと同じくらいの数貰うので、結局荷物が減らないんだけど
    今思うとあれは幸せな重みだったなーなんてちょっと思った。
    そういう気分を思い出させてくれたことには感謝したい本である。

  • 実質は『おみやげ暦』8割、『おもたせ』2割くらいです。
    おもたせはあくまで受け身なもので、『もってきてもらったもの』だから。
    けれど、あえてこのタイトルなのはまえがきを読めばわかる。
    「おもたせですが…」と出す場合も、「おもたせだけれど」と出される場合も、なんだかあらたまったような特別な響きがあるから。
    でも、昨今のデパートの「おもたせ特集」という宣伝はどうかと思うよ。

    持っていくとき、相手に喜んでほしい、おいしそうに楽しむ姿が見たいと、いろいろ考えるわくわくドキドキ感がこの本からは伝わってくる。
    一緒に楽しんで「おいしいわ」とお気に入りのお菓子をほめてもらいたい、と反応を見るために『おもたせ』を期待するのだ。
    いやしいのとはちょっと違う。
    ひとときの演出しているような感じと言えば言いすぎか。
    本の中には『誰』に『どんなシチュエーションで』渡したのか渡したいのかを書いている。そこが単なるおいしいものリストと違うところだ。
    アジアンフードに興味ある友人にアジアのハーブと『レシピ』をお土産に、翌日会う友人のために一緒に食べる『シュリカンド』(←これが今話題の『水切りヨーグルト』ブルガリアがおすすめでした)を作ったり、酔っぱらったお父さんのうしろめたさの象徴「折詰すし」に思いをはせたり、と多岐にわたる。
    余談だが、母の故郷堺の『くるみもち』を平松さんは取り上げていて、母に聞いたところ就職した伯母が幼い妹である母によくお土産として通り道のそのお店によって買ってきてくれたらしい。
    この本のおかげで「くるみもち」が「胡桃もち」ではないことを知って、ああそうだあれは枝豆の味だったと知ったらしい。
    しかし、お姉ちゃんが会社帰りに買ってもってかえってきてくれたおいしいお菓子、という姉との優しい思い出はン十年たっても色あせることはない。
    そういうエッセイだった。

  • 食べ物を魅力的に描ける人は本当に文章力のある人じゃないかしら。食いしん坊+語彙の豊富さ+表現の幅広さ。平松さんは完璧。

    今まで知らなかった平松さんの本を手にとったのは、パラパラとめくった見出しに「まつのはこんぶ」を見かけたから。我が家の定番お使い物。

    塩野「花衣」、オオサワ「ガーナ」、しろたえ「レアチーズケーキ」…気になるものばかり。甘いものだけでなく、水なすのお漬物やコロッケサンドも登場。シュリカンドやシュワンヤンロウのたれは自分でも作ってみたくなる。

    美味しいものを見つけたら、他の人にも味わってほしい。なんでもないときにも持って行きたい。
    この感覚がある人は幸せだと思う。後から身につくものじゃないだけに。

  • 菓子箱(に限らずコロッケサンドや羊肉のタレや缶詰や野菜や…モノはなんでもいいんですね。でもやぱり、お菓子の章が好きかも)を真心込めて選んで、人を訪ねたくなる作品。
    平山さんの文章もおもたせの品々の写真もすごく美しくて心地よくて、説得力のある内容でした。

    余談ながら、「おもたせ」という言葉が最近誤って使われてる気がしてならなかったんだけど、やっぱりそうでした!正しいおもたせの意味、冒頭に丁寧な解説があります。

  • 作者のエッセイは目についたら購入している。
    この本は探して購入したがやはり面白い。
    ”おもてなし”とはどういう精神かを考えさせる本だ。
    各話に紹介されている商品の綺麗な写真が付いているのもありがたい。

  • 平松洋子さん「おもたせ暦」、2010.8文庫です。「おもたせ」は「手土産」とは違って、もっとざっくばらんとかw。いただいたものを、その場で開ける。いただいた側が、その場でふるまう。「おもたせですけど、いっしょにいかが」。

  • おもたせとは、手土産を頂いた側の言葉で手土産とはちょっと違う。
    例えば、「おもたせで悪いけれど」のように手土産をその場で開けて食べようとするときなどに使われる言葉である。
    その言葉からは少し気楽な感じを受ける。

    本書には数々のおもたせが登場する。
    そしてそれにまつわるお話が、気楽な日常の風景なのだけれど読んでいて幸せな気分にしてくれる。
    文章からも素敵な人物であろう著者の人柄が感じられる。
    単純に読み物としても満足だけれど、たくさんの美味しい食べものが紹介されていてとても実用的だ。
    いくつも気になるおもたせがあったので、買い求めてみようと思う。

  • “おもたせ”の意味をきちんと知ったのは、恥ずかしながら、この本を読んでから。日本語っていいなぁと改めて感じる。
    本書は、手土産についてのエッセイと思いきや、その向こう側には人がいて、ささやかなコミュニケーションだったり、人間模様だったりが垣間見えて楽しい。平松洋子さんのリズムのある文章、凛とした表現に、今回も唸った。

  • 人を訪問するときにちょっとしたお土産をもって伺う。「おもたせ」とは来訪者が持参したものをその場で出して皆でいただくもの。だいたい「きえもの」ということになる。気を張らずにしかし相手の事を考えたものを携える。
    ここに登場するおもたせはどれもそのようなもの。今をときめく流行りのお菓子や手に入りにくいものというより、長い年月人々が愛したもの、何度食べても飽きない味のものだ。それぞれに写真があり、中身本体はもとよりその包装にも惹かれるものがある。昭和の雰囲気を漂わせるものも多い。
    相手のことを思い、取り寄せ、その店に買いによりもって伺う、そんな著者の優しさを感じさせる文章だ。関東ばかりでなく、関西のお店も多く登場する。ちゃんとお店の情報も掲載されている。その味を知っているお店も多いが、まだのものも是非味わってみたくなる。

  • 2014.11.6読了

全30件中 1 - 10件を表示

おもたせ暦 (新潮文庫)のその他の作品

おもたせ暦 単行本 おもたせ暦 平松洋子

平松洋子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印

おもたせ暦 (新潮文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする