母なる自然のおっぱい (新潮文庫 い-41-4)

  • 新潮社 (1996年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (296ページ) / ISBN・EAN: 9784101318141

感想・レビュー・書評

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  • スティルライフを読んで感銘を受けた後に手に取り、その後ずっと池澤夏樹が一番好きな作家であり続けることになった、決定的な本。
    池澤さんの軸となる自然と人間との距離を冷静に見る姿勢にものすごく惹かれた。 単行本で読んだかれこれ20数年前。

  • 池澤夏樹氏のウィットに富んだ自然観。面白かった。

  • 「いずれの山か天に近き」の、富士山がなぜ近代以前(測量される前)から日本一の山となったのかという話が好き。

  • 人間と自然との関係について著者が自由に語ったエッセイです。

    本書のテーマの一つとして、人間と自然の「尺度」ということがあげられるのではないかと思います。著者は本書の冒頭で、人間にリンゴを分け与えようとするオランウータンの話を紹介しています。また、原ひろ子の『ヘヤー・インディアンとその世界』を読んで、狩猟とは動物と人間との知恵比べだとみなす考え方にもっとも動かされたと著者は告白しています。これらの例に見られるのは、人間が動物の知能を一方的に測定するのではなく、人間と動物が共通の「尺度」を持っているという発想であるように思います。

    さらに本書の後半では、人間が文明を獲得することができたのは、人間の身体が火を扱うのに適切な大きさだったことによるというおもしろい説が紹介され、自然のスケールについての叙述が続きます。

    自然のかけがえのなさを人間の尺度によって測ることで自然環境の保護を訴えるのではなく、人間と自然の共通の「尺度」を見いだしていくことで、私たち人間が自然の中に立っているというセンスを取り戻していくことにつながるというのが、もしかしたら著者の考えなのかもしれないという気がします。

  • 池澤夏樹の自然論。書かれたのは随分前だけど今持って古さは感じない。
    ありがちなセンチメントに基づく自然礼賛ではなく、池澤夏樹らしい理系っぽい切り口で、とてもバランスよく感じた。

  • 読売文学賞受賞。
    20年以上前に書かれたエッセイだが題材の「ホモサピエンスと自然」の先見性が素晴らしい。

  • 自然と人間の関係について書いたエッセイ。
    アイヌの民話などで見られる狩りに置ける動物と人間の意思疎通は面白いと思いますね。
    これと似たお話しは熊谷達也さんの「邂逅の森」で私は読みました。

    池澤さんの本はエッセイもあるが私は小説の方が断然好きだな。
    そちらの方が伝えたいことを直感的に理解できる気がする。

  • ・大事なのは,野生動物というものを巡って,われわれがある種の混乱に陥り,どう考えていいか分からなくなっているということだ。
    ・科学とは,別の時代の別の場所における他人の発見をそのまま自分の発見のように利用するシステムである。科学が今日に見るような隆盛を誇るに至った最大の理由は先人の業績を継承するという蓄積の原理である。
    ・ローレンス・ヴァン・デル・ポスト「カラハリの失われた世界」
    ・竹取物語と富士山
    ・『古事記』下巻「枯野」
    ・言ってみれば,存在の責任は樹木たちが担ってくれるのだ。われわれ動物たちにはそれに全てを任せて,ついでに生まれた者として遊びくらせばいい。もともとがマージナルな存在ある以上,気負い込んで世の苦悩を一手に背負う必要はどこにもない。それは木々が実になにげない顔でやってくれていることだ。

  • ヒトと自然の正しい関わり方ってなんだろう。基本的にヒトはヒトの事しか考えられないし、僕(あなた)は僕(あなた)の事しか考えられないのかも。

    ヒトの目線から見たら自然はヒトのエゴを受け止めてくれているみたいだけど、それもいつまでもつのやら。

  •  自然と人に関するエッセイ。
     ヒトがまだ動物の1つであったころに思いをはせつつ、ロマンを失わない感が素敵だ。

     狩猟民族と農耕民族の意識の切り替わりなどはすごい。
     この作家さんは視点の引き出しが多いんだろうな。

  • BOOKOFFの100円コーナーにて購入。活字欲を満たす為だけに適当に選んでるだけあって中身を気にせず手に取るのだが、つまらなすぎて結構苦しみながら読んだ。彼の考え方についていけなかった。私が頭悪いのかなぁ。伝わってこない。著者の池澤夏樹氏が釣り好きだってことだけはわかった。この人の名前どっかで見たことがあるなぁと思っていたら既に『キップをなくして』で読んだことがありました。文章の書き口が同一人物に思えなかったです。

  • 環境科学部で学んでいた頃、頭を柔らかくしてくれたのは、まぎれもなくこの本。

  • 今後、自然に対してどのような対処をしていくかを考えさせられる作品。

  • 自然についてかかれた一冊。自然といっても、ただ自然を讃美するのではなく、人間の自然破壊を危惧しているわけでもない。人間と自然との関係を書いているあたりが池澤夏樹らしい。
     ふと、夏休みに見た映画『スチームボーイ』のワンシーンを思い出した。じいさんとその息子の言い合い、「科学が人間を作るのか、あるいはその逆か」みたいなこと。(2004/9/27)

  • 今後、自然に対してどのような対処をしていくかを考えさせられる作品。

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著者プロフィール

1945年、北海道生まれ。埼玉大学理工学部物理学科中退。小説家、詩人、翻訳家。主な作品に『スティル・ライフ』(芥川賞)、『母なる自然のおっぱい』(読売文学賞)、『マシアス・ギリの失脚』(谷崎潤一郎賞)、『楽しい終末』(伊藤整文学賞)、『静かな大地』(親鸞賞)、『花を運ぶ妹』(毎日出版文化賞)など。「池澤夏樹個人編集 世界文学全集」「同 日本文学全集」を編纂(毎日出版文化賞)。2007年、紫綬褒章、2011年、朝日賞、2021年、フランス芸術文化勲章オフィシエ、2023年、早稲田大学坪内逍遙大賞。近刊に『一九四五年に生まれて││池澤夏樹 語る自伝』。

「2026年 『遙かな都』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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