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Amazon.co.jp ・本 (632ページ) / ISBN・EAN: 9784101318158
みんなの感想まとめ
多様な要素が絡み合う物語は、主人公マシアス・ギリ大統領の栄光と失脚を描き出します。彼は優れた政治家でありながらも、誰もが共感できる普通の人として描かれ、読者は彼の運命に引き込まれます。舞台となる小さな...
感想・レビュー・書評
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始まりはガルシアマシアスの族長の秋の世界観を連想させたのだが、族長の秋の大統領とは違い、本作の主人公であるマシアス・ギリ大統領は優れた政治家でありながら、多くの人が感情移入できるであろう普通の人だった。
政治、経済、国際問題、戦争、民族、歴史、霊的な力など
の多くの要素をぎゅうぎゅうに詰め込んであり、舞台は小さな島国でありながら大きな世界の広がりを作品の中に感じることができる。
タイトルの通り失脚の話であるが、訓話的なところはなく、あくまでただの物語。人間と、人間よりももっと大きな計り知れない存在、世界、あるいは宇宙の意志のようなものが介在する物語になっている。この作品がどんな話かということはとても一言ではまとめきれず、まるで現実のようにどこまでも広がっているような読後感がある。
バス失踪の不思議なエピソードはガルシアマルケス的、どこか陰謀的な大きな力の存在はピンチョン的、最後の物語のくだりはフォークナーのアブサロム、アブサロム!を連想させた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ぐいぐい引き込まれました。主人公が資本主義経済の流れにのみこまれる過程がリアル。切ない終わりだけど冷たくはない。主人公は自分にとって大切なものに気づき、温かい気持ちになれたように思う。
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初夏の爽やかな暑さに身を委ねる季節、真夏の照り返す日差しに汗ばむ季節。そんな時にゆったりとじっくりと、ずっと読んでいたい物語。
人は生まれる前は鳥で、死んだ後も鳥だった。そんな文化が残る架空の南島ナビダード。大統領マシアス•ギリがどのようにその地位まで登り詰めたか、そして転がり落ちるのか。島民の噂話や寓話を散りばめながら描かれる彼の生涯は、雄大で、野心的で、美しく、儚い。
この物語が私に与えてくれた感傷と教訓は、亡霊のように、永遠に失われないだろう。 -
谷崎潤一郎賞受賞のごちゃ混ぜ闇鍋長編小説。
現実主義にスピリチュアルや形而上学を組み合わせながら、作品は綺麗に纏まり読みやすい。途中に何度か挟まるバスの話など、構成もユーモラスで飽きない。
500〜600pが一瞬で過ぎ去る、個人的作者の作品群ではナンバーワン。 -
池澤小説三作目。現在と過去、政治と宗教、男と女、硬派と軟派、現実とファンタジー。南の島が舞台の、充分にリアリティーを持たせた設定の中にこれだけの要素を盛り込み、かつ素晴らしい日本語。これぞプロの作品。
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ファンタジー、アドベンチャーの無い、ミステリーの無い純粋なファンタジー。ちょっと、入り込み難かった。細部まで、よく書き込まれているという事かもしれないが、その分テンポが鈍くなっている感じもする。失脚に追い込んだのは誰なのか、何故なのか、その辺りが理解できないのも、辛いところ。
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現実とはかくも幻想的である。
登場する主要な登場人物一人一人に「血肉」が通っていて、まるでノンフィクションの物語を読んでいるようなリアリティーを感じる一面で、バスが消えたり、死者と話したりと幻想的な一面も見せる。
一見相反する出来事がごっちゃになっているようで、そのイベント一つ一つが混然一体となってこの小説の「世界観」を互いに支えあっている。
この小説は一つの世界を構築している。それは手に取ることのできない空想の世界ではあるが、この小説を読まれた方ならその「空気」を感じることができるはず。
優れた真の小説家は世界を創り出す。池澤夏樹氏もそのうちの一人だ。 -
南洋の架空の島国ナビダードでの大統領の奮闘と苦悩。そこに訪れた人たちが行方不明になる事件。これはミステリーかファンタジーか、それともスラップスティックか。ある意味ドキュメンタリーのような、ある意味痛快エンターテイメントのような、歴史物語のような、でもとても丁寧に書き込まれている物語がとても面白かった。架空の国であるのにリアリティを感じさせる、時間と空間をまたぎながら世界の国のあり方、経済の発展のあり方にも通じている傑作。
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池澤夏樹氏が「なんとか『百年の孤独』みたいなものを書きたいと』書いたもの。
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2025.7.12
久しぶりに再読。
池澤夏樹が『100年の孤独』を意識して書いたというのを目にしたから、こちらもそれを意識して読み直してみた。不思議な出来事、霊的な出来事と現実が地続きに繋がっている感じは確かに近いものがある。
時の流れ、自然、メルチョールの神々、そうした大きなものの中では一個人の存在がいかに小さいか。自分で何かをなしたと思っても、たまたまそうなる流れの中にあっただけということ。でもそれはある意味で慰めでもある。マシアスは娘ができたことを知り、自分も大きな流れの一部であることを悟り、生への執着から解き放たれる。 -
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どう捉えたら良いか、難しかった。
荒唐無稽なところが多々出てくるけれど、笑って良いのか、真正面から受け止めたほうが良いのか。かと思えば、濃密な文化論的な部分も出てくる。ある種のファンタジー(バスと慰問団が失踪する)でもある。明瞭な風景が思い浮かぶような描写力は、さすが。
でも、主人公のマシアス・ギリ大統領は、本当は何を目指していたんだろう。失脚することは物語の最初から決まっていたが、目指すところには、結局、たどり着けなかったというか。まだ頭が整理できていない。 -
タイトルから予告された「失脚」に向かっていく様が逆に新鮮だった
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大江健三郎風に言えば実に「たくらみ」「楽しみ」に満ちた大人のエンターテイメント小説だと思った。いや、スリルやサスペンスでこの作品に比肩するものを探すのはそう難しくないだろう。けれど架空の国と大統領に託して語られるのは政治が孕むきな臭さと老いの哀しみ(別の言い方をすれば「死すべき定め」にある人間存在の哀しみ)、そしてユーモアの三位一体だと思われる。登場人物たちが実に愛らしい。彼らは歴史の中のコマに過ぎない。誰一人永遠に名を残さない。それは私たちも同じだが、ならば彼らに倣ってままならない生を楽しもうではないか
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南洋の島国ナビダード民主共和国。日本とのパイプを背景に大統領に上りつめ、政敵もないマシアス・ギリはすべてを掌中に収めたかにみえた。日本からの慰霊団47人を乗せたバスが忽然と消えるまでは……。善良な島民たちの間でとびかう噂、おしゃべりな亡霊、妖しい高級娼館、巫女の霊力。それらを超える大きな何かが大統領を呑み込む。豊かな物語空間を紡ぎだす傑作長編。谷崎賞受賞。
(1993年) -
こんな言い方すると怒られるのかな…ガルシア・マルケスを彷彿とさせる魔術的現実主義の世界だと思った。
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主人公のマシアスギリは人間として共感できる、能力ある魅力的な男として丁寧に描写されているが、一国の独裁者であるが故に行動に綻びが生ずる。
表面は上手く運営できているようでいくつかの不穏の前兆が現れる。決定的なのは島の環礁に外国のタンカー誘致を决めた件。
人間を超えた、自然の霊力のようなものが、彼の存在を許さなくなる。霊的なものと現実の人間が渾然一体となっているところがこの小説の味わいだと思う。
マシアスギリの来し方、育ててもらった人や関係をもった女性も興味深く描かれ、自分で頑張って生きているようでも、生かされている、という感覚を持った。 -
前から読みたいと思っていた本。私が手に入れたのは函入りの単行本タイプの方で装丁もとても素敵な一冊。壮大な、ストーリー。
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南洋の島国ナビダード民主共和国の大統領マシアス・ギリの物語。
前半は説明なしのこま切れの話ばかりで読むのが辛かったです。でも不思議と続きを読みたい気分になり、かなりゆっくりと読み進め、後半はだいぶ話もまとまってきたし、盛り上がりもあって読みやすくなりました。
マシアス個人の話を掘り下げたり、かと思えば彼なんて大きな視点から見たら駒の1つに過ぎず、権力にすがらずにその役目を終えたと考えさせたり、最終的にはスケールの大きな話になってすっきりと終わりました。
バスレポートが意味がよく分からなかった…
バスがミサに出るって何…? -
良かった。バスではなく、船でもなく、飛行機に乗ったギリが象徴的。
運命論的だが悲観的なものではない、流れに身を任せる話。
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