ハワイイ紀行 完全版 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2000年7月28日発売)
3.86
  • (60)
  • (48)
  • (66)
  • (7)
  • (2)
本棚登録 : 717
感想 : 44
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (560ページ) / ISBN・EAN: 9784101318172

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  タイトルの文字を見て思わず「誤植?」と思ってしまいます「ハワイイ?」。
     しかし、表紙の日本語タイトルの下、「ハワイイ紀行」の英訳タイトル「Cruising Around Hawaii」そう、「ii」iの文字が重なっています。そもそも本来、英語の単語にこのような綴りはありません。現地の元々の発音に沿ってのスペルHawaii(ハワイイ)なのです。詳しくは本書中の著者の説明を読んでいただくとして、このこと一つとっても想像できるように、この本は「ハワイ」と聞いて一般の人が普通に思い浮かべる、芸能人やお金持ちのリゾート地、ホノルルやワイキキビーチ、キラウェア火山観光といったところ、太平洋の楽園「常夏の島・ハワイ」の旅行ガイドではありません。
     今年の夏8月、テレビや新聞等で報道されたマウイ島での火災、壊滅的な被害を受け、多くの犠牲者が出て、今も復興がなかなか進んでいない、かって、王国の首都が置かれていたラハイナの中心市街地の著述にしても、王国の実態、外界との接触、交流、それらのアメリカの統治になる前の歴史を具体的な記述で描いていきます。
     著者の池澤夏樹は、ギリシアや沖縄にも住み、観光地のオフシーズンのありようについてもエッセイ等で描き、語っているように、観光地としてのハワイイでない部分、サーフィンやフラも光が当たっているところだけでなく、もっと根源的なところについても迫っています。また、観光ではなく、現地の、生活者としての島民の暮らしについても自身の取材、文献探索、読み込みにより、丹念に描き、トータルなハワイイを把握しようとしています。中身は深いですが文章は平易です。
     観光地としてのハワイだけでない、ハワイイを知りたい人、また、ハワイに限らず、それぞれの地域で暮らすということ、人間の営みの根源について考えてみたい人、ぜひ手に取って読んでみて下さい。
    へろへろ隊員 井上

  • 面白いです❗
    ハワイイに行きたくなった‼️
    (なぜ「ハワイ」ではなく「ハワイイ」なのか?
    知りたい方はは本書をお読みください。)

  • ハワイを題材として、人類、文化、歴史、植物、地理から、科学と宇宙にまで至る様々な考察に、非常に沢山の学びと刺激を得ることができた。内容的には間違いなく紀行文というより、文化人類学と自然科学に関する論文に近いものだった。

  •  なぜ気付かなかったのだろう。HAWAIIはなぜ「ハワイイ」でなく「ハワイ」と呼ばれていたのだろう…と、本のカバーを見て思い、ページをめくると、そこには素顔のハワイイの姿がとても丁寧に描かれています。「南国の楽園」としてあまりにも有名な島々の素顔です。雑誌の連載をまとめた単行本が1996年に発行され、文庫化にあたって加筆されたまさに「完全版」がこれです。

     ハワイイという場所には、リゾートなどという浮ついた総称を簡単に一蹴できるだけの力のようなものがあります。ひとたび訪れると、そこにはちゃんと、大地・海・植物・動物といったものたちが厳然としてあります。そして、そこに住む人々の食生活も宗教も文化も、その大地や海のうえに成り立っているのです。著者はくまなくハワイイを巡って綿密な取材をし、サーフィンやフラの歴史にも迫ります。ハワイイに行く前にもおすすめですが、現地で読むのもおすすめ。まさにハワイイのバイブル的一冊といえるでしょう。

  • 完本!保存版!何度でも読み返します。

  • ★3.5ですか。
    生態系から見たハワイイのお話です、そして人間も生態系の中の一つという見方に立ってます。当然と言えば当然ですけれども。
    当方、それほどハワイイには思い入れもございませんが、こんな分厚い本が上梓されるほどの魅力があるのだということは否定しません。
    確かに多くの人を狂わせる何かがあるな、と直感的に思います、この本読むと。

  • 2020年1月4日読了。


    ●フラは神話的な要素と個人の感情と技術の全てを
     表現する非常に高度な踊りである。

    ●元々カラパナはハワイイ人にとっては重要な土地
     言ってみれば神々から特別の恩恵を受けても
     いいはずの場所だった。

    ●ハワイイの火山の女神ペレ P82
     ペレはなかなか難しい神であるとハワイイ人は言う。
     ハワイイの神話の神々はもちろん一神教の全知全能の
     神ではない。
     
     彼女はキラウエアに住んで、溶岩の流れを左右する
     権能を備えている。

    ●ビショップ博物館
     →元々はカメハメハ王家直系の王女とその夫のアメリカ
      人の個人的なコレクションから始まって、その後展示
      も充実し、今では教育・啓蒙の機関としての活動
      も広く行っている。

    ●ニイハウ島 P123
     →ハワイイ諸島の人が住む島の中では最も西に位置。
     →ロビンソン一族が所有
     →ハワイイ人を住まわせて、島の中で通用する言葉も
      ハワイイ語のみで
      昔ながらの暮らしぶりを守っている。
     →島のほんの一部は観光客にも解放されているが、
      島の中を自由に歩くことは許されない。
     →ヘリで行って、着陸地点の周囲を少し見て、
      その日のうちにヘリで戻らなければならない。

    ●メハメハメ
     →芯がとても固くて鉄の斧も歯が立たないということで
      有名。
     →昔のハワイイでは最も大木になる種類のひとつだった

    ●ジェイムズ・クックの進出に関して

     倫理というのは基本的には個人の問題だから、
     社会全体が反倫理的なことをする場合
     それを指摘する者はどうしても少数者になる。
     それは十五年戦争の間の日本の反戦主義者の立場を
     考えてみればよく分かる。
     実際の話、“倫理というのは習慣であり、多数決なのだ”

    ●カメハメハの登場 P200
     三つの王国の第一は、クックの死にも関わったカラニオ
     プウの統べるハワイイ島ならびにマウイ島東側の
     ハナ周辺。
     二番目は慈悲なき戦士王カヘリキの支配下にあるマウイ
     島の残り部分とカホラウェ島、ラナイ島、それにオアフ
     島。
     最後がカヘリキの弟カオエが君臨するカウアイ島。

     カメハメハはカラニオプウの甥にあたる。
     1753年頃、ハワイイ島の北部コハラで生まれた彼は
     若い時から体格においても知力においても格段に優れて
     目立つ人物だったらしい。
     英雄には伝説がつきまとうと言えばそれまでだが、
     クックの部下のジェイムズ・キング中尉は彼のことを
     「酷いと呼んでもいいほど勇猛な顔立ちだが、非常に知
     的で、観察力に富み、良い性格をしている」
     と書いている。
     
    ●1819年5月18日、カメハメハ大王は世を去った。
     その墓所は秘密にされ、今も知られていない。

    ●1819年
     →最初の捕鯨船がラハイナに到着
     →最初の宣教師を乗せた船がハワイイ人をキリスト教徒
      にすべくアメリカの港を出た。

    ●カアアフマヌ(大王の21人の妻の中で最も愛され、
      信頼されていた)は大王の死後半年にして、カプの廃止
    を宣言。
      →カプはポリネシア語で言うタブー、宗教的理由に
    基づく禁忌のことである。
       ハワイイではこのシステムは古来強い強制力を
    もっていて、違反者が殺されることも珍しく
    なかった。
      →いわばカプは共同体の自衛手段だ。
       ある時期を限ってある魚の漁を禁じるカプのよう
    に、今日の視点から見るならばエコロジカルな意義
       が認められるものも少なくない。
      →1819年11月、2つのカプを敢えて破る
       ・男と女が一緒に食事をすること
       ・女に禁じられたバナナやある種の魚などの食べ物 
        を食べること

    ●1881年から世界一周旅行の途中でカラカウア王は
      日本に立ち寄った。
      ここで彼は明治天皇に会い、外務卿・井上馨と移民増強
    について交渉した。

    ●フラとは何か。フランクの説明によれば、フラとは手の
    動きや足の動き、それに表情などで詩的感情を表現する
    ものだという。全ての始まりは詩である。詩が朗唱さ
    れ、その言葉に合わせて振りが決まる。
    言葉の一つ一つを決まった振りで表現する、いわば一種
    の手話のような踊り方もあるが、彼はもう少し自由に考
    えて動きから動きへの流れの美しさを重視している
      とのこと。詩が最初にあるというのは大事だと思う。

    ●ポリネシアは刺青が広く行われた地域として有名であ
    る。刺青を意味する英語のタトゥーの語源はタヒティ語
    のタタウだという。
     
      ポリネシア人は実に力強い神の像を木や石で作った。
    イースター島のモアイ像が最も広く知られているが、
    島ごとに様々な像が作られ、崇められ、拝まれてきた。
      ハワイイで最も大事な四柱の神はポリネシア起源であ
    る。
      四柱とはすなわち、父にして、太陽、水、その他生命を
    支える自然の恵みの体現者であるカネ、男性的な力の源
    泉、戦の神であるク、平和と農業、豊穣、暗雲、風と雨
    と海の音の神ロノ、それに海と海の風の神である
    カナロア。

    ●初めてボードの上に立ったのは、ジョージ・フリースと
    いう若者だったと伝えられる。
      カリフォルニアに初めてサーフィンを紹介したのも彼で
    ある。

      伝説のサーファー:デューク・カハナモク P339

    ●ドール社は成功した会社である。松ぼっくりに形が似て
    いることから松の林檎(パイン・アップル)と呼ばれる
    ことになったこの奇妙な果物をシロップ漬けの缶詰にし
    てうる。これは二十世紀のアメリカを象徴する商品にな
    った。
      ジェイムズ・D・ドールは1922年に360平方キロ
    あるラナイ島の事実上全てを100万ドル、
    すなわち1エーカー12ドルという安値で買った。
      売主はハワイイ先住民ではなく、ボールドウィンという
    元宣教師の一族だった。

    ⚫️ハワイイ諸島全体で珊瑚礁が少ない。

    ⚫️鳥島でアホウドリの羽毛を採り巨万の富を得た、
      玉置半右衛門。

  • 日本人の海外旅行先として最も有名であろうハワイ。Hawaiiの綴りのとおりハワイイが発音どおり。西洋文明に接触する前の先住民、さらに人跡未踏の悠久に思いを馳せる紀行の傑作。

    単なるガイドブックの枠を超えた壮大なスケールの作品。その土地に筆者がとことん惚れ込んだからこそ生まれた奇跡の作品のように思える。

    ハワイの先住民の文化、言語そしてハワイ諸島固有の動植物まで。実に奥深い文明批評としても味わい深い。

    ほとんどの観光客はオアフ島ホノルルのみの訪問だろう。本書を読むと他の島も含め味わうのが本来のハワイイ紀行であることを痛感する。

    旅、紀行、歴史に関する本は多かれど洞察力、スケール、本としての頁数、どれを取っても大きな一冊です。

  • 自身をイスロマニアと呼ぶ池澤さんの本だからおもしろくないわけがないと思って読み始め、いっしょに諸島をめぐったような気分で読了。そういえば「南鳥島特別航路」も大好きで繰り返し読んでいる。

    ものの見方が示唆に富んでいる。もやもやと感じていながらどう言えばいいのか分からないことに言葉を与えてくれる。池澤さんの本ではそういう体験がとても多く、この本もそうでした。一部を切り取ることができず、ひたすら手で書き写すのが快感となる文章。押しつけがましさや教訓臭さのない文体で、思索に誘われる。難しい問題もあるのだけれど、それでも印象を一言で言えば「爽やか」。

    文庫なので写真の小さいのが少し残念。単行本の方を買えばよかった。

  • 大陸から遥かに隔絶したこの太平洋の真ん中の島々に、ヒトはどのように移り住み、そして生きてきたのか。その歴史と文化を自然条件とともに見聞し考察する。
    西洋の大航海時代まで外部との接触もなく、いわば閉鎖系の社会で生きてきたこの島の現在の有り様を知ることで、グローバルな時代に生きる我々が次に向かうべき世界のヒントを探る。
    自然や歴史を俯瞰する鳥の目と、タロ芋作りからプランテーションや観光業への生業の変遷や、フラやサーフィンといったハワイ生まれの文化をつぶさに見る虫の目と、著者の好奇心と博識ぶりは相変わらずだ。
    この島に吹き付ける貿易風と打ち寄せる波の音を感じながらこの本を読んでいると、まだ行ったことはないけどなんとなく知ってるつもりになっていたハワイが「ハワイイ」に改るのを感じた。
    ここ数年ウクレレを習っている私としては、ハワイイの国民的シンガー「イズラエル カマカヴィヴォオレ」についても触れられていて、とても嬉しかった。

  • よかった。ずっと行きたいと思っているハワイ。楽園のイメージしかなかったけど、見方が180度変わった。しかし、百聞は一見にしかず!ぜひ近いうちにいきたい。
    2015.9.6

  • 初めてのハワイ旅行中に読みました。ハワイのことが良く分かるとともに、文化や文明など色々と考えさせられました。成田エクスプレスの中で読み終わりましたが、またすぐにハワイに行きたくなりました。

  •  各章ごとにハワイ諸島の「植物」「農業」「火山」「言語」「フラ(ダンス)」「サーフィン」「航海術」「天文台」などのテーマに絞って取材した、自然科学・文化人類学のような学術的な内容の多い硬派な本だった。
     読んで感じたのは、自然や歴史の中で人間はちっぽけな存在なのだということ。
     以下、印象に残ったこと

    ・西暦300~750年ごろ、無人島だったハワイ諸島に南東方向の島(マルサケス諸島)から約3000kmをカヌーで航海してポリネシア人が渡った。その事は物理的証拠もあって確かなのだけど、18世紀にハワイが西洋人に発見された時には、ハワイ諸島・マルサケス諸島のお互いが渡った人がいたことを知らないし、航海術も未熟な状態。カヌーのような小さな舟で、数か月間の航海が出来るとはとても思えなかったとのこと(1000年間経ち、それぞれの島で豊かに暮らしている内に忘れてしまったらしい)。
     そこで、1970年ごろ、ハワイの郷土愛の強い人達が中心となって、他の島の航海名人に弟子入りしたりして、大昔の造船技術・航海術だけを用いて同じ約3000km(ハワイ-タヒチ間)を渡り、ご先祖様の偉大さを証明してやった、という「ホクレア号」の話が、壮大で感動的だった。
     大昔、最初にハワイ諸島へ渡った人達は、そっち方向に島があるかどうか分からないまま全く陸地の無い海を、星だけを頼りに数か月間航海したのだということを思うと、無謀すぎて理解不能なのだけど、そういうフロンティア精神のある人がいたからこそ、今の人類の発展があるのだ、たぶん。僕はそういう人間にはなれないので、とても尊敬する。

    ・ハワイは18世紀に西洋から一方的に「発見」され、平和な島に突然白人がやってきて、彼らの宗教や文化や倫理観を押し付けられてきた。著者はそれを、ペリーが黒船で日本に来て開港を迫ったことと似ていると指摘する。
     違うのは、ある程度の大きさを持った日本が速やかに成長して欧米を真似て植民地を支配する側にまわったのに対し、ハワイは社会の規模がずっと小さかったために完全に制圧され、併合され、文化的にも抹殺に近い事態にまで追い込まれたという点であるとのこと。
     強制的に自分たちの文化を捨てさせられるという経験は想像つかないのだけど、日本に置き換えたら、日本語を禁止され、神社・寺を破壊され、皇族の方々が退位させられるということだと思う。考えるだけでも恐ろしい。そんな風にならないで済んだということだけでも、僕らは江戸~昭和の先輩方に感謝しなければと思う。

    ・西洋人がハワイにヤギや牛を家畜として持ち込んだことにより、ハワイ固有の植物は野生化した家畜に食べられてほとんど絶滅してしまったらしい。
     つまり、西洋人は、ハワイの人間を侵略したのと同時に、意図せずに自然も侵略していたのだとのこと。たぶん、西洋人が悪いというわけじゃなくて、人間が世界を移動することで自然の形は崩れざるを得ないということなんだと思う。

  • ハワイの紀行文にしてはしっかりしている。00.11.29.読破とある。埼大理工学部中退の作者..興味深い。

  • 「行ってみないとわからないことが多いから旅はおもしろい。」正にそうだと思います。
    最初は我慢しながら読んでました。面白くなってきたのは、Ⅳあたりから。

    ハワイイの文化やちょっとした歴史、自然の事が書かれていて、知識の補充には、よかった本でした。がっつり!入ったって感じです(笑)

  • ハワイをハワイイと本来の呼び方でタイトルとしている。ハワイイの歴史、気候、動植物、地形、活火山、先住民の生活様式、サーフィン・ウインドサーフィンの伝説、などなど、観光としてのハワイイ以外のあらゆるハワイイに関する事象を網羅的に紹介した紀行文。

    特に先住民達のはるか南(タヒチ)からの漂着に至る様など、どうやって先住民が、太平洋の孤島に辿り着けたのかなどは、非常に興味深い。

    また、文庫版では表紙の裏面が地図になっていたり注釈が載っていて皿に詳しくハワイイのことが分かるなど、これ1冊でハワイイの専門家に慣れる程の力作。

    観光以外のハワイイを知りたい人なら、読んでおくべき著作だと思います。

  • ハワイをハワイイと言いたくなるし、行きたくなる。

  • 本書を一言で紹介するのはチョット難しい。一人の作家によるハワイ紀行文、と紹介するには内容が豊富すぎるのだ。無理やり説明するなら、ディープなスポットをトリビア的な雑学を交え、詩的に紹介するガイドブック、と言ったところだろうか。

    文庫化にあたり新たに2章が加えられ、558ページと少し多めのページ数となっているが、12章のテーマごとに区切られているため非常に読みやすかった。テーマの内容は火山、植物、言語、フラ、サーフィン、すばる天文台、など多岐にわたっている。

    ハワイに訪れる人々の目的と言えば、おそらくほとんどが観光やショッピングなのだろうと思う。しかし、その土地には外来種によって絶滅の危機に瀕する植物があり、固有の文化を後世に伝えるために努力する人たちがいる事にも、少しは思いを馳せてほしいと思った。

    ちなみにハワイ語ではバスケのドリブルを「パイパイ」、サッカーのドリブルを「ペクペク」と言うのだそうだ。熱い調子でペクペク!とかパイパイ!と絶叫するハワイ語のスポーツ実況を想像して、思わずニヤニヤしてしまった。

  • ハワイに行く前から読み始め、帰りの飛行機で(着陸間際に)読了。ガイドブックってほど軽くはないのだけれど、ハワイの文化について多く書かれていて、とても参考になりました。滞在中に目にした、耳にした、いろんなことが、この本に書かれていたかんじ。

  • 観光やサーフィンなリゾートだけじゃないハワイイを、といっても、リゾートのハワイイすらよく知らぬ身だけれども、ハワイイ固有の自然、言語、文化、産物、それを守り、受け継ごうと活動する人々、アメリカ化の浸透、などさまざまなトピックスを説き起こしてくれて、少しずつ、読み終わるのがもっったいなく感じるほどどっぷりハワイイに浸かれた、紙の上の旅行を堪能できた。以下備忘録的に。/神がヒトという種だけを特別にかわいがってくれるという妄想はもう捨てなければならない/ロビンソン一族の私有地ニイハウ島/「一日ここでぼんやりしていた。少し泳いだし、いい日だったさ」/真昼のプリニウスでの、ホースで溶岩を止める試み/ハワイイ本来の植物は山の上の方に追いやられ、細々と暮らしている/ハワイイに最初にクックがヤギを連れてきて、天敵もおらず餌は食べ放題でたちまち増えた/キース・ロビンソン「なすべきことが目の前にあれば、ただそれをすればいいのだ」/ジェイムズ・クック。出会った島民に敬意をもって接し、その文化を軽侮の目で見ることもなかった。/カメハメハの統一。1810-9年。戦いは終わり、統治は安定し、王は敬愛を受けた。/カアアフマヌの合理主義。偶像は倒され神官の権威は失墜/池澤夏樹「楽しい終末」/はじめに詩があり、それに節がつき、振りが添えられてフラになる/大きなハワイイ語の辞書には様々な雨を表す単語が百三十、風を表す言葉が百六十載っている/バリーフラナガンのギター奏法。駒沢敏器「ミシシッピは月まで狂ってる」/チャールズとケリイのデュオ、ハパ/文字がないとなれば、朗唱と儀式と彫像と神殿がその抽象的な概念を伝える役を担う/マウ・ピアイルグは自分が知っている海域をはるかに離れたところで、赤道を超えて北極星が見えなくなるところまで行って、なおかつ目的地に船をピタリとつけた。/身内の集まりに、二千人が押しかける、遠慮という言葉が辞書にないハワイイの人/精妙な神話体系を作り出し、素晴らしいフラを生み出し、チャントを唱え、レイを作り、日々を飾った。/この海を走ってぼくが感じたのは、自分たちがいかに無力であるかと覚ることの快感、自然の力がいかに大きくて、予測不能で、こちらを無視しているかを実感することの快感だった。/池澤夏樹「明るい旅情」/ミッドウェイ海戦を戦闘詳報を綿密に読み込んで描いた澤地久枝「そう海よ眠れ」/アホウドリの振るまいをただ坐って一時間も二時間も見ているだけで心が心地よくゆるむ。遠くから息をひそめてモンク・クールを見ている喜びも忘れられない。/「宇宙をうたう」中公新書、日本の詩歌に登場する天体を縦横に論じてこんなに面白い本はない。/

全39件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

1945年、北海道生まれ。埼玉大学理工学部物理学科中退。小説家、詩人、翻訳家。主な作品に『スティル・ライフ』(芥川賞)、『母なる自然のおっぱい』(読売文学賞)、『マシアス・ギリの失脚』(谷崎潤一郎賞)、『楽しい終末』(伊藤整文学賞)、『静かな大地』(親鸞賞)、『花を運ぶ妹』(毎日出版文化賞)など。「池澤夏樹個人編集 世界文学全集」「同 日本文学全集」を編纂(毎日出版文化賞)。2007年、紫綬褒章、2011年、朝日賞、2021年、フランス芸術文化勲章オフィシエ、2023年、早稲田大学坪内逍遙大賞。近刊に『一九四五年に生まれて││池澤夏樹 語る自伝』。

「2026年 『遙かな都』 で使われていた紹介文から引用しています。」

池澤夏樹の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×