明るい旅情 (新潮文庫 い 41-8)

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  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101318189

作品紹介・あらすじ

世界中で日本に最も程遠い場所を探して出会ったのは、ナイル川上流の広大な湿地帯。果てしない青空と生い茂るパピルスだけの"緑の沙漠"で、著者が発見したものはなにか。そして、ドミニカ沖で知り合ったクジラの話。珍しいものに満ちあふれた都市イスタンブールの喧騒、実現しなかったヨーロッパ最北端踏破行など、読む者を、見知らぬ場所への旅へと誘う、紀行エッセイの逸品。

感想・レビュー・書評

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  • 池澤さんの文章を読んでいると、自分が賢くなった気がするからふしぎ。

    ハワイ、沖縄、トルコ、イギリス、北欧、ギリシャ、などなど各地の旅行記。

    観光的な要素はあまり出てこない。少し遠出をして風景を見ながら考えたことをまとめてみた、というかんじの軽いエッセイ。

    国の捉え方といっていいのか、知識があるからこそ訪れた土地を国境だけではない文化とか意識とかDNA的なものなんかを含めて捉えていて、そういう考え方に憧れる。

  • 【いちぶん】
    なりゆきというのは世界への信頼である。事態の推移という波に乗っていればいいところへ到着することができると信じること。もともと奮励努力ではなく薄志弱行を旨として生きてきたから、世界の運行を信じないわけにはいかない。怠け者はオプティミストであらざるを得ない。世界の運行が何度となくぼくをマウイ島へ運んだ。
    (p.58)

  • タイトルからは、読む人に旅心を喚起させる晴朗なものを想像するが、かならずしもそうではない。筆者にとっての旅は、思索する旅だ。ヤップ島ではミクロネシアやハワイ本来のエコロジカルな生活を考え、イギリスでは植民地支配とイギリスから出て行った人々のことを想い、またイスタンブールではアジアを、あるいはイスラムを、さらには遊牧民族の本質を考察してしまう。それは、それだけ長い期間その場所に滞在しているが故でもあるのだが。篇中に「現代イギリス旅行文学撰」があるが、彼が庶幾する旅の姿とは、そうした紀行による思索なのだろう。

  • 旅への憧れをかきたて、旅へ人を促す本。

  • 世の中には3通りの本がある。
    という定型的な書き方をしてみようと思う。
    それは、
    何か新しいことを思いつかせる本、
    埋れていた記憶を思い出させる本、
    あと退屈な本。

    これは僕にとっては2番目、思い出させる本。池澤さんの旅を辿るはずなのに、不思議なことに自分の旅の記憶が蘇り、何のためにやっていたのか、何を得ようとしたのか、忘れていたことを再び捉えなおすことになりそうだ。
    いつも通りレビューでもなんでもないね。

  •  初めて、池澤夏樹さんの作品を読みました。私の、少ない読書経験からいうと、村上春樹さんと宮脇俊三さんを合わせたような、書きっぷりだなと思いました。
     どこでもいいし、一泊でいいから旅行に行きたくなりました。

  • ふらつきましょう。

  • 色んな国のことが独特の視点で書かれていた。行ったことがある場所もあったし、まだ行ったことのない場所もあったけど、マウイ島に行ってみたいなぁと思った。あともう一回トルコに。

  • 9/25 途切れ途切れに読み続けていたのをやっと読了。この人の旅の概念は私のものと違う。冒険家寄りの旅なんだなあ。そして外国に対する愚痴っぽいところがないのがあっぱれ。ザ、ニュートラルな冒険家。ステキ★

  • 旅に出る。その国の空気を肺いっぱいに吸い込む。そして少しずつ自分を溶け込ませていく。旅の楽しみは百人百様かもしれないが、池澤夏樹の旅観には共感できるところが多い。旅に誘う一冊。思い出深い一冊だ。

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著者プロフィール

1945年生まれ。作家・詩人。88年『スティル・ライフ』で芥川賞、93年『マシアス・ギリの失脚』で谷崎潤一郎賞、2010年「池澤夏樹=個人編集 世界文学全集」で毎日出版文化賞、11年朝日賞、ほか多数受賞。他の著書に『カデナ』『砂浜に坐り込んだ船』『キトラ・ボックス』など。

「2020年 『【一括購入特典つき】池澤夏樹=個人編集 日本文学全集【全30巻】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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