夫婦茶碗 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 2346
感想 : 232
  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101319315

作品紹介・あらすじ

金がない、仕事もない、うるおいすらない無為の日々を一発逆転する最後の秘策。それはメルヘン執筆。こんなわたしに人生の茶柱は立つのか?!あまりにも過激な堕落の美学に大反響を呼んだ「夫婦茶碗」。金とドラッグと女に翻弄される元パンクロッカー(愛猫家)の大逃避行「人間の屑」。すべてを失った時にこそ、新世界の福音が鳴り響く!日本文芸最強の堕天使の傑作二編。

感想・レビュー・書評

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  • 「夫婦茶碗」と「人間の屑」の2編。
    どちらも屁理屈だけはいっちょまえな無職の男が主人公。なんとなく太宰のことを思い出した。
    いざ働こうと言ってもそれはメルヘン作家だったり、小劇団主宰の役者くずれだったり、うどん・串カツ・鉄板焼のミオちゃんだったり、もうさっぱり何がなんだか。
    脈絡もなくてすべての流れも展開も意味不明で突飛なんだけれど、期待を裏切らないその突飛さを今か今かとすでに待っちゃってる自分がいる。
    初めて読む町田康さんの小説、面白かった。以前知人に「文体にすごくクセがあって読みにくいよ〜」と言われたことがあって、気になりつつも少し敬遠してたんだけど、機会があり手に取ってみたら意外と私には合ってたみたい。
    確かに独特ではあるけどリズムにさえ慣れたら小気味よくどんどん読める。全然詳しくないけど、こういうのって落語っぽいのかな。

  • ナンセンスの真骨頂。
    心地いい口語体のリズム。
    読みつつ思わず吹き出す当意即妙の言葉。憤怒。面罵。曲折。ケチ。好色。不人情。不誠実の連なり。
    厄介で、心休まる間もない、どん底どん詰まりの八方塞がりのなかで、ひたすらもがきのたうち回る主人公に、バカだなあと思いつつも無軌道に欲望のおもむくままに生きる姿にどこか清清しさと羨望さえ感じてしまった。
    ゲラゲラ笑いながら読める一冊。

  • 久々に読んでみた。最高でした。

    酔狂の業としか思えぬ出鱈目&無駄のオンパレードなのだが、意識を失うその瞬間までおもいっきりシラフという感じがした。

    初めて読んだ頃に比べれば自分自身、社会的に見ればだいぶ全うな人間になったわけで、だけどそのはずなのに前にも増して鮮烈なのは、一体何を以て「全う」と言わしめるのかわからなくなる。

    破滅の美学、堕落の美学というけれど、それが成立するのは堕落を突き詰めたものがあまりに美しかった瞬間に、どっちが堕落と言えるのか、一瞬目が眩んで見失いそうになるからなのかもしれない。

    しかしおもろいなあ。子供、靴って。

  • 「夫婦茶碗」「人間の屑」の2つの短編のうち、「夫婦茶碗」に関しては共感できる部分があまりないストーリーだった。
    だが2つ目の「人間の屑」は疾走感を感じ、また話のテンポも良くて読み進めやすかった。女性関係に振り回されたり、過去のバンドでの話でのやらかしに彼が縛られたり、波乱万丈だけど楽しそうに生きてる主人公を想像するだけでも気持ちが良かった。

  • 町田康二冊目

    町田康はその時々で詰まらんかったり泣きそうになったり苛立ったり不思議だな~でも好きですねえ言葉のセンスがもう!
    個人的には人間の屑の方が好きかな
    狂った雰囲気が混じってくるのが堪らないです

    解説にもありましたがこれが計算された一つの作品なのだから凄いよね

  • 面白かった。新戯作派の系譜を受け継ぐと称される町田康。町田康の作品を読むのは初めてであったが、とてよ良かった。印象に残った。ね。スラップスティックコメディというか、皮肉っぽいというか、小さなことにくどくど言ってることが好きだ。筒井康隆とか、森見登美彦だとか、そんなジャンルが好きなんだと確認させられた。面白い。『夫婦茶碗』は口語体のような文章が多すぎて辟易してしまったが、『人間の屑』はとても滑らかに読めた。解説が筒井康隆で、あぁ好きな人が好きなもんは好きなんかな、と考えさせられた。

  • 新たなジャンル
    日常を面白く書くって難しそう
    言葉遊びが面白かった〜

  • どうしようもない人間が下降してあちらの世界に落ちていってしまう作品2編。自分ではダメだと分かっていても、心に不安なことが想起されるとその思念に囚われて悩み、酒に手を出しさらに落ちていく。ダメさを自覚しているから立ち直りもするが、また不安が生じてあちらの世界に落ちていく。町田康はどこか作者を思わせる主人公たちを独特の音楽的な、その実しっかりと統制の効いた文章で描き切っている。下降することへの恐怖。普段は当たり前のように日常生活を送っているが、ふと気を抜けばあちらの世界に落ちていってしまうのではないかという恐れ。そのような感性、人間の弱さへの理解があるからこその作品のように思う。表の世界があまりにも透明になりつつある今、アクチュアリティのある作品であり続けていると思う

  • アホ全開で面白かった

  • 同時収録の「人間の屑」の書き手もそうだが
    とにかく主人公(語り手)、働かないので困窮しまくり
    なんだかかだと理屈をつけ、仕事をしても続かない主人公
    困る困るといいながらだらだらと暮らしているので


    妻ともども食べるのにも事欠くのであるが
    そのことで喧嘩しながらも
    野草をゆでて食にする妻ものんきそう
    (そんなこと、わたしだって趣味でしてるわい)

    あげくのはてにメルヘン作家を目指そうなんて

    いわゆる現代社会の貧困スパイラルの問題提議でもなく
    じゃ、夏目漱石時代の高等遊民とも違うような

    なんともおもしろい落語を聴いているような語り口で
    寓意も読み取れるし、文章も巧みなのだ

    芥川賞作家の所以であるな~と思うのだけれども
    わたしなど「いいかげんにせよ!」と怒りたくなるのもほんとう

    ま、芸術を理解できないのだろうけど
    やっぱりこのままいったら破滅じゃないかと思うわたしは
    まともなんだか、無粋か?

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著者プロフィール

作家。1962年、大阪府生まれ。81年レコードデビュー。92年に詩集『供花』発表。96年「くっすん大黒」で作家デビューし、同作でBunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。2000年「きれぎれ」で芥川賞、01年『土間の四十八滝』で萩原朔太郎賞、02年に短編「権現の踊り子」で川端康成文学賞、05年『告白』で谷崎潤一郎賞、08年『宿屋めぐり』で野間文芸賞を受賞。近年は『宇治拾遺物語』の現代語訳や『義経記』を翻案した『ギケイキ』などにも取り組む。小社刊に、中原中也の詩に言葉を寄せた『残響』がある。

「2022年 『私の文学史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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