隠蔽捜査 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 3460
レビュー : 478
  • Amazon.co.jp ・本 (409ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101321530

作品紹介・あらすじ

竜崎伸也は、警察官僚である。現在は警察庁長官官房でマスコミ対策を担っている。その朴念仁ぶりに、周囲は"変人"という称号を与えた。だが彼はこう考えていた。エリートは、国家を守るため、身を捧げるべきだ。私はそれに従って生きているにすぎない、と。組織を揺るがす連続殺人事件に、竜崎は真正面から対決してゆく。警察小説の歴史を変えた、吉川英治文学新人賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 某刑事ドラマでの主人公の所轄刑事が警察官僚たちに向かって叫んだ「事件は会議室で起きているんじゃない。現場で起きてるんだ!」世代(……よりだいぶん前です、すみません^_^;)のわたしにとっては、「え、警察官僚が主人公の警察小説って面白いの~!?所轄と対立とかキャリア仲間の足の引っ張り合いとかそんなありきたりなものでは満足しませんよ~」とちょっと高をくくってました。
    ところが初っぱなから、この物語の主人公である竜崎の言動に「うん?世の中の奥さん方を敵に回すような、いけ好かない奴だな」とまずはムッとして、けれど次第にこの男何か違うぞと第一印象とのギャップに戸惑いはじめ、「お、今までにない新しいドラマが始まるな、これは!」と姿勢を正して本腰を入れて読み始める始末……竜崎の警察官僚としての「役割」「役目」を命をかけて果たそうとする姿に熱くなります。

    ある連続殺人事件を巡り、警察全体の秩序を守るため間違った指示を出そうとする国家警察。その方針を受け入れざるを得ない地方警察。その捜査本部の責任者である幼なじみの伊丹に待ったをかけるのが竜崎です。
    世の中は正論が通用するとは限らないんだと言う伊丹に、正論が通用しないのなら、世の中のほうが間違っているんだと竜崎は言い放ちます。その通りなんですよね。本当、その通り当たり前のことなんですよ。それが現実でも、いつも物事は難しくこんがらがったり、うやむやになったり、簡単に事が運ばないのはなぜでしょう。
    狭い取調室で2人が激論を交わすこのシーンが、私の中では山場でした。外に漏れてはいけないから決して大声で言い合うわけにはいかない分、余計に2人の緊迫した空気感が伝わってきます。

    そんな竜崎も家庭では、妻の冴子からは「無能な父親」と言われてます。けれど、家庭で起きたある事件に対して、竜崎が父親として取った行動に冴子は一番父親らしいことをやったと伝えます。その決断は子どもたちにも、きっと父親としての竜崎の想いは伝わっているでしょう。竜崎も冴子さんには頭が上がらないのではないでしょうか。「国のために働きなさい」と家庭のことを一手に引き受けて竜崎の背中を押してくれる冴子さんを、大切にしてくださいね。彼女がいてこそ、国家のために全身全霊で働けるのですから。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    竜崎伸也は、警察官僚である。現在は警察庁長官官房でマスコミ対策を担っている。その朴念仁ぶりに、周囲は“変人”という称号を与えた。だが彼はこう考えていた。エリートは、国家を守るため、身を捧げるべきだ。私はそれに従って生きているにすぎない、と。組織を揺るがす連続殺人事件に、竜崎は真正面から対決してゆく。警察小説の歴史を変えた、吉川英治文学新人賞受賞作。

    たまたま買った隠蔽捜査にこんなに大嵌りしていくとは思いませんでした。読み始めは嫌な奴オーラ全開だった竜崎。読後には一気に心酔させてしまうんですよね。仕事だけではなくて家庭の事も並列して書いているので奥行きもあるし。
    女性数名にお勧めした所、竜崎と結婚したい人続出、実際に一緒に暮らしたら大変な気もしますが、このスパスパと捌いていくのがかっこいいし、家庭でも決して頭ごなしではない所がいいですよね。

  • 警察官としては優秀な竜崎だが、どうやら家庭では「無能な父親」のようだ。
    邦彦のために何が出来るのか、何をするべきなのか。
    竜崎の選択は、ある種理想の父親像なのかもしれない。たぶん、実際に竜崎の立場に立ったとしたら途方もなく難しいことなのだろうが。
    悩んだ末に出した結論は、やはり竜崎らしいものだった。
    常に原理原則の信念をもって生きる竜崎。
    しかし警察内部には自らの保身のために隠蔽工作に走る人たちもいる。「警察の威信」を名目に掲げて。
    警察官として決して見過ごしてはならない隠蔽工作。
    それは何も正義感からだけではない。もしも工作が明るみに出るようなことになったら、そのダメージは計り知れない。
    警察の権威は失墜してしまう。安易に工作に走る人たちにはその切実な危機感が薄い・・・と竜崎は思っている。
    刑事部長である伊丹との関係も面白い。
    小学校の同級生であり、同期でもある。
    伊丹は友人だと思っているようだが、竜崎にはその自覚がない。
    小学校時代に苛められた記憶があるからなのだが、伊丹はそのことをすっかり忘れている。
    二人の奇妙な関係がどう変化していくのか。楽しみでもある。

  • くそ真面目なキャリア官僚、竜崎。
    読み始めは、えー大丈夫なのコレ。と思ったのですがジワジワきます。
    愛すべき馬鹿真面目。

    刑事モノって無骨な所轄刑事がキャリアと対立して〜って言う話が多いイメージだったので
    (無骨な刑事モノ、勿論大好きです)
    キャリア官僚目線って何だか新鮮。

    竜崎が一本気すぎて奥さん大変そうだなぁ、、!
    所轄での竜崎も楽しみです。
    いやー、これは人気が出てるのも頷ける作品だなぁ。

  • 結構面白かった。警察小説ではあるけど、竜崎家の話も面白い。
    竜崎のような頭の堅い官僚は嫌ーいと思っていたけど、読み進めてるうちに、竜崎は官僚の中でまともな方なのかも?と変わってきた。冴子の存在が大きい。こんな女性になりたい。
    子どもが犯罪に手を染めたとき、自分が親だったらどうするだろう。子どもを擁護しようとする親が多いのではなかろうか。自首させ、罪を認めさせ、罰を受けさせるという決断は、親としてもキツイと思う。さらに自分のポジション問題が絡む。世間体もある。それでも親として正しいことをした竜崎は素晴らしい。
    シリーズ化されてるみたいなので、読んでみようかな。その後の竜崎を知りたい。

  • 面白かった!
    警察官僚竜崎、最初は嫌な奴だなと思って読んでいたのだけどだんだん印象は変わっていき夢中になって読んだ。
    大森署の戸高、これから深く関わっていきそうでそれも楽しみ。

  • 隠蔽捜査シリーズ第一弾。

    警察官僚でエリート街道を突き進んできた主人公。
    家のことは妻の仕事、東大以外は大学じゃない、直属の部下でも信用はしない。
    自分の理想に従い人生を歩んできたが、組織を揺るがす殺人事件に加えて予想外の大問題が起き、今までになく動揺しつつもすべてに真正面から向かっていく。


    警察小説はいくつも読んできましたが、官僚の立場から見るストーリーは初めてで。
    新しい視点で楽しめるかと思ったら、なんとも好きになれない主人公。
    エリートっていうのは本当に嫌な人種なのかと思ってしまうくらい。
    こんなにも主人公に感情移入できないのは初めてでした。

    が、終盤になって、そのイメージががらっと変わり。

    上に立つ人種というものが、みんな彼のようであればいいのに…なんて思いました。

  • 全く融通のきかない警察キャリアの竜崎と幼馴染で同じくキャリア組の伊丹の絡みで進んでいく。
    唐変木という表現がぴったりの竜崎と組織を守るために腐心する伊丹が好対照で面白い。
    警官による連続殺人事件と竜崎の息子の犯罪で思い悩む竜崎。
    なぜだか最初のうち、竜崎に抱いていた反感が途中から竜崎を応援したくなってくる。
    國松長官狙撃事件をベースにした物語。
    官僚として組織防衛を優先するものと官僚として正義を貫こうとする竜崎。
    思わず竜崎を応援してしまう構成の巧みさに完敗。

  • ミステリとは言いがたいですが…母から奨められ一気読了。主人公・竜崎が父に似ていてツボでした。

    • hs19501112さん
      竜崎ににたお父様・・・・。

      実際に父にもったならば、思春期の頃などは、とんでもなく反発したくなったことだろうと思います(笑)。
      竜崎ににたお父様・・・・。

      実際に父にもったならば、思春期の頃などは、とんでもなく反発したくなったことだろうと思います(笑)。
      2012/03/01
    •  未芙美(みふみ)さん
      >hs19501112さん
      コメントありがとうございます。在宅時間の長い職種だった父は竜崎よりも家庭的だったと思いますが、子供の頃から“父...
      >hs19501112さん
      コメントありがとうございます。在宅時間の長い職種だった父は竜崎よりも家庭的だったと思いますが、子供の頃から“父=変人”と思っておりました。もっとも家族の中で娘の私が一番父に似ているのだそうですがw
      2012/03/02
  • 読みやすさと面白さで止まらなかった。お陰で睡眠時間が削られてしまった。
    あらすじにも「変人」とあるけど、竜崎の考えを全て読んでいるこちら側からすると、正義感で溢れる芯の通り過ぎた頑固な男なだけで、好感しか持たない。
    東大以外は大学じゃない、の考え方も、初めは反感を持つものの段々言い負かされてしまいました。邦彦のように。笑
    はー面白かった。すぐに続きを読みます。

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著者プロフィール

今野敏(こんの びん)
1955年北海道三笠市生まれ。上智大学文学部新聞学科在学中、「怪物が街にやってくる」で問題小説新人賞を受賞。大学卒業後、東芝EMI入社。ディレクターと宣伝を勤める。主な担当は、TMネットワークの前進バンド『スピードウエイ』。宣伝では、オフコース、甲斐バンド、チューリップなどニューミュージックを担当。1981年、同社を退社、作家に専念。
2006年『隠蔽捜査』で第27回吉川英治文学新人賞を受賞。2008年『果断 隠蔽捜査2』で、第21回山本周五郎賞、第70回推理作家協会賞を受賞。
2018年は「作家生活40年」のメモリアルイヤーで多くの特集が組まれている。主な企画作品に、2018年7月、任侠シリーズ最新刊『任侠浴場』刊行。新シリーズとして同年10月『継続捜査ゼミ』を刊行した。

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