転迷―隠蔽捜査4― (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (426ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101321592

作品紹介・あらすじ

大森署署長・竜崎伸也の身辺は、にわかに慌しくなった。外務省職員の他殺体が隣接署管内で見つかり、担当区域では悪質なひき逃げ事件が発生したのだ。さらには海外で娘の恋人の安否が気遣われる航空事故が起き、覚醒剤捜査をめぐって、厚労省の麻薬取締官が怒鳴り込んでくる。次々と襲いかかる難題と試練――闘う警察官僚竜崎は持ち前の頭脳と決断力を武器に、敢然と立ち向かう。

感想・レビュー・書評

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  • 今回も快刀乱麻の働き。厚労省の麻取や公安部、警視庁の交通部、外務省と色々な部署を相手に原理原則で押し切って行く。本人の意向を無視して隣の署の捜査本部長迄2つもやらされてしまう。最後は敵対者含めて、みんな呆れるか本来の業務を思い出すのか従ってしまう。あっという間に事件を解決するので爽快感に包まれてしまう。

  • 冴え渡ってたわ〜!!
    竜崎頼りにしすぎの伊丹にも慣れました笑
    3つの事件で忙しい第4巻ですが大森署の連携、信頼、竜崎の采配レベルが上がってきたのがヒシヒシと伝わる内容でした♪

    ただ…娘の恋愛事情に全く興味がないので笑
    この先もウダウダと続くのかしら(-_-;)
    若いんだからもっと遊べよ…


    • 1Q84O1さん
      ハマってますね〜
      なかなかの勢いでシリーズを読破してますね( ̄ー ̄)ニヤリ
      ハマってますね〜
      なかなかの勢いでシリーズを読破してますね( ̄ー ̄)ニヤリ
      2023/09/27
  • 隠蔽捜査シリーズ第4作

    大森署署長、竜崎伸也。
    今作は大森署と近隣署管内で次々と事件が起こる。
    さらに海外で航空機事故が起き、娘の恋人の安否が不明となる。

    前作では恋煩いで、ちょっと戸惑った竜崎だったが、今作は一気に降りかかる難題を正論を貫き通して解決へと導いていく。
    そして竜崎と関わる人々が、その言動に触れて少しずつ変わっていくのが面白い。

    ただ、家族に対しては、変わってきたのは竜崎の方で、これは良い傾向だ。
    いいぞー竜崎!

  • 2014年(発出2011年) 426ページ

    ・近隣の大井署管内での殺人事件。
    ・大森署管内でのひき逃げ事件。
    ・不審火の捜査。
    ・麻薬・覚醒剤売買の捜査に関しての麻取りからの抗議。
    ・美紀の恋人が乗った可能性のあるカザフスタンでの飛行機の墜落事故。
    今回はいろいろな事案が立て続けに起こり、竜崎伸也はかなり頭を悩ませます。
    殺人事件をめぐる外務省官僚との駆け引き。麻薬取締官と捜査方法についての応酬など。
    混迷を極めそうなあらゆる事態を、竜崎は持ち前の合理性で打開していきます。
    捜査方法をめぐる対立、キャリア、ノンキャリアが入り混じっての捜査など、大きなトラブルが発生することが予見できるのですが、最後には上手く収まってしますのです。今回も戸高が活躍!
    情報屋を駆使しての捜査が事件解決への大きな鍵に。

    『俺は大森署の署長だ。一国一城の主なのだ』

    竜崎は大森署での仕事が気に入っています。
    シリーズの続きがあるので竜崎が栄転になることはわかっているのですが、それを考えるとなんか寂しいなあ。

  • 今回も痛快で単純に面白い。
    厚労省麻薬取締官、外務省国際情報官との対応はさすが竜崎さん。娘の結婚問題や息子の大学受験は次の巻でも続くのだろう。少し気になる。所々に出てくる署長決裁の押印シーンは作者のこだわりなんだな。

  • 【隠蔽捜査シリーズ4】
    大森署長、竜崎伸也は大忙し。考えなければならないことが、怒涛のように押し寄せた。

    管轄内の悪質なひき逃げ事件と、連続放火。
    隣の管轄で起こった殺人事件も余波がくる。
    そして、覚醒剤の売人を検挙したら、厚労省のマトリから怒鳴り込まれる。
    娘:美紀の彼が乗ったかもしれないカザフスタン発の飛行機の墜落ニュースで気を揉み、外務省に問い合わせもしたり。。。家族のためにひと肌脱ぐなんて、家庭人として成長している竜崎! 

    そして全てに采配を奮う姿はやっぱり素敵な変人♡ みんな彼には敵わない!

  • 一国一城の主じゃない!って言ってたのに!!
    これにつきます
    周りを変えて自分も変わっていく
    いいシリーズものってこれだな〜

  • 竜崎よ!やはり唐変木で変人で心地良かったぞ。今回は外務省職員が麻薬カルテルに関与し、一方、公安と厚生労働省のマトリの持ち場絡みの対決という難しい対応に苦慮したが、お前の伝手をうまく活用し、暴力団組員を糸口に一気に突破口が開いた。大いに褒めてやる。しかしなぁ、ちょっと話しがマンネリ化してはいないかい?確かに、娘の美紀の婚約相手の飛行機墜落騒動と冴子さんとの噛み合わない会話は良いスパイスになっていたのは認める。が、思うにお前は大森署の署長として満足してしまったようだ!早く上に行き、警視庁をぶち壊せ!

  • 様々な難題が、竜崎署長を襲う第4弾。

    大森署管内で、悪質なひき逃げ事件が発生する。
    更に、生活安全課の署員が覚醒剤の売人を検挙したところ、厚生労働省の麻薬取締官が激怒し、クレームを付けてきた。

    更に、近隣署管内での外務省職員の他殺体の発見や、連続放火事件など難題が立て続けに起こる。

    更に更に、娘の交際相手が載っていた飛行機が墜落した、との報せが入る。
    公私ともに多難な問題に翻弄される竜崎署長。

    やがて、バラバラの事案が一つの絵にまとまり始める。
    最後は、見事な解決に向けて、敢然と立ち向かう。
    引き続き、一気読み必至の良書です。

  • 今野敏「隠蔽捜査」シリーズ長編第4作目(2011年9月単行本、2014年5月文庫本)、短編集も含めて5作目だ。今までのシリーズ最高傑作だと思う。
    今まで通り主人公は元警察庁長官官房の総務課課長、大森署に署長として左遷された竜崎伸也47歳、東大卒のキャリアで階級は警視長である。家族は主婦の妻冴子、大学を卒業して広告代理店に勤める娘美紀、東大を目指す予備校生の息子邦彦の4人家族。
    そしてもう一人の脇役主人公が警視庁刑事部長の伊丹俊太郎47歳。竜崎の幼馴染、小学生の同級生で私大卒ながら入庁キャリア同期生で同じ警視長である。

    物語は同時期に発生した4つの事件、全く関係ない事件が繋がっているのを突き止めた時、事件の全貌が明らかになる。竜崎が組織を超越した人間関係を駆使して大胆に、痛快に全ての事件を解決した時、竜崎の存在感が遺憾なく発揮され、竜崎に反感を抱いていた人間が皆んな竜崎の軍門に下るのである。実に痛快な物語なのだ。

    第1の事件は、大井署管内で起こった殺人事件。被害者は外務省中南米局南米課勤務の41歳の職員若尾光弘。
    第2の事件は、大森署管内で起こったひき逃げ事件。被害者は62歳の無職、元外務省キャリアOB八田道夫。
    第3の事件は、大森署管内で起こった麻薬売人逮捕事件。この売人は厚生省の麻薬取締部(通称マトリ)がターゲット組織壊滅の為に泳がせていた売人だった為、マトリの矢崎滋の猛烈な抗議を受ける事件になる。
    第4の事件は、大森署管内で起こった連続放火事件。これだけは3件の事件とは関係ない事件だが、大森署管内の事件の為、捜査は並行して行われ、結果的に捜査員が捜査の中でひき逃げ事件の目撃情報を得て、一挙に核心へと進むことになるのである。

    殺人事件は大井署に伊丹刑事部長を本部長とした捜査本部が出来、ひき逃げ事件は大森署に警視庁の柿本交通部長を本部長とした捜査本部が出来、竜崎は副本部長だが実務の指揮は本庁の土門交通捜査課長が執っていた。そして竜崎は大森署で麻薬売人逮捕事件でのマトリの矢崎との交渉をしながら、連続放火事件を指揮していた。
    大井の殺人事件では外国人の被疑者が捜査線上に出てはいたが、外務省のガードが固く被害者の職務詳細の情報が取れずに捜査は進展しない。そして捜査協力をするはずの公安部とは情報共有すら出来ずにいた。
    一方ひき逃げ事件でも明らかに故意に轢いた殺人事件として捜査されて来たが、目撃情報が取れずにこちらの捜査も行き詰まっていた。

    そんな中、竜崎は知り合いの外務省キャリアから殺人被害者の外務省職員の職務がコロンビアの麻薬組織と関係していたこと、ひき逃げ事件の被害者の外務省OBは在ブラジル大使館からコロンビアによく出張していたことを聞き出すことに成功する。
    そして高圧的なマトリとの交渉では、原理原則で論破する竜崎にマトリは屈し、情報交換の捜査協力の方針で今後は対処することになる。そして麻薬取引のバックの組織が暴力団「隆東会」だと言う情報を得るのである。
    大森署で連続放火事件を追っていた戸高刑事は自分の情報屋からひき逃げ事件の犯人は「隆東会」の幹部天木兼一だという情報を得て、竜崎に報告。
    竜崎はコロンビアの麻薬組織が日本での販路として「隆東会」と組むことを推測、殺された外務省の若尾はコロンビアで組織を内偵していた潜入捜査官だと言うことがバレて殺害され、若尾とコロンビアで親交があった八田をコロンビア組織が口封じの為「隆東会」に殺させたということを突き止める。
    そして在コロンビア大使館には警察庁から一等書記官として赴任していた折口秀彦40歳が現在警察庁警備局警備企画課の理事官となっていることを突き止める。彼が潜入捜査の指揮を執っていたのである。
    捜査が刑事部、交通部、公安部、外務省、厚生省、そして警察庁警備局警備企画課まで関係する組織が広がり、横の繋がりが無ければ絶対に全容はわからないはずだった。竜崎がその縦割り組織を壊して捜査しなければ解明しなかった。
    伊丹と柿本はその広範囲な組織からの圧力から逃げて、両捜査本部の指揮を竜崎に投げてしまう。そして期待通り竜崎は解決する。
    竜崎は両本部の連絡係に因縁の野間崎管理官を指名し、 野間崎は竜崎の仕事振りを間近に見て彼もまた竜崎の軍門に下ることになる。
    何しろ次から次へと竜崎に反感を持っていた人物が竜崎の軍門に下っていく様が痛快な物語なのだ。

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著者プロフィール

1955年北海道生まれ。上智大学在学中の78年に『怪物が街にやってくる』で問題小説新人賞を受賞。2006年、『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞を、08年『果断 隠蔽捜査2』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を受賞。

「2023年 『脈動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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