あっぱれ技術大国ドイツ (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101322339

作品紹介・あらすじ

凝り性で働き者。そんな国民性を背景に、優秀な工業製品を生み出してきたドイツ。でもその底力は意外に知られていない。ポルシェやディーゼル、ツェッペリンなど歴史に残る発明家が数々輩出し、現在では、ニッチな市場に特化することで、世界的なシェアを占める無名の中規模企業が活躍する。在独20年の著者が探る、日本に似ているようでやっぱり違う、ドイツ流ものづくりの秘密。

感想・レビュー・書評

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  • ドイツ在住の著者の目で
    身近に感じたドイツ発の技術を
    いろいろ紹介してくれる本。

    こういう「はじめて物語」大好き。
    ひらめきを形にする過程がおもしろい!

    レンガ造りのドイツの家だからこそ
    大ヒットしたという器具「デューベル」とか
    よく考えてあるよな〜。

  • 前半では、ドイツの発明品やポルシェやダイムラーといったドイツ人の技術者(Tueftler)を紹介している。そして、多くのTueflterを輩出し、現在もドイツ経済の牽引地域であるBaden-Wuertenberg州の経済的成功の基礎には、シュタインバイスという一人の技術官僚の活躍があったことが紹介される。

    後半では、ハレ経済研究所などのドイツ人研究者と直接ドイツ語で取材し、日経新聞等のマスメディアからは知ることのできない、ドイツ中小企業の技術革新や創造性の原動力について、キリスト教価値観やドイツの企業制度、社会保障制度から考察しており、興味深い。

    本書は著者がドイツ語でドイツの大学で講演したことを契機に企画されたように、ドイツに関する歴史を踏まえた幅広い知識を基礎に、ドイツの中小企業(Mittelstant)を取り扱った、ドイツに20年以上滞在している熊谷氏にしか書けない作品だ。

  • 本書で著者は、物づくり大国ドイツのキーワードとして、物づくりを重視するドイツ人の国民性を示す言葉「テュフトラー」、B2Bビジネスでニッチトップを狙う「ミッテルシュタント(中規模企業)」、偉大な発明家を多く産出したバーデン・ヴェルテンベルク州の「シュバーヴェン人」、を挙げている。
    また、ドイツ人気質について、節約と効率化が大好き、整理整頓、秩序を愛する、凝り性で完全主義者、お上と規則への強い服従心等の特徴を挙げている。
    本書は2010年出版だが、ドイツの国民一人当たりのGDPは日本を上回り、「日本人よりもはるかに多く休みを取りながら、日本人よりも多くの価値を生み出している」状況のようだ。リーマンショック後の回復も速く、ドイツ経済の好調性を垣間見ることができる。「びっくり先進国ドイツ」では、可処分所得が少なく倹約を旨とするドイツ人の慎ましい生活が描かれていたが、10年経たずに状況は大きく変わったのだろうか?

  • ドイツっぽい話題満載。自分がドイツに行った時に感じた人間性や国民性がそのまま書いてあったので、理解が正しかったのだと安心。テュフトラーをはじめとして職人気質の国だな、と再確認した。特に第5章「きっちりドイツ人の根源は?」という章が出色の出来だと思う。
    http://nagoemon.blog56.fc2.com/blog-entry-618.html

  • 2

  • 「テュフトラー」の国、ドイツ。
     ドイツ特許の24%がシュトゥトガルトを州都とするバーデン・ヴュルテンベルク州で取得。
      ダイムラー、ボッシュ、ツェッペリン、シュタイフ、アインシュタイン・・・
     精密機器などに表時間かけて細かい手作業に凝ったり、工夫したり、試行錯誤したりするのが好きな人。
      
    BtoBの中規模企業が多い。
     従業員500人未満、売上高5000万ユーロ未満。
     ドイツの企業は99.7%が中規模企業。
      経済規模の大きな市場では不利。
     
    古都アウグスブルグ
     戦闘機のメッサーシュミット、戦車のMAN社の工場があった。
     ベーヴェ社 自動封入・封緘機で世界トップシェア
      NTTの請求書にて採用。

     尼崎通りと長浜通り
      ヤンマー創業者山岡孫吉がドイツ留学後、小型ディーゼルエンジンを開発。
      1955年にドイツ発明協会かあディーゼル金賞杯を授与。
      1957年に日本庭園「ルドルフ・ディーゼル記念苑」を寄贈。
          ディーゼルの息子からはディーゼルの遺品の懐中時計を贈られる。 
      1959年にヤンマーの工場がある尼崎市・長浜市と姉妹都市となる。

    ポルシェ、ベーヴェ、シェフラーといった優秀な技術を持つ企業が投資に失敗し窮地に追い込まれる。

    ドイツ人
     節約と効率化
     整理整頓・秩序
     凝り性で完全主義
     お上と規律への強い服従信
     プロテスタンティズム、成果主義、天職
     強い労働組合、手厚い社会保障制度
     新しいものへ飛びつかない

  • ドイツ人の細やかさ、日本との類似点、相違点ガ実に良く書かれている。読みやすいし、あまりぢうじじょうを知らない私にとっては興味深く、学ぶべきトコロが多かった。

  • ミッテルシュタント(Mittelstand)について書かれた本を探していた時に出会った本。
    テュフトラーの記述については、初見だったので学ぶことがあった。

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  • 技術大国ドイツについて書かれた本。B to B で一般的には知られていないが、ニッチ市場に強いドイツ。本屋で衝動買いしたが、ドイツ好きにはたまらない一冊。

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著者プロフィール

1959年東京生まれ。早稲田大学政経学部卒業後、NHKに入局。ワシントン支局勤務中に、ベルリンの壁崩壊、米ソ首脳会談などを取材。90年からはフリージャーナリストとしてドイツ・ミュンヘン市に在住。過去との対決、統一後のドイツの変化、欧州の政治・経済統合、安全保障問題、エネルギー・環境問題を中心に取材、執筆を続けている。
著書に『ドイツ人はなぜ、1年に150日休んでも仕事が回るのか』『ドイツ人はなぜ、年「290万円」でも生活が豊かなのか』(ともに小社刊)、『ドイツ人はなぜ、毎日出社しなくても世界一成果を出せるのか』(SB新書)、『パンデミックが露わにした「国のかたち」』(NHK出版新書)など多数。『ドイツは過去とどう向き合ってきたか』(高文研)で2007年度平和・協同ジャーナリズム奨励賞受賞。

「2023年 『ドイツ人はなぜ、年収アップと環境対策を両立できるのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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