真夜中の五分前―five minutes to tomorrow〈side‐A〉 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 2419
レビュー : 250
  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101322513

作品紹介・あらすじ

少し遅れた時計を好んで使った恋人が、六年前に死んだ。いま、小さな広告代理店に勤める僕の時間は、あの日からずっと五分ズレたままだ。そんな僕の前に突然現れた、一卵性双生児のかすみ。彼女が秘密の恋を打ち明けたとき、現実は思いもよらぬ世界へ僕を押しやった。洒落た語りも魅力的な、side‐Aから始まる新感覚の恋愛小説。偶然の出会いが運命の環を廻し、愛の奇蹟を奏で出す。

感想・レビュー・書評

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  • 小さな広告代理店に勤める僕は、大学生の頃に恋人・水穂を交通事故で失って以来、きちんとした恋愛が出来ない女たらし。優秀で仕事は出来るが恐ろしい女上司の下で働いている。

    常に時計を五分遅らせる水穂の習慣になんとなく今も倣ってしまう彼は、最近別れた恋人にも「あなたは五分ぶん狂っている」と言われ、社会や他人と少しだけずれたまま日々を過ごしている。

    ある日、プールで出会った魅力的な女性かすみに頼まれ、彼女の妹ゆかりへの結婚祝いを選ぶことに。かすみはゆかりと一卵性の双子であるが故に、常にお互いの行動や選択を意識し、境界線を見失いそうになるという悩みを打ち明ける。興味深く感じた僕はかすみと共に、ゆかりとその婚約者の尾崎氏とも交流を深めていくのだが・・・

    シンクロし合うという双子の神秘的特異性は好きな異性のタイプまでも一致させてしまい、辛い想いを抱えるかすみ。その秘密に気づいたときから彼女をなんとなく意識してしまう僕。。。

    side-Bに続きます。

    • HNGSKさん
      HETAREさん、こんにちは。
      これ、私も読んでみたいなあと思っていた作品ですが、おススメですか?
      HETAREさん、こんにちは。
      これ、私も読んでみたいなあと思っていた作品ですが、おススメですか?
      2013/09/27
    • hetarebooksさん
      ayakooさん

      うーん、、、本多作品の中ではなんというか、スッキリしない作品なので最優先で読むのはオススメしませんね。。。本多さんの作品...
      ayakooさん

      うーん、、、本多作品の中ではなんというか、スッキリしない作品なので最優先で読むのはオススメしませんね。。。本多さんの作品なのに村上春樹っぽい印象を受けます。
      2013/10/03
  • 六年前に死んだかつての恋人がそうしていたように、時計を五分遅らせ、世界と五分ズレた時間を淡々と生きる主人公。
    ある日彼は、通っている公営プールで双子のかすみに出会います。
    そこから世界が少し、あるいは大きく動き出す話の前編。

    自分が自分であることの証明は、思ったよりも難しい。というか不可能なのだろうか。(東野圭吾「パラレルワールド・ラブストーリー」を思い出します)
    まして、自分に良く似た(似すぎた)双子のゆかりがそばにいる、かすみならその思いは尚更かもしれません。

    なぜ彼は彼女じゃなくて自分を選んだのだろう。
    なぜ彼は自分じゃなくて彼女を選んだのだろう。

    答えの出ない問いはSide-Bへ続きます…。

    真夜中の五分前。
    すでにみんな新しい日を迎えているその時に、五分遅れた時計と主人公は、まだ「昨日」を持て余している。
    少しだけ、でも確実にズレている時計は、ソツなくすべてをこなしているようで、どこか一線をひいている、冷たい(性格ではなく、熱量を感じさせないという意味で)主人公を象徴しているようでした。

  • 「甘えたい衝動があり、それが甘えだという理性もあった」

    このフレーズが何故かよい。とっても簡単な文だけど、気持ちの複雑さをよく表現していると思う。
     クールで無愛想でアパティア、でも自然と周りが寄って何でもうまくいく。これがこの本の主人公の設定で、他の小説でも男性が語る場合はほとんどがこんな主人公。
     そして私たちはそんな人物にどこか憧れている。そしてその再生の物語にも憧れている。僕らが憧れるからこそ春樹的主人公で溢れかえる。
     でもこの憧れは胸を張れるものじゃない。例えるなら、廃墟の持つ引力みたいなもの。
     男性が見る理想の自分象、そこにある退廃性を本多さんはこの主人公を通して、徹底的にフィクショナルに描きだしている。まるでゴダールが撮ったミシェル・ポワカールのように。
     主人公の心、ひいてはすべての男性の心が見透かされている感じがして心地いい。そして、そのフィクションがまるで私の心のようでもあるから不思議だ。

  • 少し遅れた時計を好んで使った恋人が、六年前に死んだ。いま、小さな広告代理店に勤める僕の時間は、あの日からずっと五分ズレたままだ。
    そんな僕の前に突然現れた、一卵性双生児のかすみ。
    彼女が秘密の恋を打ち明けたとき、現実は思いもよらぬ世界へ僕を押しやった。洒落た語りも魅力的な、side‐Aから始まる新感覚の恋愛小説。
    偶然の出会いが運命の環を廻し、愛の奇蹟を奏で出す。

    やっぱり本多さんが書く人物はどれも魅力がある。
    不器用である種開き直りも見せている主人公。
    交通事故で死んでしまった、水穂。
    プールで出会うかすみ。妹のゆかり。
    ゆかりの婚約者の尾崎さん。
    べらぼうに金持ちの野毛さん。
    その他みんな個性があって面白い。

    激しい恋愛の後摩耗して、疲弊しきった時に雨宿りの様な恋がある。
    そんな風に思う。
    それは雨宿りであって、止まない雨は無いのも事実。
    だけどそれは必要であって、そこに愛が無いとも言い切れない。

    序盤の祥子との関係もそういうものだろう。
    そして主人公はそういう関係性を求めていたし、そういう人が主人公の周りに集まって来ていた。

    主人公の上司の小金井さんの恋も何気に切なすぎる。
    小金井さんの10年間にどれほど押しつぶされるような思いがあったのだろうか。

    きっと主人公が雨宿りの様な恋が出来ていたから、かすみとの関係維持できたのだと思う。
    人と人との交わるタイミングって不思議なもんだ。

    そんでもってその雨宿りが帰る所になるときだってある。
    引用させてもらえるならば、

    人生は偶然も必然も無い。ただそこにあるだけだ。

    自分もそう思う。

  • 本多孝好が面白いということと、恋愛小説が意外と面白いと教えてくれた小説。
    一卵性双生児の恋とそれを含めるミステリーさ。男の弱いところと、男の性。なによりも文章が面白い。ページを捲る度に気になる展開力も素晴らしい。一時間もあればすぐ読めるので、何回でも読んでみる。真夜中の5分前の意味はイマイチ分からなかったので☆4

    作中名言「需要なんてどこにもない。供給だけはいくらだってある。それじゃバランスが取れないから、仕方無しに価値をつけたんだ。価値をつけることによって、ありもしない需要を無理やり作り出した』
    仕事じゃない。人や恋においても通じる哲学めいた言葉。

  • この作品内は、上手く反復が使われていると思う。例えば「恋は拾うものでも買うものでもない。そういうこと、言わせないでくれる?恥ずかしいから」「恋は拾うものだし買うものですよ。拾ったものに、買ったものに、そう名前をつければいいだけです。まったく。こんなこと、言わせないで下さい。恥ずかしいから」…と言ったように。前者のセリフをうまく後者が拾う。それ以外も、飄々としすぎている主人公のセリフが非常に淡白でユーモラスでシニカルでいい。どうやら、この作品はsideAに続いてsideBを読まなければならないようなので、そちらもまた楽しみ。このままだと、ちょっといきなり終わりにハッピーエンドにしてみました?みたいな感じがあるので。。さぁ次はどう来るか!?

    (2008.03.05)


    久しぶりの再読。
    やっぱり好きなポイントは変わらないなぁっていう。
    でも昔よりじっくり行間を追ったつもりでいるので、少しは深く読みこめたかなとか。。
    この後のSIDE-Bまで含めて楽しむのです。。

  • すっごい不思議。ここだけじゃまだなんともいえない、sideBにうつる。

  • ★2009年1月27日 10冊目読了『真夜中の五分前 SIDE-A』本多孝好著 評価B+
    現代風なとらえどころのない20代後半で広告代理店に勤める主人公と偶然市営プールで知り合った一卵性双生児のかすみ。主人公は、6年前に亡くした学生時代の恋人水穂の傷を引きずり、かすみは妹の婚約者に恋をしていた。何となく感覚が合うのか、本多の作品には理解できる分かりやすい所がある。こうなると相性の問題なのだろう。多分、嫌いな人は嫌いだろうな。しかし、なかなか評価Aは取れない。なぜなら、彼自身がそこまでの内面に踏み込めない限界を持っているから。

  • 2018.6.14-142

  • 尾崎さんは屈託のない人だった。
    30過ぎまで生きているのだからきれいごとだけでやって来られるわけはない。けれど、それが影にならない。曲がったものも、湿ったものも、塩辛いものも、その都度、きちんと飲み込んで消化して来たのだろう。

    愛想のない即物的な人物説明に僕は茶々を入れた
    目が二つで鼻が一つ?

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著者プロフィール

本多 孝好(ほんだ たかよし)
1971年、東京都生まれ。弁護士になるため慶應義塾大学法学部に入学したが、大学4年生の時、同じ学部の金城一紀に小説執筆を依頼されたことがきっかけで、作家を選択肢に入れる。弁護士になるか迷っているさなかの1994年、「眠りの海」で第16回小説推理新人賞を受賞し、作家となることを決心。
以降、1999年『MISSING』で単行本デビュー。
2008年短編集『FINE DAYS』に収録された『イエスタデイズ』が映画化されたのを皮切りに、『真夜中の五分前』、『ストレイヤーズ・クロニクル』、『at Home』など映画化された作品多数。その他代表作として、『MOMENT』など。

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