善魂宿 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101323251

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  • 白川郷や周辺の地域の民俗学的な伝承に材料を得た連作短編集。
    合掌造りの大きな家に永吉と母は二人きりで暮らしていた。時折り、道に迷った旅人に一夜の宿を提供するほかは、ひっそりとした日々。旅人たちが語る村の外の世界の話は、永吉にはどれも靄がかかったように現実感のない出来事ばかりだった‥。
    栄えていた大家族による村は、世の中の変化によって次第に崩壊していく。何百年と経っているわけでもないのに存在していたことが信じられないような不思議な感覚だ。

  • 隠れ里の風景と、独特の風習で営まれる男女の性生活…風の音や雪の匂い、緑のわさわさする感じなども、目に見えてくるような描写で、なかなか良かった。あとがきまで、興味深く読みました。

  • 時代に抗い切れず、自分たちの社会、大家族制が崩れていく。10.10.11

  • [初版(第1刷)]平成16年12月1日

  • まるで 一本の木の下で転生を繰り返す蝉のように

    生まれてから死ぬまでの一生を ひとつの家で完結させる

    財産も 配偶者も子供も すべて家のもの

    数十人が 枕を並べ 裸になりわらの中で眠る

    プライバシーさえない生活

    それが 種を残していくという 動物の本能のままの姿

    何の疑問も持たず 与えられた運命を全うしていく姿は

    近寄りがたく 神々しくもある



  • 「人間」が生きるという事が、ぞっとする程の迫力で迫ってくる作品です。本能というか、人間の内奥の部分迄暴き出している様な。それだけに読んでいて抗い難い引力を感じましたね。只良く出てくる官能的表現が…「艶かしい」と言うよりは「生臭い」に近いので、苦手な方は心した方が良いかもしれません…。

  • 重たい空気と血の匂いが漂ってきそうな作風は相変わらずだが最初の話は泣ける。

  • 現代の自分たちの価値基準で判断すると、昔の閉ざされた世界の因習など(特に女性にとっては)とんでもないものだ。だが、当時を生きた人にとってはどうだったのだろうか。過ぎ去っていった遠い昔の日々への懐かしく寂しい思いと、狭い世界に閉ざされたままの一生への悲しみがないまぜになった残酷で美しい話だ。

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