二十世紀を見抜いた男―マックス・ヴェーバー物語 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (531ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101324050

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  • 曽祖父から始まる悲劇の精神的病をもった家系。マックスの母ヘレーネ、プラトニックな関係に終わった従妹エミー、そして妻マリマンネらとの関わり、父との不幸な対立はエディプス・コンプレックスを思い出ださせます。特に曖昧な恋愛に終わり、病になったエミーに対するマックスの罪悪感と手紙に見せる優しさは悲しく美しいドラマです。またキリスト教への懐疑に悩み、自由主義神学との出会いにより眼を開かれる若い日の姿は後年に名著「プロ倫」を著す背景としても興味深いものがあります。またマックス自身の精神的な病との闘いもそのドラマ性を高めています。森鴎外、ビスマルク、そしてヒトラーと同じ時代のドイツを生きた人たちの歩みにも触れ、プロイセンからドイツ帝国誕生、そして第一次大戦敗戦という時代のドイツの雰囲気を味わうことも出来ました。

  • マックスウェーバーの人生を、日本で出版された一般書籍を元に、構成している。ウェーバーの人生について、概観するためには、面白い本。
    ただし、著者はドイツ語が全く理解することができていないし、学習することもなかったようである。また、ウェーバーの著作についても、ウェーバー全集やウェーバーに関する学術論文を参考にしていることはないようである。
    つまり、ウェーバーの著作をきちんと理解し、ウェーバーが生きた時代、場所について、きちんと研究したドイツ人研究者によるウェーバー像とは、異なるものだろう。

     ウェーバーという人物の人生を、日本人の作家がまとめてみた作品である。

  • 130630 中央図書館

    ヴェーバーの思想の背景を、その生い立ちや生活から分析するといった類の本ではない。作者が若年の頃から「魅かれていた」ヴェーバーについて、さまざまな伝記を読み散らした上で、それを自分なりの評伝としてまとめた随筆のようなものである。

    特にこれといったまとまりはなく、緩やかに時系列となったエピソード集といってよい。長々と挿入される引用が読みにくくしているのも事実。

    しかし、ヴェーバーが突き抜けた体力と集中力と構想力を持つ大学者であったことはストレートに伝わってくる。肉食人種だなあ、というところ。

  • 500ページを超える本書の大半は、名著『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』を発表する前の伝記的内容です。

  • 一行のツボ:「マックス・ヴェーバーが何時ごろの人であるかは、森鴎外より二つ年下、といえばわかりやすいのではあるまいか。」

  • 「知識人」や「資本主義」がどうしようもなく腐敗している現代の状況を100年前に見通した巨人が、資本主義がプロテスタントの勤勉と自律と禁欲の上に発達した逆説を究明するまでの曲がりくねった道筋を追い、いま拝金主義と知的虚栄をいかに廃するかを考察した根源的(ラディカル)な思考を示した大著。

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著者プロフィール

長部日出雄(おさべ ひでお)
1934年9月3日 - 2018年10月18日
青森県弘前市出身の小説家、評論家。故郷である津軽についての小説、エッセイを多数刊行。
早稲田大学文学部哲学科中退。1957年『週刊読売』記者に。その後退職し、雑誌『映画評論』編集者、映画評論家・ルポライターを経て、作家になる。
1973年『津軽じょんから節』『津軽世去れ節』で第69回直木賞、1979年『鬼が来た-棟方志功伝』で第30回芸術選奨文部大臣賞、1986年『見知らぬ戦場』で第6回新田次郎文学賞をそれぞれ受賞。2002年『桜桃とキリスト もう一つの太宰治伝』により第29回大佛次郎賞・第15回和辻哲郎文化賞を受賞。紫綬褒章受章。
それ以外の代表作に『天皇はどこから来たか』『「古事記」の真実』など。2018年10月18日、虚血性心不全のため死去。

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