君はこの国を好きか (新潮文庫 さ 27-5)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101325156

作品紹介・あらすじ

わたしはハングルに感電した-。アメリカで出会った友人に影響され、雅美は韓国語に魅せられて、ついに留学を決意する。ところが文化の違いから、いらだちと挫折感を味わうようになって…。東京とソウルを行き来する青春の日々を新しい感性で描く『君はこの国を好きか』に、ふとしたことから、在日であることを自覚させられる男子大学生を主人公にした『ほんとうの夏』を併録。

感想・レビュー・書評

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  • ダンゴムシとエビの話は(笑)

  • 鷺沢萠が大好きでよく読んでいます。
    (今年に入って三冊目の読了です。)
    在日韓国人がテーマ二編が収録されています。
    個人的には「君はこの国を好きか」のほうが好きです。最新作が読めないのが残念ですが、他の作品も読んでみます。

  • 今の米国の例を見るまでもなく、外国人であるということで、行動は非常に制限されたりするわけで、でもお金さえ払えば良いよ、というのはニュージーランドとかもそうだったり、世界で至極当然に行われていることなんだけど、日本と韓国に当てはめて、更に在日朝鮮人であれば尚更なんだろう。外国人という状態のまま永住するということが異常すぎる。
    とかなんとか言ってみても当事者にとっては何の慰めにもならないわけで、多感な時期には色々あるよ。という彼らの足掻きが伝わってくる。スルッと気にしなきゃ良いのに、っても思うけど、なかなかね。

  • 「ほんとうの夏」「君はこの国を好きか」の2編が入った本で、どちらも主人公は在日3世。韓国(朝鮮)には行ったことがない。ハングルはしゃべれない。でも日本で「外国籍」ということで差別されたり、不利益を受けたことがある・・・。今まで小説で読んだ「在日」は、1世の話ばかりだったけど、いま、こういう人たちの方が多いと思う。つかみきれない感情。もやもや。あった方が良い、ない方が良い、どちらとも言い切れないが、純日本人のエゴなのかな。

  •  いわゆる在日の方が、そのルーツである韓国という存在に目覚めたり、実際に留学を経験する姿を描いた小説。著者は韓国のクォーターだそうで、延世大学の語学研究院への留学経験もあるらしい。
     小説としては、うーん、どうなのか。まあ、韓国留学を考えている人にはいろいろと参考になる部分もあるのではないか。

  • (2023/04/12読了分)再読。前回同様鷺沢萠「ありがとう」を再読したことをきっかけに。◆在日韓国人三世の俊之が、通名と本名とのあいだで揺れ、両方とも名乗るいとこ、本名でとおすおさななじみとの対話を重ね、いまつきあっている彼女に、車の事故処理でつれなくしてしまったあとに、逡巡の果てに、もう一度電話するところまで。そこで話されることはおそらくきっと…。(ほんとうの夏)在日韓国人三世の雅美が、それまで知ろうとしてこなかった韓国のことを、アメリカ留学で出会った韓国生まれ韓国育ちのジニーをきっかけに激しく知りたくなり、韓国へ留学。そこで味わったのは愛憎半ばする思い。ハングルに感電し、激しく惹きつけられ、同じだけ「裏切りあい」とも思える失望を味わい。それでも「あんた、この国を好きやった?」という鐘煕への回答は、きっと愛にあふれたものになるだろうことを予感させつつ、締めくくられる物語。ほんまのことを、知りたいやん。..歴史学を専攻した理由を問うた雅美への鐘煕のこたえにはグッと来た。(君はこの国を好きか)(2017/06/05読了分)ほんとうの夏、 のみ、何年かぶりの再読。同じ著者のエッセイ「ありがとう」で触れられてるのを見て。普段は通名で暮らす在日韓国人の男の子が、付き合ってる子に自分の国籍を知られないように、交通事故の現場から怒鳴って追い払ったシーンを軸に…隠してたわけじゃない、気がついたらそうなってたのに、今さら…という気持ちをすくい上げたかったのかもしれないけど、幼馴染の、それは隠したかったってことでしょ、という言葉に素直になり、自分から連絡をとることに、と。初出から20年経ったけど、状況は変わったのだろうか、と思いを巡らす。

  • ジニのパズルを読んで読むシリーズ その2

    群像さんリツイートありがとうございます。あの作品を読んでまだまだ読書の波が。

    葉桜の日から7年が経ち、鷺沢さんも30歳近くになっての作品。
    実際には「ほんとうの夏」が92年の作品で、芥川賞候補になって、そこから韓国の大学に留学して、97年「君はこの国を好きか」でこれまた芥川賞候補。

    むつかしいなぁと。

    「ハングルに感電」でして韓国留学、そして大学に進むんだけど、その話どうしても「ナビ・タリョン」「由熙」の世界とダブってしまうんですね。
    由熙が89年に芥川賞を受賞している。

    それが私頭から離れない、となると選考委員の人たちも(違っているのかもしれないけど)そうなのではないか、というところがありました。

    日本での違和感、それなのに韓国にいざいっても文化的には日本の人間と変わらないわけでそれはそれで違和感を感じてしまう。

    在日3世の苦しさ、自分の力ではどうしようもないことに対するこの苦しさは、こういった作品を通じて、自分の中に少しでも、感じとらないといけないなと、改めて思います。

    10代で史上最年少で文学賞を受賞!からの出生の事実を知り、韓国留学を経ての結果こうなると、作家として厳しい部分があったのではないか。

    35歳で自殺、ということを読むと、そんなことを想像せずにはいられない。

    逆に、何も知らない頃に受賞した「川べりの道」が読みたくなりました。知らぬまま、作家生活を歩んでいたらどんな人生に、どんな作品になったんだろうと詮無いことを考えながら。

  • 葉桜忌の再読。
    在日三世の若者の戸惑いを描いた二つの中編を収めた物語。
    この当時の鷺沢さんでしか描けないビビットな作品。

    40代の鷺沢さんが描く物語が読みたかったなぁ。
    そして、この作品を2015年に出版できる出版社はあるだろうか。

  • 在日韓国人が日本人でもなく、韓国人そのものでもなく、自らのアイデンティティを把握しかねて悩みのうちにある様子が手に取るように分かりました。決して私達が差別をしようとしていなくても、本人たちにとっての純然たる祖国がないということだけでも大きな悲しみなのだということが良く分かりました。思わず惹きこまれ一気に読むことになりました。

  • 日本にも帰属できない、夢見た祖国には不適応を起こしてしまった―そんな在日コリアンの女性の成長物語。「在日コリアン」としてのアイデンティティを獲得する描写は見事。

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著者プロフィール

鷺沢萠(1968.6.20-2004.4.11)
作家。上智大学外国語学部ロシア語科中退。1987年、「川べりの道」で文學界新人賞を当時最年少で受賞。92年「駆ける少年」で泉鏡花賞を受賞。他の著書に『少年たちの終わらない夜』『葉桜の日』『大統領のクリスマス・ツリー』『君はこの国を好きか』『過ぐる川、烟る橋』『さいはての二人』『ウェルカム・ホーム!』など。

「2018年 『帰れぬ人びと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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