ウェルカム・ホーム! (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 67
  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101325200

感想・レビュー・書評

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  • 好きなタイプの話で、終わり方もよかった。
    お話は2つ。まったく互換性はない。

    最初のストーリーは、友達と同居することになった渡邊と友達と死んだ母親の元に生まれた子供と一緒に3人で住むことで起きる些細な日常の積み重ね。
    日常って言っても、彼らにとっては事件ってこともあるしね。
    子供が無邪気なのがいいね。きっと心の中では思うことはあるにしても、きっと父親の楽天主義に影響されているのか、そういう無邪気さが救い。

    主夫をすることになる渡邊も葛藤はするんだけど、自分が「いい」と思える仕事が家事だってわかってよかったんだよね。もちろんすんなりこの結論にたどりついたわけではなけど。

    2話目のキャリアウーマンの律子の話も好き。
    子持ちと結婚して、子供の世話をすることに悪戦苦闘するんだけど、結局離婚することになって、血は繋がっていなくても大事に育ててかわいがってきた子供との別れはつらく・・そして時は経ち、ある日男の子が訪ねてくるって流れ。

    なんだろう。
    両方ともきれいごとかもしれないけど、あったかい。
    そうそう。あったかいの。
    家族っていいな。
    そういう意味で。

    二組とも子供(同居している、していた)とは血はつながっていない。でも愛おしみ、慈しみ、教えられることの大さといったら。
    単に働いているだけではわからないこともある。

    私は子供はいないけど、こういう家庭、というか心の持ち方を忘れないようにしたいと思った。

  • 読みやすい。何となく心温まる。家族とちゃんと向き合うって大事って思う。遠慮せず、心配してやろうと思う。

  • 【本の内容】
    いちばん大事なのは、お帰りって声をかけてくれる人がいること。

    親友の父子家庭に居候しながら家事と子育てに奮闘する元シェフ渡辺毅と、再婚にも失敗し前夫の連れ娘と引き離されたキャリアウーマン児島律子。

    それぞれの「ウェルカム・ホーム」をさがすふたつの物語に優しい涙がとめどなくあふれる。

    まるで神さまからのギフトのような慈愛に満ちたサギサワの最高傑作。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    ホーム――家族の物語だ。母親がおらず父親が二人の家庭など、少し変わった家族の姿が綴られる。

    とても温かい気持ちにさせてくれる。

    血がつながっていてもいなくても、何人かの人間が不器用に寄り添い、一緒に暮らすべく試行錯誤している様子に、「ああ、こんな家族が欲しいなあ」と思わせられる。

    彼らは最初から気が合うから家族になったというよりも、一生懸命家族になろうとしている。

    友人の息子でも、夫の連れ子でも、関わり合ううちに主人公自身が少しずつ変わっていく姿がいとおしい。

    そうしてつくりあげた家族だからこそ、ただ一緒にいる家族よりもずっと強固な絆で結ばれるのだろう。

    そんな、とても羨ましい光景を見せてくれる小説だ。

    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 渡辺毅と児島律子の物語。この二人に関連性はなく、それぞれの家族の形が描かれている。
    所謂、両親が揃っていて・・・という「普通」の家族、「普通」の結婚を逃した二人が、自分達なりの幸せと家族の形を捉え、受容していく過程がよかった。表現が適度にポップで、重すぎず暗すぎず。幸せにもひたりすぎずで、これからも様々に形を変えうる家族の可能性を秘めながら、前向きに進んでいこうとする家族たちに感動しました。

  • 久しぶりの鷺沢萠。家族とは何かを問い続けた作者が最後に遺した作品。フツーな家族って何?フツーな家族なんてないんだから、自分に正直に生きれば良いんじゃない、とでも言いたげな作者の優しさに触れられる作品。来年4月11日で没後10年。早すぎるよ、鷺沢さん。

  • 「渡辺毅のウェルカム・ホーム」は、父子+父親の男友だちの3人家族の、
    「児島律子のウェルカム・ホーム」は、再婚相手の連れ子との、
    どちらも血のつながりのない家族を描いた作品です。

    「フツー」ってなんだろう? 
    家族ってどんな形だったっけ? 
    家族って誰だっけ?

    この作品を読みながら「家族って」と考え始めると、
    思考が迷子になりそうです。

  • 様々な悩みと共に生きていく人々の「ホーム」を探る中篇二つ。

    フツーという枠で人を括ることがどんなに愚かなことか。
    ある意味ではフツーではない環境を持った主人公達が、最終的に自分なりの「ホーム」を見つけていて、じゃあフツーなあなたの「ホーム」は?と問いかけられているような読後感。今生きている環境に改めて感謝させられた。
    どちらもホロリとくるようなラストが用意されていて、全体的に見るとすっきりと読めるが、個人的には二つめの話の展開がちょっと。。
    回想を中心に事実の羅列のようなじれったい描写が続き、少し読み進めるのが辛かった。控え目にこの星数で。

  • 読後感がとっても良かった本。
    何度か読み返したお気に入り。

    この作者の本はこれしか読んでいないが、この本を読みながら、スタバで豆を引いてもらっていたら、店員さんに「この方最近亡くなりましたよね」と言われてすごく驚いたのを覚えている。

  • ちょっといい話 二題、といったところでしょうか。

  • 『「渡辺毅のウェルカム・ホーム」「児島律子のウェルカム・ホーム」という2つの作品が収録されている。
    鷺沢さんの作品は、以前『大統領のクリスマスツリー』をの繊細な感情描写と構成の見事さに打たれてからまめにチェックすることにしている。
    今回も書店でまたまた目にして思わず買ってしまった。
    もっとも、購入したときには「渡辺毅のウェルカム・ホーム」「児島律子のウェルカム・ホーム」というタイトルから『冷静と情熱の間』のように同じストーリーを男女の視点から描いた作品だと早合点していたのだが、ここに収められているのは2つの独立した作品だった。
    「渡辺毅のウェルカム・ホーム」で描かれるのは、二人の男と息子の「ダブルファーザーファミリー」で、「児島律子のウェルカム・ホーム」では「女は家庭を守るもの」という観念と「働きたい」という欲求、「夫に代わって働いて一家を養わねばならない」という必要のはざまで苦しい立場に置かれた妻が描かれる。
    どちらも「普通」の家族関係とは言えないだろう。
    苦しみ、悩み、時に傷つきながら、登場人物たちは前を向き、自ら救いを見出していく。

    「自分が向いてない分野のことは、向いてるヒトに任せる。その代わり、自分は自分が向いてる分野で役に立つ。それでいいんじゃないっすかね」

    誰もが心の底でそう思いつつ、「でも、やっぱり」と躊躇するところで、彼らは一歩踏み出す。

    三浦氏は次のように疑問を投げかける。

    「一人ではいきていけないから、人間は『社会』を形成する。不足しているものをお互いに補いあって、なるべく幸せに暮らしていくためだ。幸せを感じるのは個人の心なのだから、『社会』を構成する単位は『個人』であるはずだ。それなのになぜ、『家族』が単位であるかのように、『社会』の仕組みはできあがっているのか。」

    家族には、家族にしかない良さがある。

    家庭を守る妻、一家を支える夫、両親の愛に育まれすくすくと育つ子供たち、活気ある一家団欒のひととき――

    そうしたモデルは、やはり魅力的だと思う。
    でも、そうした幸せは誰もが享受できるものではない。
    また、そうしたモデルをすべての人が目指す必要もないだろう。

    結局、人間はひとりでは生きられない。
    助け、助けられて生きている。
    その助け合いの方法は、別にひとつじゃない。
    正解なんかない、いや、自分が信じたものが正解なんだ。
    他人の目なんか気にしなくてもいい。
    自然にそう納得できるような、やさしい言葉がいっぱいつまっている。
    また折にふれて読み返したい一冊。

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著者プロフィール

鷺沢萠(1968.6.20-2004.4.11)
作家。上智大学外国語学部ロシア語科中退。1987年、「川べりの道」で文學界新人賞を当時最年少で受賞。92年「駆ける少年」で泉鏡花賞を受賞。他の著書に『少年たちの終わらない夜』『葉桜の日』『大統領のクリスマス・ツリー』『君はこの国を好きか』『過ぐる川、烟る橋』『さいはての二人』『ウェルカム・ホーム!』など。

「2018年 『帰れぬ人びと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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