ビューティフル・ネーム (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101325217

感想・レビュー・書評

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  • ゆっくりと静かに、しかし大きく魂を揺さぶる。モノの名前とは違って、人間の名前というのは他者によって識別されるためのものである以外に、自らの生き方を規定するものであるらしい。自らの名前を名乗ることが、他者の魂を揺さぶり、美しいと感じさせるとはどういうことだろう。その人達の意志と関わりなく、歴史や制度がそうさせたのだと思うと、ものすごく切ない。

  • 帯には『早すぎる遺作』の文字。
    まったくもってその通りだと思う。

    在日韓国人3世を描いた3つの話から構成される…はずだったお話である。
    3作目は著者の絶筆。
    その続きを永遠に知ることがないと思うとますますこの作品への思いは強くなる。

    願いをこめられてつけられた名前はあまねく『美しい』。
    在日韓国人であるがために韓国名と日本の通名の2つの名前。
    日本における彼らの心のありようが少しでも感じられれば…と思う。

  • …のあとの!や!?、はアアッ?がポップだ。
    在日のこと、私は当事者じゃないから…と言って腫物に触るように、それどころか危うきに近寄らず、みたいな構えをとってしまいがちだけれど、そうじゃなくて、ここに出てくる人たちを思うと、なんというかなんというか。全然言葉にまとめられない…。

  • 2004年、35歳で急逝した鷺沢萠が生前から構想していた、1つの主題に貫かれた3つの物語。最終篇は未完に終わった。また、自身の高校時代を描いたと思われる絶筆も併録。書くことに走り続けた作家が最後に遺した小説集。

  • 【本の内容】
    「Yes,I am.I am a Japanese.(えーっと、ホントは違うんですけど)」。

    在日韓国人三世の崔奈蘭は、中学高校の6年間だけ「前川奈緒」だった…。

    国と名前をめぐって編まれた三つの物語と、パソコンから見つかった未完の遺稿を含む鷺沢萠の絶筆。

    35歳の若さで世を去るまで、きりりと明るく、人間を深く肯定する物語を届け続けた希有な才能が、いま作品のなかに永遠の生を得て、光り輝く。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    「美しい名前」。

    素晴らしすぎてタイトルを見るだけでじわっとくる。

    読んでいる最中、何度も何度も繰り返しタイトルを見た。

    あたたかく美しいそのタイトルが本文とともに、新しい優しさを心に運んでくる。

    在日朝鮮人、思春期。

    「どうして私は韓国人なの?」「どうしてこんな名前なの?」。

    日本に潜在的に存在している在日外国人への差別は、彼らに容赦なく襲いかかる。

    通名を使い日本で生きる少年たちの苦悩と熟考が、非常にリアルな言葉で、しかし驚くほど読みやすく綴られた短編集だ。

    これから先、私たちが嫌でも考えていかなくてはならないことが、著者の脳みその中にはめいっぱい詰まっていたはずで、読みながら彼女の言わんとしたことを必死で酌もうとしたけれど、たぶん彼女が伝え残したことはまだまだたくさんあるような気がする。

    小説として無邪気に読むには痛すぎるのに、その内容と反比例するような無邪気な文章の書き方が本当に素晴らしかった。

    ただただ続きが読みたかったと残念に思います。

    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
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    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
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    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

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    [ 参考となる書評 ]

  • #bookoff

  • その名前が私を形作る。

    未完の遺稿については、やはり完成したかたちで読みたかった。「眼鏡越しの空」については、自分が理解できない壁を感じる。理解したいと思っていても、なぜか壁が隔たるもの。チマチョゴリとキャミソールの話は、どうしても説得できない自分を感じた。アトナオにも奈蘭にも全面的に同意できないもやもやしたものを感じる。

    「故郷の春」の主人公は、字面から陽気な、というか明るい口調が音で聞こえてくる。でもそれは、作った明るさのようにも感じられ、自分というか、自分と名前に所属する自分を受け容れるまで、アイデンティティーの確立までの葛藤をなんとなく感じてしまう。

    チュー先輩のキャラクターは、とてもカッコイイ。もしかしたら、彼女も色々と考えたり恨んだりすることがあるかもしれないけれど、高校生の時点で、そうやってあっけらかんと、少なくとも外向きにそのように振る舞える時点で、とてつもなくカッコイイ。ところで、未完の「ぴょんきち/チュン子」の主人公もどうやらチュー先輩と同じ春純という名前だけど、同一人物だろうか。

    容易に、~だった、良い話だったと言えない、自分で消化できない。自分の名前に対する誇りの話と一般化することもできない。消化不良のまま、当分抱えておきたい話であった。

  • 在日一世の苦労や生活がうかがいしれる。また、そのまま日本に滞在しつづけた理由も、おそらく、この小説に登場する人物のようなケースが多いのだと思う。

  • 初めて未完の作品を読んだ。
    唐突にぷつんと終わってて、本当に途中ってかんじでどきっとしました。

    在日韓国人が主人公で、名前や環境にまつわる話を集めた本。
    自分は日本人なので、そういう気持ちを持っている人が居るということを考えたことも無かった。
    在日韓国人とかそういうことって、全然気にすること無いよって言ってあげたいと思った。

  • オビに、「鷺沢萠、最後の小説」とある。
    使用されていたパソコンから見つかった未完の小説を含む、短編集で、鷺沢さんの繊細さが伝わってくるような物語。
    通名については、在日外国人である人にしか分からない感情や経験もあろう。そして、名前の持つ影響力の大きさよ。
    自分の名前について悩みながら、ビューティフル・ネームと言える主人公たちの強さとしなやかさ。

    解説は重松清さんで、フリーライター時代に著者にインタビューしたときのことを書いており、その内容が印象的。
    〈他者なしの自分というのはあり得ないと思っています。言葉にするときれい事になってしまうんですけれども、私という自分は他人によってつくられていると思っているんですよ〉
    〈(略)最近のフリーターとかをやっている女の子の不安感て、そういうところにあるんじゃないかな。自分が誰かの役に立っていないと、自分て誰にも認識されないんですよ。私が切ないほど誰かの役に立ちたいと思うのは、自分を生かすための方法だったりするんですね〉

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