絶対貧困―世界リアル貧困学講義 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (323ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101325323

作品紹介・あらすじ

絶対貧困-世界人口約67億人のうち、1日をわずか1ドル以下で暮らす人々が12億人もいるという。だが、「貧しさ」はあまりにも画一的に語られてはいないか。スラムにも、悲惨な生活がある一方で、逞しく稼ぎ、恋愛をし、子供を産み育てる営みがある。アジア、中東からアフリカまで、彼らは如何なる社会に生きて、衣・食・住を得ているのか。貧困への眼差しを一転させる渾身の全14講。

感想・レビュー・書評

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  • 体験に基づくルポなので、よりリアルに近く、臨場感がある。貧困について、しかし生きることへの逞しさ、または人間の支配における露骨な構図が綴られる。

    近代兵器をもってすれば、非文明国を支配するのは容易だ。民間レベルで考えても、国家警察が機能しないなら、暴力や組織が力を振るい、弱者を支配する。治安が悪ければ、この原始的な支配体系が成立しやすくなる。回避策は、教育。しかも、個別に四則演算や歴史を学ぶような教育ではなく、価値観を多様化しながら相対化する集団教育だ。軍隊や国家警察を機能させるために、集団教育が必要であり、この機能により、ある程度民間の暴力機構を抑止する効果を生む。この循環を強いてさせなかったのが、白人支配の在り方であったろうか。

  • スタツアのお供にベストでは。新興国へ旅行に行く人に是非読んでほしい

  • 貧困問題と言えば犯罪率・セーフネット・ODAなどに目がいきがちだが、本書は実際に著者が世界各国の貧困地域で暮らした経験談を元に述べられていたので、貧困問題を捉える観点が一つ増えた。

    貧困層の収入源、家族構成、人間関係などが世界の地域によって全く異なることに驚いた。また、貧困層だからといって一概に不幸でないと本書で感じられた。

    今後、貧困問題のニュースに触れる際に暮らしている貧困層の立場になって考察してみたい。

  • 大学生のときに東南アジアで初めて貧しい子供の生活を見たときは衝撃的だったが、筆者は大学1年の初っぱなでカラチからバスでアフガン入りしてるとは・・ かなりの危険を重ねてきた体験をお持ちだと思った
    自分はアジアに四年半いたので馴染みの光景、話題もあったが、実際にそこで寝食を共にするってのは大胆極まりなく、そんなことできる日本人はそういないはず
    アジアだけでなく、中東とアフリカまでカバーされてるのはプロの証

  • 本書は著者が実際に貧困地域に訪れた時に体験したことを綴るルポルタージュになっている。そのため、貧困地域のリアルを感じることができる。本書を読むと、いい意味でも悪い意味でも従来のイメージが変わるだろう。
     私たちが普段何気なく食べているフライドチキンは、「貧困フード」と呼ばれるスラム独特の食べ物の一種であることを知っている人はいるだろうか。フライドチキンが生まれたのはアメリカだった。その当時、アメリカには黒人奴隷が数多くいた。彼らはとても貧しかったため、白人が食べない鶏の足を集め、油で繰り返し揚げることで鮮度の良くない肉でも食べられるようにしたのだ。いま、私たちが食べているものは調味料を少し加えたものに過ぎない。
     こうした私たちにとって身近なものから、貧困について考えてみてはどうだろうか。

  • リアルな感じが伝わってきた。

  • 海外基準の本当の貧困というのがわかります。

  • 世界には「かわいそう。でも自分には関係ないし」と遠ざけたくなるようなそんな気持ちになる問題がたくさん。
    貧困、買春(売春)、病気、乞食、犯罪…。
    多分、こういう問題って今後永遠になくならない。
    色んな問題が複雑に絡まりあっていて、解くのはおそらく不可能。
    問題の解決ってなんだ?救済ってなんだ?と誰かに聞きたくなる。
    ある意味「読まなきゃよかった」と思う本。
    どうしようもない問題が世の中にはありすぎるが、自分には何にもできないよって…。現実ってつらいな。

  •  アフリカ、中東、東南アジアを中心とする貧困の「リアル」を講義形式で紹介する。貧困は、人の命をここまで軽くするのか。

     国内に限らず貧困を丹念に紹介していく石井氏の著。単純な「かわいそう」では片付かない現場のリアルは、程度の差こそあれ日本国内の惨状にも通じる部分はある。
     スラム編、路上生活編、売春編とあり進むほどヘヴィになっていく。一つ一つ拾い上げてもキリがないので、一番印象に残った部分を売春編から。

    P.256
    「(日本人買春客の多いタイのバンコクなどでは、日本風のサービスや営業形態が「輸入」されているが)一方、(現地の)庶民が出入りするような置屋や立ちんぼうなどでは、サービスはほとんどないといってもいいでしょう。制限時間は三十分。前戯は一切なし。脱いで、洗って、挿入して、終了。そんなものです」
    (カッコ内は引用者が追記)

     フィクションのポルノによって性犯罪が減るという説には賛否両論でこれといった結論はないのだろうけれども、少なくとも良質のポルノがあれば、このような無味乾燥の性サービスは不要になるのかもしれない、とは思う。ポルノを用いて一人で処理するのは、わざわざこういった店に行くより手軽だし、病気の心配も、行為の後に強面のおっさんが出てくる心配もない。
     ただこれに近い性産業従事者は日本にもいないことはなく、鈴木大介著「最貧困女子」で触れられている「車内で口コキ3000円」みたいな話もある。比較的ポルノの流通が自由な日本においてもそうした「最底辺の性産業」がある以上、ポルノによる抑止効果は完全ではないだろうが、おそらく容易にインターネットなどのポルノ情報にアクセスできる層は、そうした「最底辺の性産業」を利用することはないような気がする。これから先、一人一台スマホを持ち、インターネットにアクセスできる人間の割合が増えていくに連れ、「最底辺の性産業」は今以上に廃れて行くのかも知れない。
     それはつまり「最底辺の性産業」がポルノとの市場競争に敗れた結果であるとは言えるのだが、反対側から見ればそうした「最底辺の性産業」でしか生計を立てられない人はこの先どうしたらよいのか、という現実もついてくる(そういう女性は大抵において他にできる仕事がほとんどない)。日本なら生活保護もあるだろうというが、行政の水際作戦などが時折話題になるように、ほとんどの自治体においては認定が難しい。特に若者相手にはなお厳しい。まともに教育を受けていない人だと申請書類もロクに書けないし、生活保護を受けると過去の借金を追及されたり、子供を施設に奪われたりすると思い込んでいて自分から保護を拒絶するなんてこともある。となると売春もできない、福祉も受けられない人はセーフティネットから零れ落ちることになる。
     そして貧困国では日本以上に福祉が壊滅状態であり、放っておけば死ぬか殺されるかという世界である。

     本書は全編そんな調子であり、窃盗やら詐欺やら人身売買やら薬物やらといったことが違法であることなんて重々承知であるが、それを無理矢理止めたところでそれを生業にしていた人はどうなるのか、国も誰も助けてくれないのに、という所に帰結する。それがすなわち貧困である。

  • 貧困学
    ってとてもとっかかりにくそうな語感だけど、文体はとても読みやすく、授業を聞いているようでした。

    レンタルチャイルドを読んでから石井さんの本を読みたいなと思って手に取りましたが、こちらも大変勉強になりました。

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著者プロフィール

1977年、東京生まれ。著書に、アジア諸国の障害者や物乞いを追った『物乞う仏陀』、イスラームの性や売春を描いた『神の棄てた裸体』、世界の貧困層を豊富な写真と図で解説した『絶対貧困』、スラムや路上生活者のむきだしの姿を描いた写真エッセイ集『地を這う祈り』、釜石市の遺体安置所における極限状態に迫ったルポ『遺体』、被災地で刻み込まれた忘れられない光景を綴った『津波の墓標』など多数。

「2018年 『絶望の底で夢を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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