- Amazon.co.jp ・本 (323ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101325323
感想・レビュー・書評
-
世界の貧民街を実際に歩き、時に共に生活し実体を目の当たりにした筆者のルポタージュ。ルポタージュというか、筆者の接した貧民、といった感じ。一人一人とじっくり向き合うのではなく、さらっといくつかのエピソードを軽い分析を交えて語られる。うーん、世界のどこかにある貧困というイメージから否めない。世界が遠い。あくまで筆者はお客さんであり、特に男性であるため売春婦の心情が全く語られない。表層だけ。「貧しい中でも必死に笑顔で生きる子供」というマスコミによくクローズアップされる姿は、それが求心力を持っているからなのだと分かった。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
旅行中、乞食にはお金をあげないほうなのだが、この本を読んであげたほうがいいのかもと考えさせられた。
1日の収入、その組織等がすごく詳しく書かれている。
中国の乞食についての記述が少ないのが残念。
ストリートチルドレンはいないにしても。 -
貧しく悲惨な中でもたくましく生きるひとたちの現状。
それをわかりやすく読みやすい文体で伝えてくれる本。
石井さんの人柄からくるものだろうか、時々くすっと笑えるエピソードがあたたかい視点でつづられている。
『性の国際化』を読むと、2020年の東京オリンピック時はどうなるんだろう、と考える。 -
日本でも貧困層が増えてきたためか、貧困に関する書籍が目立つようになってきた。しかし、世界基準でみると、日本はかなり恵まれていることがよくわかる。本書の冒頭の統計に一番驚かされた。1日1ドル以下で生活している人は約5人に1人。2ドル以下で生活している人は約2人に1人。飢餓状態にあるか、不安定な食糧供給に依存している人は約8人に1人。1日1ドル以下で生活している人より飢餓状態にある人の方が少ないというのも驚き。
路上生活者たちは初めから貧しく、子育てを子供に託すから出産にためらいがなく、5人も6人も生むからどんどん増えるというのも、日本人の目から見ると悲惨な生活なのに不思議というか、人間って逞しいと感じた。途上国の方が先進国より人口増加率が高いのは知っているが、普通の人がたくさん子供を産むのかと思っていた。
また、日本の人口減に伴って移民を受け入れるべきという意見があるが、本書の描く途上国の現実のとおり何百万人という人々が押し寄せてきてホームレスになって、路上で強姦したり、重婚したりして、10人も15人も子供を産んで、どんどんホームレスが増えていき、やがて日本人より多くなるなんて事態は笑顔で見ていられる訳がない。移民には慎重でないととも思った。
色々と現実を知って考えるきっかけになる本だった。 -
実際に体験して、体験に基づいて考えられたことはなにより強い。
わかりやすくてスッと入ってくる。
知るって今までと同じ見方はもうできなくなるってことだ -
なんとなくバラバラと古本で購入したら、物乞う仏陀と同じ著者だったので連続して読んだ。前者よりはるかに落ち着いて、彼らの社会に飛び込んだ経験を自身の言葉で語っている。非常に興味深かった。オカマが主人公の章では、彼女という代名詞を使っているところに著者の温かさを感じる。
-
タイトルから勝手に想像する内容からは良い意味で裏切られる。きれいごとでも、ことさら悲劇を煽るわけではなく、「貧困」の中で生きる人々と同じ視点から同じ景色を見た著者の真摯なルポルタージュです。その内容の重さとは裏腹にかなり軽快な語り口で書かれていて、それがかえってリアルで生々しく、「貧困」の問題の根深さについて考えさせられます。これまで(浅い知識しか持たない)私が見聞きしてきた「世界の貧困」というのが、どれだけ豊かな国で暮らしている私たちの一方的な価値観で語られてきたかということに気づかされた気がします。まずは「知る」ことから始めなければ。この本はその最初の一歩なのかな。
-
日本に住んでる我々から見た貧困を貧困そのものと捉えると見誤るね。貧困、障害者=Pureで可哀想な人、というのは間違い。どこから見るか、ということですかね。
-
この本で語られるものは、日本でいう貧困とは大きく異なる印象。日本で貧しいとされるものが、あれらの国々と比較するとまだまだ恵まれている気はする。
もちろん先進国における貧困も別の面で厄介なことがあるだろうが、貧困を語る際にはこの本の内容を一度思い出す必要がある。