43回の殺意 川崎中1男子生徒殺害事件の深層 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2020年12月23日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (368ページ) / ISBN・EAN: 9784101325392

作品紹介・あらすじ

2015年2月20日未明、凍てつく風が吹きつける多摩川の河川敷で、上村遼太君は全裸で息も絶え絶えに草地を這っていた。カッターで全身を43カ所も刺されて――。後に殺人などの容疑で逮捕された3人の未成年者が法廷で明かした理不尽な殺意。彼らに反省の色はない。そして互いに責任を擦り付け、攻撃し合う被害者の両親……。無辜の少年はなぜ命を奪われたのか。緻密な取材を基に深層を炙り出す。

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

重たいテーマを扱ったこのノンフィクションは、2015年に発生した少年による凄惨な殺人事件を深く掘り下げています。全裸で命を懸けて助けを求める被害者の姿と、理不尽な動機で彼を襲った加害者たちの冷酷さが鮮...

感想・レビュー・書評

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  • 著書の作品はこれで7冊目の読了となりました。

    今まで手にしてきた6冊は海外を舞台に日の当たらない闇にフォーカスをあてた作品でした。

    本作の舞台は日本、しかも単身赴任ですごす横浜市の隣町•川崎市で起こった当時中学一年生の少年がカッターナイフで43回も切りつけられ殺害された痛ましき殺人事件のルポ。

    読み終えて思うのは殺人を犯した加害者は法で守られ、命を奪われた被害者、遺族は法で守られない矛盾する事実が存在するということ。

    そして、少年法の問題、保護観察の問題等を改めて自分の中で考える機会となる一冊。

    裁判が終われば、刑期を満了すれば...

    改めて守られるべきは被害者であり、本事件では残念ながら暴行を受け、切り付けられた少年は命を奪われてしまいました。

    そのこと自体は不幸で、残念でしかたありませんが、であれば、尚更次に守られるべきは被害者遺族であるはず。

    被害者の父親が語った嘘偽りない気持ち。

    復讐を肯定する訳ではありません。

    でも、本書を読み終えて、子を持つ親として否定することも出来ません。

    説明
    内容紹介
    少年法に守られた殺人者。
    数年すればその罪は「なかったこと」になる。

    2015年2月20日未明、凍てつく風が吹きつける多摩川の河川敷で、上村遼太君は全裸で息も絶え絶えに草地を這っていた。カッターで全身を43カ所も刺されて――。
    後に殺人などの容疑で逮捕された3人の未成年者が法廷で明かした理不尽な殺意。彼らに反省の色はない。そして互いに責任を擦り付け、攻撃し合う被害者の両親……。
    無辜の少年はなぜ命を奪われたのか。緻密な取材を基に深層を炙り出す。
    内容(「BOOK」データベースより)
    2015年2月20日未明、凍てつく風が吹きつける多摩川の河川敷で、上村遼太君は全裸で息も絶え絶えに草地を這っていた。カッターで全身を43カ所も刺されて―。後に殺人などの容疑で逮捕された3人の未成年者が法廷で明かした理不尽な殺意。彼らに反省の色はない。そして互いに責任を擦り付け、攻撃し合う被害者の両親…。無辜の少年はなぜ命を奪われたのか。緻密な取材を基に深層を炙り出す。
    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    石井/光太
    1977(昭和52)年、東京生れ。日本大学芸術学部文芸学科卒業。国内外の文化、歴史、医療などをテーマに取材、執筆活動を行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • 石井光太『43回の殺意 川崎中1男子生徒殺害事件の深層』新潮文庫。

    プロローグを読んだだけで物凄く陰鬱な気持ちになる非常に重たいノンフィクションだった。読みながら、こんな悲惨な事件があったことを思い出した。

    2015年2月20日の未明、多摩川の河川敷で事件は起きる。3人の遊び仲間の少年にカッターナイフで全身を43箇所も切り付けられた上村遼太君は全裸で最後の一滴の命を振り絞りながら草地を這い、助けを求める。犯人の3人の少年たちの理不尽な殺害動機……

    4年前に別れた元夫婦の失った子供を巡る冷戦……

    全ての歯車が狂い、被害者の父親は加害者少年たちに強い殺意を抱く。しかし、これは当たり前の感情だろう。せめて法律が少年たちを厳しく裁いてくれれば……

    少年法という壁に守られた殺人者たち。殺人者たちは、社会と隔絶された世界で資格を得ながら食うに困らぬ悠々とした日々を過ごし、僅か10年ほどで社会に復帰することになる。一方の被害者の親は有りもしない噂や大切な子供を失った悲しみと被害者たちへの怒りで、一生消えない心の傷を負うというやるせなさ……

    本体価格670円
    ★★★★★

  • こんな事があってはならない。
    でも、一歩間違えれば自分も…とも思える事件だと思った。
    私も親が微妙で、誰でも良いからとりあえずつるむ、と言う時期があったし、暴力としてもそんなに遠くにあるものでもなかった。
    なので、一歩間違えれば…
    他人ごとではない事件だ、と言う考えが本書を読む事でより一層深まった。

  • 最初の一ページから胸が苦しくなる。
    ちょっと前まで小学生だった少年が、酷寒の2月の深夜、全裸で体中に切り傷を負い、それでも助けを求めて川から23.5メートルを道路に向かって這っていた。
    どうしてそんなことに。

    あまりに残虐な事件に、犯人の少年たちへの怒りが込み上げる。
    だけど、読み進めるにしたがって、著者が書きたかったのはそれではないことに気づく。
    確かに被害者の父親は加害者少年たちに「死刑になってほしい」「一生許せない」と言う。
    それは当たり前だ。
    けれど、当事者ではない第三者の大人として、それだけに終始していてはいけない。

    なぜこのような事件が起こったのか。
    止めることはできなかったのか。

    加害者少年たちもまた、家にも学校にも居場所のない子たちだった。
    だからといって何をしてもいいわけでは、もちろんない。
    けれど、家族の愛情を知らず、未来に希望をもてず、友情を信じることすら知らない子どもの存在。
    これは、私たち大人の責任だろう。

    結局社会の歪のしわ寄せが、弱い子どもたちのところに来るということ。
    加害者少年をネットでさらし者にして、実社会でレッテルを貼って排除して終わり、というのは第三者の自己満足でしかない。

    子どもたちに居場所を。愛情を。未来を。
    システムで解決するとは思わない。
    でも、取りこぼしてはいけない。
    私は見守る、手を差し伸べる大人でありたいと強く思う。

    この本の副題は『川崎中1男子生徒殺害事件の深層』
    この本に書かれているのは一つの事件ではなく、この深層なのだ。

  • 父親の証言を中心に描いているが、それが少々きな臭いので信憑性に欠けるような気がする。

  • 2021/2/28読了 ビブリアから移行

    自分が住んでいるところのすぐそばで、こんな残虐な事件が起こっているなんて知らなかった。
    何箇所か被害者や加害者が遊んでいた場所に思い当たるところがあって、自分の身近に殺人に手を染めてしまうかもしれない子供たちがいるのかと思うと、救いたいと思った。

    死刑に関して、自分も絶対に反対意見だった。
    殺人を犯してしまうのは社会にも問題があるし、命まで奪うことは何があっても許されないと。
    でも、犯罪者を守るルールは沢山あっても被害者側を守る法律は少ないと知って、自分の考えが何か変わった気がする。
    前までは、更生するって信じて社会がサポートしていかなきゃだよね、って思ってたけど、まず犯罪を犯すところを全力で国として止めなきゃだよね。
    犯罪と貧困って強く関わりがあると思うので、そのサポートをしていかなきゃなのでは、と改めて思った。
    そして殺人を犯したら、本気で自分も死を覚悟するべきだなあと。

    そして司法のしがらみについても、思うことがあった。
    弁護士って、本当にお客さんの利益しか追求しないんだね。
    明らかに有罪のお客様を、無罪にするために嘘をつく。
    弁護士ってこれでいいの??正義感ないのかな、、

    あと毎年未成年が60人以上殺人で検挙されてるって聞いてめっちゃ驚いた、、
    人めっちゃ殺されてるじゃん、、、。



    今後こんなひどい事件がないことを、心の底から願います。

  • この事件に関してはその残忍さと未成年者による犯罪で被害者が中学生だったことから同時かなり衝撃を受けた記憶がある。
    その詳細と背景がかなりリアルに伝わってきた。
    読み終わった後感じたのは、今回の主犯者のような狂人は一定数社会に存在している訳で自分を含め家族や親族が同じような事件に巻き込まれる可能性が充分にあり得ると言うこと。
    そのためにはどうしたら良いか?
    近づかない或いは逃げるのがある意味一番賢明なのでは?
    あくまで持論だけど。

  • 家庭環境や様々なことが重なり、遼太くんのお父さんが語るように運が悪かったのかもしれません。
    忘れてはならない悲しい辛い事件ですね。

  • 本当にあった10年前の事件を、関係者への取材をもとに事件の内側から観ていく。
    被害者の父の「息子は運が悪かっただけ」発言。その言葉に全てが集約されているように感じた。

  • 「何で救えなかったんだろう」
    この事件は衝撃で、
    事件当時、同市内に住んでいたこともあり、
    当時会ったこともない少年に対して
    自責の念を感じたのを覚えている。

    本書は事件までの経緯や家庭環境が丁寧に描かれており、惹き込まれるように読んでしまった。

    やるせない、寂しく、恐ろしく、
    残念無念で、重石で心が沈むように
    心にズーンとくる本だったけど、
    少年たちの心について、考えさせられた。

    家庭での寂しさが、少年を夜の街へ
    非行へと向かわせるのかな·····

    学校が、家庭が、部活が、趣味が
    どれか一つでも居場所があることの大切さよ

    だけどその居場所は、悪事や不健康でなく
    健全で安心安全な楽しみで繋がること

    良い仲間と出会っていれば····

    そうじゃないと疑心暗鬼で
    本当の心の拠り所とはいえないし

    心の穴は埋まらない
    心からは救われないんだろうな·····

    親に振り回され
    心に寂しさや空虚感のある
    居場所なき少年たちが集まって起きた
    かなしき事件なのかな

    著者の石井光太さんの描写がすごい!
    取材力の高さにも脱帽。。
    同じ事件を起こさないためにも
    文章で残し伝えることの大切さを感じた。


  • 友達におすすめされて読んだ。
    4回は泣けると言われて、そんなに心に訴えかけてくるような作品なのかと、期待して読んでいたが涙を流すような作品では無かった。
    このような事件ルポの作品を読むのが初めてだったがスルスルと読むことができて良かった。
    少年法についてだけでなく、報道の責任、人種差別、行き過ぎた私刑など1つの事件の裏にある様々な問題に着眼点が当てられており、とても興味深い。
    印象的だったのがteam Rについて。少ししか出てなかったが、死んだ男子中学生を崇拝し祟りあげているのは異様なもので、「涼太マジック」や「涼太コーラ」にはとてつもない違和感を感じ、映画のマザー!を思い出した。
    実際にこのような事件が起きたということはとても胸が苦しくなることだし、涼太くんのことを考えるととてもいたたまれない気持ちになった。

  • どうして、なぜ。
    人間はこんなふうになってしまうのか。
    事件があった当時は衝撃的な事件だなと思ったくらいであまり多く感じなかったが、、

    石井さんの文章、とても読みやすい。

  • Kindleのサンプルで読んだ序盤に衝撃を受け、購入、読了しました。
    ニュースで見た当時はこの子と同じくらいの年齢で、よくわからずニュースを見ていましたが、今になって事件の詳細を知ると極めて残虐で想像するだけで胸が苦しくなる事件でした。
    やはり心が成熟するまでの家庭環境は大事にするべきだなと…

  • 事件に関する本は沢山読んでいるが、毎回何とも言えない気持ちになる。今でも心に深く残る事件の一つ。どこかで防ぐことは出来なかったのかな。運が悪かったと言う表現があまりにも辛い。せめて加害者達が心から反省し、罪を償う姿勢を見せてくれればと思うが、それも叶わないとは。
    少年法に限らず、今の時代に追いついてない法律。「更生」ありきで被害者より加害者を守っているんだなと言う印象が強すぎる。

  • 読み易い

  • もう9年経つけどこれは忘れることができない事件。事件のことは当時ネットのニュースでたくさん見てきたが、まだまだ私の知らなかったこともあった。事件は許しがたいことだが、加害者少年やそのまわりにいた少年たちの置かれた環境など考えると、彼らだけの責任ではないとも感じた。そうは言っても加害者の少年がいちばん悪いのだが。ページによっては読めないくらい辛い場面もあった。遼太くんの父親の心の叫び、法にずっと守られる犯罪者に対して、被害者はルールも何もなく殺されたんだという無念さに言葉がない。

  • 境界性知能を持つ女性達が、男性の見境なしの性欲によって、考えなしに次々と生まされた子供達。
    両親には確固とした教育方針などなく、ただただ子供達は放置されていた。
    殺された子は「運が悪かった」のではなく、親ガチャに外れまくった。殺した側も同じ。
    境界性知能の女性は子供を作るな。不幸になる子が増えるだけ。

  • 生まれてくる全ての子供達が、生きがいを持って人生を全うできたら、どれだけいいだろう。

    生きていくには辛いことや悲しいこともあるけど、それでも前に進んでいけるような世の中になってほしい。
    結局はそこだよね、大人の義務は。

  • 初めから事件が詳細に書かれていて読むのをやめようかと思うほど胸が苦しくなる事件。
    子供の頃って自分の今いる世界が全てだと思っちゃう。すごく狭い世界。
    加害者側にも複雑な家庭環境があって、社会の手の届かないところで起こってしまった事件。
    お父さんの発言はすごく心に残ってる。加害者に対して、なら何で生きてるの?自分の手で殺してやりたい等。親なら同じことを思うはず。
    法律は変わらないから、せめて自分の周りに異変が起きていたら声をかける、周りに知らせるようにしたい。
    ネットやゲームでしか繋がれない関係って今の時代結構ある。それ以外で深く信頼関係を築いていくのは大事だけど、悪いことに巻き込まれないように、自分が違和感を感じたら離れる、断る勇気を持つことも大事。

  • 事件の詳細が書かれている。
    よく知った場所がたくさん出てきて、リアルに感じられて、少し怖くなった。

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著者プロフィール

1977年東京都生まれ。作家。国内外の貧困、災害、事件などをテーマに取材・執
筆活動をおこなう。著書に『物乞う仏陀』『鬼畜の家』『43 回の殺意』『本当の貧
困の話をしよう』『ヤクザ・チルドレン』『ルポ 誰が国語力を殺すのか』『ルポ ス
マホ育児が子どもを壊す』など多数がある。2021年『こどもホスピスの奇跡 短い
人生の「最期」をつくる』で新潮ドキュメント賞を受賞。

「2025年 『最期は一日中抱っこさせて(叢書クロニック)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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