身体から革命を起こす (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101326511

作品紹介・あらすじ

「捻らない、タメない、うねらない」これまでの常識を覆すその身体技法は、まさに革命である。武術家・甲野善紀が、武術、スポーツのみならず、音楽演奏や介護にまで変革をもたらしたのは何故か?古武術の探求をはじめとする甲野の現在とは?「ナンバ」に代表される日本人古来の身体の使い方など、西洋的身体観では説明できないその術理は、もはや我々の思考方法にまで転換を迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 捻らない、タメない、うねらない、という甲野さんの身体技法。反動をつけないで動作をするということなのだろうけど、そういう動きをしたことがないので、できるだろうかと思ってしまう。
    裏千家の作法では正座から立ち上がるときに、片膝を立てないでそのまますっと直立するので、実際に江戸時代までの日本人はそうやっていたのでしょう。そのほうが上等な身体の動かし方の気がするな。
    ウチで飼っている猫をみると、助走もなにもしなくてその場で垂直跳びをしてタンスに登ったりするから、あんな感じなのかも。

  • 僕が大学1回生のとき(2003~04年ごろ)、古武術を基盤とする甲野さんの身体の動かし方が各メディアで大きく取り上げられた。

    そのポイントは、「身体を捻らない、力をタメない」ということで、末續慎吾選手が取り入れたことで有名になった「ナンバ」と呼ばれる動きがベースとなる。
    「たとえば100メートル走だったら、スタート地点でつまずいて『ワッ、倒れそう』という状況を作って、そこをなんとか倒れないようにギリギリで釣り合いをとって、ゴールまでイッキに吹っ飛んでいく」ような走り方を「ナンバ走り」という。

    筋トレをして一箇所の筋肉を太く大きくすることよりも、身体全体としてうまくバランスを取っているほうがいいという考え方は非常に斬新だ。
    『重い、重い』と思いながら筋肉に負荷をかけるのではなく、重さを重さと感じない身体を作らなければならないと甲野さんは考えている。
    強く速くなるために筋トレをするのは当たり前のことだと思っていたから、この本を読んだときの衝撃はすごく大きかった。

    「正しいこと」とされているものを疑い、人間にとってもっとも効率的な動き方を追究し続けている甲野さんの取り組みはめちゃめちゃおもしろいと思う。
    きっとテニスにも応用できるはずだ。
    世の中にはこういう研究もあるんだなあ。

  • 広島大学の柳瀬陽介教授のサイトに紹介されいるのを見つけ、読むことにした。
    甲野氏のことは知っていはいたが、詳しくはわからなかった。
    明治以前の日本人は、仕事の中で身体を使っていた。しかし、情報化社会=脳化社会の現代では、脳が肥大し、身体は置き去りにされている。その流れに棹を挿しているのが甲野氏である。
    相手と自分、環境と身体という関係性の中にとらえる身体観は、骨と関節と筋肉と捉える分析的身体観とは必然的に異なる。変化する相手と自分、変化し続ける環境と身体という関係性で捉える身体観は、異なる思考を生み、飛躍を促す。
    さまざまな分野の人が、甲野氏に触れることで、ある種の飛躍を促される。
    甲野氏が注目される理由がここにある。

  • 著者の甲野善紀氏は、武術家、武術を基にした身体技法の実践研究家である。本書は2005年に発刊、2007年に文庫化された。
    甲野氏は、「ナンバ」(右手と右脚、左手と左脚を同時に出す、江戸時代の飛脚の走り方)など、日本人古来の身体の使い方に注目し、独自の身体操法を研究してきたが、そこから導き出されたのは、「体幹部をねじらず、足で床を蹴らない、つまり反動を利用することがない」動きであり、本書においても様々な実例が紹介されている。
    そして、甲野氏は、「私が研究してきたのは、剣術にも体術にも共通するような動きの原理、身体の使い方の原理ですから、スポーツにも応用できます。ただ、それは今日のスポーツの常識とはまったくちがった動きです。だからこそ現代のスポーツの常識では無理だと思い込まれてきたようなことを可能にするのです」といい、甲野氏から直接教えを受けた桑田真澄や、直接の接触はないというものの、「ナンバ」が一般に注目されるきっかけを作った末續慎吾ほか、多数のアスリートへ影響を与えたことが語られている。
    また、甲野氏の理論は今や、武術やスポーツのみならず、楽器の演奏、舞踊、介護医療に応用されており、フルート奏者の白川真理の例も記されている。
    様々な分野を支配する西洋的観念・発想を見直す一つのアプローチとして注目に値するものと思う。
    (2007年9月了)

  • 以前から、武士はどのようにして、真剣で立ち会っていたのだろうということが、たいへん気になってしかたがありませんでした。時代劇のチャンバラのような動きはあり得ないし、剣道のように真剣を扱えば、互いに深手を負うどころか、たちまちどちらも命を落としてしまうでしょう。で、あるときテレビで甲野先生をお見かけしました。そのときの先生の動きは、常識を覆すものでした。打ち込まれてきた剣をすりとかわし、同時に小刀を相手の手首、喉元につきつけていました。
    先生は古文書や秘伝書の類を研究し、自らも古武術の動作、技を修得されている方です。本書を読むと、かつて日本人は西洋人とは異なる身体の使い方をしていたことがよくわかりました。例えば、重いものを持ち上げるとき、先生の腕や足、腰などに負荷はかかりません。それどころか、足の裏でさえ負荷が計測されないのです。特定の筋力を用いず、どうやら身体の各部分がそれぞれ違った動きをし、全体で大きな力を生み出しているようです。身体をひねったり、うねらせたり、膝に力をためたりして、その反動で勢いをつけるという、我々が常識としてとらえている筋力的な動作とは相反するこのような動きは、現代の科学では説明のできないことのようです。
    先生の研究や動作は、いまでは野球や陸上競技をはじめとするスポーツ界のみならず、介護やロボット工学、舞踊や楽器の演奏、宇宙開発やカウンセリングやビジネスなど、いろんな分野で応用されているようです。にもかかわらず、先生は常に自らの考えや成果を否定し、さらに上の段階を目指しておられます。
    自分も学生時代はずっと運動部に所属していましたが、そのころ先生の存在を知っていればと悔やまれてなりません。

  • 読んでるだけでは、なに言ってるんだかわかんない。

  • 文庫本になったので、読み直している。武術の型稽古は実戦の模擬ではない。

  • 期待していたのとは違った本。実際の身体の動かし方を学ぶには別の媒体に当たった方が良いかと思います。

  • 甲野善紀という武人の生き方、哲学がとても興味深い.
    既成概念、固定観念にとらわれず、いつも進化を考えていく.
    実践面でも多くの人に影響を与えているが、「自分の頭で考える」という生き方の部分も多くの人間に影響を与えていくのだろう.

  • 体で「わかる」ということはどんな「わかる」よりわかりやすい。ということは、私が体で感じて思っていることです。ドライバーでボールを遠くに飛ばせるようになるかなという下心もあって、この本を手にとってみました。甲野さんの本は『1冊』だけ読んだことがありますが、彼のやっていること、それに感化されて集まるプロフェッショナルが紹介されている本だと思います。私は運動に関して素人なので生かせるかどうか…

    本に書いてある体の使い方が応用されればといいなあと特に思ったのは、介護への分野。介護は体を使う仕事で、足腰に非常に負担がかかるという、高齢化社会でますます介護者の人手が必要になるはずです。よく言われる介護者の低賃金問題をすぐに解決するのは難しいと思うので、せめて体を傷めない方法が広まって欲しいと思います。「介護スクールの先生が今まで教えていた体の使い方とは違う新しい使い方を否定し、阻害する。今までの体の使い方では、現場では大して役にたたない」というどこにもある既得権益を守るだけの図式がここにもありましたね。当然ながら甲野式介護法(?)は細かくは載っていないので、問題として考えている団体があるんだ、ということを知るだけでもいいと思いますね。

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著者プロフィール

1949年、東京生まれ。
20代はじめに「人間にとっての自然とは何か」を探究するために武の道へ。
1978年、松聲館道場を設立。
以来、日本古来の武術を伝書と技の両面から独自に研究し、2000年頃から、その成果がスポーツや音楽、介護、ロボット工学などの分野からも関心を持たれるようになり、海外からも指導を依頼されている。
2007年から3年間、神戸女学院大学で客員教授も務めた。
2009年、独立数学者の森田真生氏と「この日の学校」を開講。
現在、夜間飛行からメールマガジン『風の先・風の跡』を発行している。
おもな著書に、『剣の精神誌』(ちくま学芸文庫)、『できない理由は、その頑張りと努力にあった』(聞き手・平尾文氏/PHP研究所)、『ヒモトレ革命』(小関勲氏共著/日貿出版社)、『古の武術に学ぶ無意識のちから』(前野隆司氏共著/ワニブックス)などがある。

「2020年 『巧拙無二 近代職人の道徳と美意識』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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