ふたり (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 3170
感想 : 300
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101327181

作品紹介・あらすじ

お姉ちゃんは高校二年までしか生きなかった。でも、私が来年高校一年になり、二年になり、三年になったら、私はお姉ちゃんの歳を追い越してしまう。それでもお姉ちゃんは、ずっと私の中にいてくれる?死んだはずの姉の声が、突然、頭の中に聞こえてきた時から、千津子と実加の奇妙な共同生活が始まった…。妹と十七歳で時の止まった姉。二人の姉妹のほろ苦い青春ファンタジー。

感想・レビュー・書評

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  • 波乱万丈の中で美しく成長していく実加……。
    ふたり
    2004.11㈱大活字発行。字の大きさは…大活字本。2022.04.20~26音読で読了。★★★★★
    姉の影に隠れていた実加が、亡き姉の励ましで難局を切り抜けながら美しい女性として成長していく物語です。

    愚図な中学2年生の北尾実加と、優秀で美しく実加の自慢の姉で高校2年生の千津子は、同じ学園の学校に一緒に通っています。その途中に姉が、忘れ物したと言って引っ返したら大型トレーラーが転倒して、美加の目の前で姉が下敷きになって亡くなります。
    そんなある日、実加が、ピアノの先生の所へ行く途中の雑木林の中で男に襲われます。その時に実加の中で死んだ姉が必死に実加の近くにある石を教えて、実加がその石で男を撃退します。それからは、実加の中には常に姉がいて生前と同じように良き相談相手として実加を支えていきます。
    北尾家では、姉がいなくなってからいろんなことが起こります。父が、会社の上司と喧嘩して東京から北海道札幌支社へ転勤を命じられます。父は、単身赴任します。母は、姉を亡くしていらふさぎこみです。その上に実加が学校のクラブ活動の演劇部で主役を射止めたら、心ないいたずらで母はとうとう入院してしまいました。
    そんな時に父が札幌から休日を利用して帰って来たら、赴任先から部下の女性・内田裕子が父を追っかけてきます。そして家族3人と裕子の4人で話し合いになり、母が裕子にお願いします……。

    【読後】
    読後感が良く、テンポが早く、いろんな問題が起こります。実加は、その問題を亡くなった姉の千津子と一緒に解決して行きます。そして姉を慕っていた大学3年生の神永智也と知り合い恋に落ちます。音読していくのに良い本です。今後もこういった明るくてテンポの良い本を読んで行きたいです。

    【ドラマ・映画他】
    大林宣彦監督により1990年にテレビドラマ化、1991年に「新・尾道三部作」第1作として映画化されたほか、映像・舞台化されている。11年後を描いた続編『いもうと』が2019年10月に新潮社より刊行された。

    【音読】
    2022年4月20日から26日まで、大活字本を音読で読みました。この大活字本の底本は、1991年11月に新潮文庫から発行された「ふたり」です。本の登録は、新潮文庫で行います。㈱大活字発行の大活字本は、第1巻~第3巻までの3冊からなっています。

  • 久し振りの作家さんシリーズ第2弾。
    赤川次郎さん。
    昔はよく、でもないけど何冊かは読んだ覚えがあります。

    交通事故で姉を亡くした妹。あることをきっかけに死んだはずの姉の声が聞こえるようになって……。
    女子高生の青春物語。

    知らなかったけど映画化もされているようですね。
    続編の「いもうと」も出版されるそうです。

    帯には「いちばん泣ける姉妹小説」シリーズ累計160万部突破、と。

    これはもう当たりでしょう、と思ったんだけどな~。
    凄く読みやすいです。
    悪く言えばスカスカ。地の文が少なく「」のセリフが多い。
    一応300ページはあるものの文字数は相当少なさそうで、すぐに読み終わる。
    残念ながら泣けるどころかウルウルすらできなかった。う~ん……。

    映画館の近くに大きな本屋があって、そこで映画と映画の間の空き時間にぶらついていると、ついつい買ってしまったりします。
    そんな衝動買い積読本だった1冊。
    打率が悪いので図書館を利用した方が良いのは分かっているんですが、本屋に入ってしまうとダメだな~。
    欲しくなってしまうよ(ΦωΦ)

    • みんみんさん
      図書券2000円貰ったから
      「暴虎の牙」買ってきた〜♪
      図書券2000円貰ったから
      「暴虎の牙」買ってきた〜♪
      2023/03/12
    • 土瓶さん
      図書券!!
      そうか! その手が!
      待てよ~。昔もらった図書カードがどこかにあったはず……。
      図書券!!
      そうか! その手が!
      待てよ~。昔もらった図書カードがどこかにあったはず……。
      2023/03/12
  • 読み易い文章と構成でストレスなく読み切れた。
    ブログの方から薦めていただいた30年?ぶりかの赤川次郎。面白かった。
    一家族の荒波を主人公が姉とニ心一体で乗り越えていく。神永智也がチョイ役で終わったのが意外だった。
    また、赤川次郎を読んでみようかと思う。

  • 高2の千津子と中2の実加は、同じ私立の女子校に通っているふたり姉妹。
    登校中のある朝、姉の千津子は交通事故に巻き込まれて亡くなってしまう。
    娘の死を受け止められず始終ぼんやりとして、悲しみ落ち込んでしまう母治子。
    お姉ちゃんが好きだったピアノは続けようと思った実加は、ピアノレッスンに向かう途中で男に襲われそうになる。
    その時から、実加には、優秀でしっかり者だった姉千津子の囁き声が聴こえるようになる。
    姉は実加のことをいつもそばで見守ってくれているのだ。

    「千津子は、実加の中で、生きている。」

    大島弓子さんのカバーイラストに惹かれて読んでみましたが、とても面白かったです。読み進めていくうちに懐かしさもこみ上げてきました。
    赤川次郎さんを読むのはもう何十年ぶりでしょうか。
    ミステリーだけでなく、このようなファンタジーも書かれていたとは知りませんでした。

    姉を失った悲しみを乗り越えて成長していく実加の、波乱万丈な人生のゆくえは…。
    続きが気になります。

  • とても良い作品。

    何と言うべきか。地味なのに、刺激の強い読書。
    人それぞれ、乗り越えなければならない壁を目の前に狼狽する。壮大な他人事であるようで、自分のすぐ傍で起こっている出来事。距離感が絶妙すぎる。
    劣等感や寂しさ、立ち直る強さが巧みに描かれている。ファンタジーとして括ってしまうには、妙なリアリティがあり、思春期に生きる繊細な若者の感情に、読者として心が搔き乱される。

    登場人物たちの話し言葉や掛け合いが、どうしても私の苦手な類だったのが、少しだけ残念だった。

    以下、ネタばれ有り。(備忘録)

    主人公は実加。聡明な姉を持つ少女。
    あくまで実加視点であるが、それぞれの人物がそれぞれの人生を歩んでいることを、突きつけられ動揺してしまう。私は何を思う。

    実加は、事故で姉を亡くし、家族は失意の日々を送る。ある時、実加の中に姉が存在していることがわかった。守護霊みたいなものだろうか。様々な場面を二人で乗り越えていく。小さな幸せや、家族が元気を取り戻す様子、友人に起こる不幸に向き合い、支え合い、姉の助言を求め、前に進む。母の弱さ、父の弱さを目の当たりにした。
    最後に自暴自棄になりかけた。実加自身が本当に乗り越えるべき壁に向き合った瞬間であった。

    なんとも晴れない気持ちも相まって、読了後に妙に物思いにふけってしまう。
    良い読書だった。

    読了。

    • kuma0504さん
      ツチカヨさん、こんにちは。
      映画がありましたね。
      大林監督で、石田ひかりさんが実加、中島朋子さんが姉でした。尾道3部作の最後だったけ。
      前作...
      ツチカヨさん、こんにちは。
      映画がありましたね。
      大林監督で、石田ひかりさんが実加、中島朋子さんが姉でした。尾道3部作の最後だったけ。
      前作の水準を期待したので、失望した覚えがあるけど、もう一度観れば、違う感想を持つかも、と思いました。
      2021/06/16
    • ツカチヨさん
      kuma0504さん

      コメントありがとうございます。
      そうなんですね。情報にはめっぽう弱いので助かります。
      kuma0504さん

      コメントありがとうございます。
      そうなんですね。情報にはめっぽう弱いので助かります。
      2021/06/17
  • 泣いてしまいました。
    このほろ苦い青春ファンタジーである『ふたり』は今まで読んだ赤川作品の中でも、とりわけ忘れられない物語となりました。

    • chikachanさん
      こんばんわ。いつもしょうもない感想にいいねしてくださってありがとうございます(..;)この本、私の1つ上のいとこが唯一薦めてくれた作品なんで...
      こんばんわ。いつもしょうもない感想にいいねしてくださってありがとうございます(..;)この本、私の1つ上のいとこが唯一薦めてくれた作品なんです。彼女とは相性が悪くて、(今でも音信不通ですが)何で進めてくれたのかわからないんですが、原作の方でなく映画版を観たあと読むと言いたいことがわかる気がしました。なんかずんと心におもりがかけられたような、そんな気がしました。赤川氏は小学生のころ角川映画の原作本だったこともあって(年がばれますな。。。)何冊も読んでました。また読み返したいな!でわでわ!
      2019/03/05
    • 地球っこさん
      chikako0420さん、コメントありがとうございます(*^^*)
      赤川さんの本は、私も小中学生の頃よく
      読んでました(お互い年がばれ...
      chikako0420さん、コメントありがとうございます(*^^*)
      赤川さんの本は、私も小中学生の頃よく
      読んでました(お互い年がばれますね……)今でも何故か無性に読みたくなる時があります。
      「ふたり」は確か奥菜恵主演のドラマ版を
      観ていた記憶があります。
      それはさておき、本って思い出や記憶、
      そし心の中の何かを呼び覚ますきっかけ
      にもなるんですね。
      chikako0420さんといとこさんのお話を
      拝見してしみじみ思いました。
      2019/03/05
  • だいぶ前に映画も見て本も読んだ記憶が‥

    続編が出たとのことで、もう一度読んでみました。

    テンポよく読めました。
    お姉ちゃんが強すぎる。
    お姉ちゃんに助けられ大人になっていく主人公。
    弱いお母さん‥
    裏切るお父さん‥

    友人に恵まれてよかった。

    続編、楽しみ。

    映画ももう一度見たいなぁ。

  • 小学生の時に読んで衝撃を受けた本。
    今でも時々無性に読みたくなります。

  • 続編「いもうと」が出版されることを知って、大林宣彦監督の映画は見ていたが原作を読んだかどうか不確かだったので読んでみた。小説の光景が映画の場面場面として浮き上がってきた、映画の出来がすこぶる良かったのだろう。先日横山秀夫の「影踏み」を読んだところで、兄弟姉妹の人格が宿るというテーマが同じで、テーマとしては赤川次郎の方が早そうであるが、こういうテーマは昔からあったのだろうか、現在でも同じような物語を散見する。近々続編「いもうと」を読む予定であり映画の方も再見したくなった。

  • 読書感想文を書くために買ったけど、とても素敵なお話だった。

    強く生きよう

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著者プロフィール

1948年、福岡県生まれ。1976年「幽霊列車」でオール讀物推理小説新人賞を受賞。『東京零年』で第50回吉川英治文学賞受賞。「夫は泥棒、妻は刑事」シリーズ、「三毛猫ホームズ」シリーズなどミステリーの他、サスペンス、ホラー、恋愛小説まで幅広く活躍。

「2023年 『黒鍵は恋してる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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