日本語の作法 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (181ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101328317

作品紹介・あらすじ

「KY」「トリセツ」等々、意味を当てはめたり簡略化したりと、ことばが多種多様化する昨今、正しいことば遣いが忘れ去られているのではないだろうか。教養ある日本語を身に付けてこそ、成熟した大人と言えるはず。あいさつから手紙の書き方に至るまで、外山先生が日本語を読み解く-「たかが、あいさつ、だが、ときに人間の価値にかかわる」と、苦言を呈する痛快日本語エッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • 「日本語の作法」。読後、「作法」なのだと納得しました。10年以上前に読み終えて、この度は再読です。初読のときには頷くばかりで気持ちよく読み終えました。当時、違和感を覚えていた言い回しを、その違和感の理由を分かり易く解説してもらったように思いました。
    あれから10年が過ぎ、言葉遣いについての違和感の内容が変わってきたようです。おそらく、定着してしまった、あまりにも頻繁に耳にするようになり耳が慣れてしまった言葉が多いのでしょう。それに気づきました。
    そして、10年前には思わなかったことが、書かれている内容が細かい、そこまで細かくなくてもよいのではないか、ということです。これもまた、10年間の時代の動き、言葉の変化が心のうちに溜まってしまったためだと思います。
    だから、ああ、作法なんだな、と強く思ったのです。きっと作法とはこういうものなのでしょう。
    作法を形成する、その奥にある心づかいの大切さを重視したい。心づかいを大切にしても変わる作法があるのかもしれません。心づかいなくして作法が変わるとすると、それこそが無作法なのでしょう。
    書かれている一つ一つの作法を大切にしたいと思いました。
    最も印象に残っているのは喪中欠礼の例として挙げられている2行です。

  • 全編を通して一貫する「ことばは保守的なのが無難」というメッセージだけは共感できた。逆に言うとそれ以外はほとんど共感できなかった。

    「思考の整理学」で絶大な支持を得た外山滋比古氏も、25年の月日を経てただの老害みたいな文章を書くようになってしまったということに驚きを隠せない。
    あまりに古すぎる。
    このご時世に手紙と電話の違いを論じてメールを論じないのは片手落ちにも程がある。
    そもそもこの人が良い、悪い、と判断する根拠が最後までわからなかった。

    心に残ることば(p146)の項で
    「今日あなたが無駄に過ごした一日は、昨日死んだ人がどうしても生きたかった一日である」
    とか紹介されてたのを見た時はガッカリしすぎて悲しくなった。

    外山氏の言説に新しさを求める私が間違っているのだろうか?

    「思考の整理学」、好きだっただけに残念です。

  • 背筋を正さなくては失礼だと思ってしまう。次々とこきおろされていく変な日本語を読みながら、自分の日本語も相当あやしいものだと省みて恥ずかしくなった。

    あとがきにある。「日本語は乱れなくてはならなかった」と。日本語に限らず言語というものは乱れるものなのだ。そうして、発展と退化を繰り返してゆくものなのだと思う。数々の国から数々の言葉を取り入れた私たちの言語。折衷するのがうまい国だと感心してしまう。

    「日本人はわからないことに鈍感である」という言葉が痛い。本当にそうだろうな、と思う。ぼんやりと聞いていてその本質を見定めようとしない自分にはほとほと呆れ返ってしまう。偉そうに呆けたことを言うな、と。

    毒舌だと、うるさい年寄りの戯言だと言う向きもあるだろう。しかし、近頃こういう的を射たことを言う敏感な人もとんと見かけなくなった。
    (20110820)

  • 最近亡くなられた外山氏のエッセイ。正しい日本語に対する思いが伝わります。

  • 面白いエッセイ集。手紙の書き方は勉強になりました。

  • 口が堅いのは七難隠す。
    大声で話すと、知恵が逃げ出す。チャーチル元首相。
    言葉遣いは相手を考え、遠慮会釈のあるのが、一人前。
    日本語を丁寧に考えて使わなければならない。言葉は人の価値に関わる。

  • 間違った日本語の使い方を気づかずに使っていたことに気づかせられる。日本語は単一民族のみの国語であり、大切にしていきたいものである。2018.7.13

  • 言葉って難しい。
    変化していくし。
    おもしろかった。

  • 2017/3/5
    外国の言葉事情と比較しながら、日本人も最近は忘れかけている日本語の奥深さや味わいについて細やかに教えてくれる日本語についての本。日本は外国と比べて言葉はものすごく大切に扱われてきた歴史があるが、近年の日本では言葉そのものに関する関心が薄れているからこそ、日本語の礼儀作法としてはおかしな点が多々増えてきていることを指摘している。
    日本語の意味を間違えた使い方、使う場面を間違えたものなど多岐にわたっている。中には、読んでいて、その言葉はそうやって使うのかと改めて知ったものというか、今まで知らなかったものもたくさんあった。実際に交わす挨拶の言葉に関するもの、手紙や文章など書面上で書く文字のこと、実際に書く文字と印刷や印字された文字が伝える印象の変化なども書いてあり、日本語についての知識をたくさん増やすことができる。

  • 外山先生ならではの博学がいっぱいの本であった。日頃の言葉の使い方や思いやりについて、考えるよい機会になった。

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著者プロフィール

外山 滋比古(とやま・しげひこ):1923年、愛知県生まれ。英文学者、文学博士、評論家、エッセイスト。東京文理科大学卒業。「英語青年」編集長を経て、東京教育大学助教授、お茶の水女子大学教授、昭和女子大学教授などを歴任。専門の英文学をはじめ、日本語、教育、意味論などに関する評論を多数執筆している。2020年7月逝去。30年以上にわたり学生、ビジネスマンなど多くの読者の支持を得る『思考の整理学』をはじめ、『忘却の整理学』『知的創造のヒント』(以上、筑摩書房)、『乱読のセレンディピティ』(扶桑社)など著作は多数。

「2024年 『新版 読みの整理学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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