- Amazon.co.jp ・本 (356ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101329765
作品紹介・あらすじ
「おれはただ、ずっと自分を誤魔化してきただけだ」リストラ面接官・村上真介の今度の相手は、航空会社の勝ち組CA、楽器メーカーでくすぶる元バンドマン、ファミレスの超優秀店長、おまけに、破綻した証券会社のOBたち。企業ブランドも価値観も揺らぐ時代、あなたは明日をどう生きる? 全ての働き人たちにパワーを届ける、お仕事小説第4弾!(単行本『勝ち逃げの女王』改題。)
感想・レビュー・書評
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『君たちに明日はない』第4弾
リストラ請負会社『日本ヒューマンリアクト』面接官・村上真介。
『勝ち逃げの女王』 AJAの勝ち組CA。
ただCAの給料の安さにびっくり。こんなに安かったの…
会社は残って欲しいって、思うんだろうが。
辞めてもいいよ、家族のために。
特に子どものために。
『ノー・エクスキューズ』 破綻した山三証券OBたち。『日本ヒューマンリアクト』社長・高橋がリストラした元山三証券社員。
『もう必要とされなくなった場所にいてはいけないんだよ』と。
確かにそうだ。
ならさっさと新しい道を探すべきだ。
『永遠のディーバ』 楽器メーカー『ハヤマ』管弦打事業部営業課長でくすぶる元バンドマン。
元バンドマンとして、音楽から離れられない…
離れようとしても…
『音楽はテクニックじゃない』
結局は…
ひと握りのひとたちだけがつかめるスターの座。
『リヴ・フォー・トゥデイ』 ファミリーレストランチェーン『べニーズ』店長。
結局は教師になりたかったんだろうか…
母親に対する反発からバイトを始め、教員免許が取れず、そのまま『ベニーズ』へ。
母親は何を思っているのか…
中学受験の成れの果てなのか…
我々の親の世代は、『いい大学』から『いい会社』に入れれば、『いい生活』が送れるって、考えるのが普通だった…
一部上場企業が倒産するなんて、夢にも思わなかっただろうし…
母親の気持ちもわかるな。
みんな自分で考え、自分で選んだ道へ進んでいく。
真介も何か考えているのだろうか…
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君たちに明日はないシリーズ第四弾!
すでに本シリーズを読んでいる方は、本作の主人公村上真介がリストラ面接官である事をご存知かと思う。今回の真介の受け持つリストラ対象者は
航空会社の勝ち逃げCA
CAの給料が思ったほど高くない事に驚き!
楽器メーカーの元バンドマンの課長
才能、技術、努力、持ってるものと、持ってないもの何かを続けるための努力と姿勢に考えさせられた!
潔い証券会社のOB達
昭和の時代のエリートサラリーマン達との雑談が心地よい
接客業の神の夢はバスの運転手
先を見据えなければならない仕事というのはストレスである事に違いない!
色んな業種の色んな話、再就職を考えている人、今の自分に不満な人達へ、自分を見直す一冊として読んで欲しい! -
第3弾の「張り込み姫」でちょっと気持ちがダウンしてしまい、単行本で出た「勝ち逃げの女王」は読まなかった。それが今回タイトルを変えて文庫本になったので、ふと手に取った。
やはり本は出会いだと思う。今読むべき本と出会えるものなのだ。
「勝ち逃げの女王」の話は少し耳が痛いところがある。私も、どっちかというと「勝ち逃げ」の人生を選んできているから。今まではそれがなんとなく引け目だったのだが、この話に出てくる浅野さんの潔さに打たれた。自分で選んだことには責任を持とうと思えたのだ。
「ノー・エクスキューズ」では、真介の世代と団塊の世代の価値観に違いが描かれていてなかなか面白かった。そうか、若い人ってこんなふうに感じるのね、と。自分はその中間の世代なので、どっちもちょっとだけわかるし、ちょっとだけわからない。
そして「永遠のディーバ」。文庫化するときにこのタイトルにしたのは、単行本の時の評判がいちばんよかったからなのかしら。
夢に本気で向き合うこと、自分がやりたいことをはっきり突き詰めること。これは言うほど簡単なことではないのだ。だから正樹は逃げ続けて、あいまいにごまかして生きてきたのだ。この生き方が身につまされる。思い当たるところが多すぎて、胸が痛くなる。でもその分、最後の彼の決断は大きなカタルシスになった。
最後の「リブ・フォー・トゥデイ」もまた、印象的な一編だった。働くということについて、改めて考えさせてくれる。将来に備えることも大事かもしれないが、今を疎かにしたら将来もなくなるのだ、ということをもっと本気で考えるべきなんだな。
仕事をする、ということ。働くということについて、いろいろ考えさせてくれた作品ではあるが、ひとつだけ気になるのは、「金銭的な報酬が発生しない仕事」はどう評価したらいいんだろう。主婦とか、ボランティアだって、大切な「仕事」ではあるが、どちらも「金を稼ぐ」という観点からすると仕事とはみなされないことが多い。そういう場にいる人はどうやってモチベーションを維持して行ったらいいんだろうな。 -
相変わらずサクサクっと読めてしまう気楽な一冊。
最後のリヴ・フォー・トゥデイが
なかなか好みだったな。
外食産業で働く、仕事の出来る男性の話し。
生き方が潔くてカッコいい。
人から求められる、あるいは必要とされる。そんな場所にいるのが、一番幸せなかとなんじゃないかと・・・
本当。
だからやる気になるし、明日が楽しくなるんだよなぁ。 -
リストラ請負人・村上真介が主人公の「君たちに明日はない」シリーズの第4作。
物語を通じて仕事や会社との向き合い方についていつも考えさせられ、また勇気づけられてきた、大好きなシリーズ。今度も文庫になるのを待ってた。
希望退職に応募した人を引き止めたり、会社が印をつけた優秀層を思い留まらせたり、山一証券の破綻を思わす団塊の世代を登場させたり、これまでと趣向は変わっているけれど、やはり仕事との向き合い方について考えさせられた。
もう2年したら60歳で定年になるけれど、私の世代では年金をもらえるのは62歳からで、今から会社を辞めてどこかに転籍し年金をもらえる歳まで働くにはもはや手遅れで、60歳まで働いても次の働き扶持を紹介してもらえる可能性もかなり低く、こんなことならこの前の希望退職の際に辞めておけば良かった思ったりもしながら、いやいや、あの時はそういう風には思っていなかったじゃないかと気を取り直して働く毎日。
そういう心持ちの時にこの本を読むと、色々思うところがあり、ついウルっと来てしまうところにぶち当たり、電車の中で読んでなくて良かったと思う。
「勝ち逃げの女王」は、会社と自分の関係について。
『個人のプライドというのは、仕事における誇りというものは、意識的にも実質的にも、その基盤が盤石であってこそ持ち続けられるものだ』85
『どんな企業に勤めてどんな役職になっているかっていうことより、そこまでやってきている仕事の、自分にとっての意味のほうが大事なんじゃないかなって』100
「ノー・エクスキューズ」は、サラリーマンとしての矜持について。
『人間、もう必要とされなくなった場所に居てはいけないんだよ。だったら、そんな場所はとっとと捨てて、新たに必要とされる場所を探したほうがいい』123
『結局は何のために仕事をやっているんだっていう、自覚がないんだよ。自分と、自分のお客のため以外には、本当には頑張れないんだっていう自覚がさ』135
『自分の人生がどう転んでも、言い訳をしない。泣き言を言わない。家族にも、むろん他人にも。たとえ痩せ我慢でも、です。つまりは「ノー・エクスキューズ」-潔さ、ということでしょうか』149
『それぞれに、自分の家でも口に出せない孤独と不安を背負って、これまで生きてきたのだ』150
「永遠のディーバ」は、実力と才能について。
『結局は、気持ちなんです。次々と見せつけられる実力の差やセンスの壁に、それでも挫けずにその行為をやり続けるに値する、自分の中の必然です』218
『自分はどうありたいのか。何を表したいのか。何を、どう伝えたいのか。それを真摯に見極め、追求していく気持ちの強さ。それこそが、才能なのだ』264
「リヴ・フォー・トゥデイ」は、長い人生の生き方について。
『観念的な正しさなんて、本当は実体がない。ただあるのは、こういうのが好き、こういう生き方がしたいっていう、単にそれだけの気持ちだ。気持ちの方向性だ。そしてそれを、現実とどう折り合いをつけていくかっていう問題だけだ』307
『たとえ明日のことを考えていなくても、懸命に日々を生きてさえいれば、そのうちに何かが見えてくる。人。意思。モノ。時間。どこかで、何かが繋がってくる……』347
毎日を目の前の課題をこなすのに精一杯で過ごしている身だけれど、自分なりのささやかな矜持は持ってやっているつもり。今回もまたハッとさせられもし、勇気づけられもした。 -
著者、垣根涼介さんはバイクや車、音楽にかなり精通していることがわかる。
いろんな業種の内部事情が垣間見れるのも楽しみの一つ。
世の中の8対2の法則も面白い。例えば国民には5%の富裕層と、高給与所得者を含む15%の小金持ち、そして残る80%のなんとか生活している層に分かれる。
パレートの法則と言って、利益集団の中では必ず、2割の優秀者と、残る8割の可もなく不可もない層に分類される。そしてその2割の優秀な人材だけが、実は組織全体を実質的に動かしているそうだ。 -
This is a book you should read when thinking about your second career.
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シリーズ4作目で、初めて、村上や高橋社長の、この仕事に関わったきっかけとなった過去に遡及したような気がする(記憶違いか?)。3作目までと比較し、仕事をすることや、働くこと、生きること等について、より力を注いでいるのではないか。
表題作『永遠のディーバ』中で、情熱を持って長く続けられること、それが才能だ、と語られる。納得。
『リヴ・フォー・トゥデイ』においても、将来のために今のすべてを犠牲にするなんて、馬鹿げている、と。