迷子の王様: 君たちに明日はない5 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 333
レビュー : 58
  • Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101329772

作品紹介・あらすじ

「会社を辞めて、これからどうするつもりなんですか?」リストラ面接官の村上真介が今回対峙するのは――鼻っ柱の強い美容部員、台湾に身売りした家電メーカーのエース研究員、ペースを狂わせる不思議ちゃん書店員。そして最後にクビを切られるのは、なんと真介自身!? 変わりゆく時代を見据え、働くこと=生きることの意義を探す人々を応援する人気シリーズ、旅立ちの全四話。

感想・レビュー・書評

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  • 「あなたにとって、仕事とは何ですか」がテーマのこのシリーズも、遂に完結。
    第1巻あたりでは、リストラ面接官という主人公村上に、何やら敬遠したい近寄り難さを感じていたが、シリーズを重ねるうちに、そんな違和感も解消。
    そして、最終巻で彼はその仕事を離れたあと、それまでの被面接者に手紙を出し、年賀状のやり取りもした相手に、直接会いにも行ってしまう。
    「金儲けのためだけに仕事をする人間」ではない、彼の生き方に羨望の念すらわいてきた。
    あとがきで作者はこう書いている。
    「いつの時代でも、金儲け、あるいは金を稼ぐためだけに仕事をする人間は、永遠にその仕事から報われることはない」
    さらに、現在の日本について、現政府が躍起になって進めるインフレ対策についても苦言を呈する。傾聴に値する著者の見識である。
    このシリーズは完結したが、新たに仕事に就いた村上信介も見てみたい。

  • 5巻まで続いたシリーズもついに最終巻。
    終身雇用という労働形態が必ずしも当たり前ではなくなってきた時代の流れと共に、作品としての役割も終わりを迎えたということでしょうか。
    リストラ請負というのは見も知らない人の人生を変えてしまう仕事だけに、余程特殊な心を持つ人でない限り相当キツイだろうと想像します。ようやく解放された真介が、伸びやかで前向きな人生を歩むことができたらいいなあと思いました。

  • あとがきに、自分の仕事にやりがいを感じていない人は仕事のストレスからその分だけ散財してしまい精神的に火の車になってしまう…みたいなことが書いてあってはっとした。

  • シリーズ完結版(だとおもうけど、番外編とかよくあるのでわからないが)。自分の今後なども考えながら興味深く読んだ。職業は生きざまそのものだけれど、図らずも翻弄されるのもまた人生なのだろうとしみじみ思う。

  • 仕事って何だろう?自分の人生の優先順位1位にはしたくないけど順位は高いもの‥ と考えさせる一冊
    相変わらず陽子との距離感はそのまま、でも人生の中の仕事の位置が慎介の中で大きくかわるストーリー
    この一冊も面白い

  • リストラ請負人村上信介の「君たちに明日はない」シリーズ最終巻。大好きなシリーズだったので、終わってしまって残念…でも、本当に素晴らしい作品だった。以下それぞれの話ごとの感想。

    トーキョーイーストサイド
    早稲田出身のエリートだが下町出身のマリエは、どんなに学歴が高くても「知的背景」が自分には無いとコンプレックスを抱いている。常に外部と比較してしまうこと、拭えないコンプレックス、社会から受ける学歴の逆差別など、すごく共感できた。大学進学をキッカケに、それまでの自分の世界との違いを感じること、それは「視野が広がった」なんてレベルでは無くて、それまで自分を構成していたものが崩れていく感覚で、同級生のふとした会話からマリエが感じた衝撃がリアルに伝わってきた。

    迷子の王様
    モノづくりに関するお話。時夫は優秀で、やる気もあるエンジニアにもかかわらず、その技術を活かせる製品の需要が世の中から失われていき、ついにはリストラ対象となる。日本のモノづくりはいきつくとこまできてしまって、技術は進歩するのにもかかわらず、客の購買欲はドンドン失われていく。自分には手に職がないことがコンプレックスだったが、時夫のように人生をかけてきたものが役立たなくなる絶望という、別の辛さが技術者にはあるのだなと思った。「技術の進歩によって数年後こんな仕事は失われる」と言われる現代において、この話のラストは、どんなに時代や技術が変わっても人のアイデアと適応力があれば仕事は無くならないだろう、と思わせてくれた素晴らしいものだった。読後感が最高。一番好きな話かも。

    さざなみの王国
    あまり人とコミュニケーションをうまくとれない書店員の女性の話。「いつの時代から、外交的な人間が良くて、内向的な人間はダメだって言われ始めたんでしょうねー」この台詞は心に残った。自分の行動の理由と動機がハッキリしている人間ばかりじゃないよなぁと思った。

    オンザビーチ
    真介自身のこれからの話。本当に名言のオンパレードだった。「ある程度まで考えて答えが出ない問題は、その時になってまた考えればいい」「未来は常に不確定です。そしてその分だけ、気楽です。」「ぼくたちの今は、死ぬまでずっと連続して一つの通過点でしかない」「頑張りさえすれば手に入った立場が死ぬまで続くと思えた時代はとうに過ぎ去った」「本人を取り巻く状況も世の中もものすごいスピードで変わっていく。変わらないものがあるとしたら、本人の気持ちだけだって」…とあげればキリがない。ハッとさせられる台詞ばかりだった。人生は何かになれたら、どこかの立場に到達したら、終わるものではない、全て通過点に過ぎずその時その時で考え、選択していくものだと認識させられた。そして「潰しがきく」とか「儲かる」といった動機で仕事を選んでもいつか続かなくなる、逆に気持ちの部分がしっかりしていればどんなにニーズのない仕事だろうが繋がっていくのだろうと思えた。

    垣根先生の文章は本当に読みやすく、心に訴えかけてくる素晴らしい文章だと思う。このシリーズがもう読めないのは残念だけど、新しい垣根作品を楽しみに待とうと思う。

  • 毎巻楽しく読ませて頂きました、
    完結して仕まうのは寂しいですね。

    さざなみの王国では変わり行く時代の流れ、
    書店をテーマに、
    オン・ザ・ビーチでは主人公村上慎介の人生の中で築き上げて来た生き方、心の中にある変わらな物が描かれてのあとがき、

    私的意見になりますが、紙ベースの媒体が減りそれを扱う書店もどんどん減り続けても今後もずっと描き続けて行く垣根氏の意気込みを感じました。

    次回作をたのしみに、
    今後も応援しています。

  • 買ってしまった、、、以前新書で読んだのに(笑)結局最後まで読んでしまうのは、2度読みしても、その当時とは異なった思いや考え方で変わってくるからだろう。『働く』がテーマの書籍はつい気になって手に取ってしまう。人生に占める割合が高い大事なテーマ。

  • シリーズもののようで、第5弾で、これで最後のようです。途中からでも、違和感なく、入っていけます。
    主人公は、リストラをする会社の代わりに、リストラ対象と面談し、対策を立てるのを仕事としている。思いやりのある人で、あまり強引なことはしない。短編集で、面談を受けた人がどのように乗り越えていくかを描いています。ハートウォーミングな感じです。最終話に出てくる豆腐屋の話は話がよすぎる気がしました。社会の要望が変わっていく中で、リストラは許せないだけではやっていけないという現実を見て、仕事とどう向き合うのか、どう生きていくかの物語です。面白く読みました。

  • 「君たちに明日はない」シリーズの第5話。そして完結編。
    最終的に主人公もリストラされる側になってしまうというお話。

    短編小説で一シリーズずつが別会社の話になっていて、各業種のキャリアをしれて勉強になる。
    また、各人の思いや、退職へのアプローチ方法の話術など、面白い内容を含んでいる。

    ただ、やはり短編は記憶に残りにくいなっと思う。
    一冊読書後、どんな話があったかというのが記憶に残りにくいな。
    また、最終話の最後のシーンは何を思わせていたのかな。
    山下の行動がよく理解できなかった。
    今後の展開が想像つかないというか、???っという状況。
    シリーズとして面白かっただけに、個人的に少し残念。

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著者プロフィール

垣根涼介(かきね・りょうすけ)
1966年、長崎県生まれ。筑波大学筑波大学第二学群人間学類卒。
2000年『午前三時のルースター』でサントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞しデビュー。2004年『ワイルド・ソウル』で吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞、大藪春彦賞の史上初の三冠に輝き、2005年『君たちに明日はない』で第18回山本周五郎賞を受賞。2013年、初の歴史時代小説『光秀の定理』を発表、歴史時代小説『室町無頼』は第156回直木賞候補、第7回山田風太郎賞候補となり、第6回本屋が選ぶ時代小説大賞を受賞。2018年、『信長の原理』で第9回山田風太郎賞候補作、そして第160回直木賞候補となる。

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