室町無頼(下) (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (359ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101329796

作品紹介・あらすじ

唐崎の古老のもと、過酷な鍛錬を積んだ才蔵は、圧倒的な棒術で荒くれ者らを次々倒す兵法者になる。一方、民たちを束ね一揆を謀る兵衛は、敵対する立場となる幕府側の道賢に密約を持ちかける。かつて道賢を愛し、今は兵衛の情婦である遊女の芳王子は、二人の行く末を案じていた。そして、ついに蜂起の日はやってきた。時代を向こうに回した無頼たちの運命に胸が熱くなる、大胆不敵な歴史巨編。

感想・レビュー・書評

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  •  過酷な棒術の鍛錬を積んだ才蔵は、運命の男たちと共に一揆の戦いの中に身をうずめる。

     武芸者として成長する才蔵の生き様と時代に戦いを挑む男たちの生き様が一つの歴史を創っていく様を描き、読み応えのある作品となっています。

     彼らの歩んだ道を北条早雲や斎藤道三、そして織田信長が広げていき、新しい時代を創っていくのだという歴史的な意義も感じました。

     その中で一介の武芸者がどのように生きていくのか、その心意気が問われる時代だということも感じました。

  • 読み物としては疾走感もあり面白かった。
    ただ、主人公の才蔵があまりに素直すぎる。
    苦難の幼少期を過ごしながら、何故こんなに素直でいられる。
    もう100ページ増やしてでも、ひねくれ才蔵の成長を描いてくれたら完璧だったのに…残念。

  • 著者の巧みな想像力と創造力で、歴史の闇に埋もれていた、ならず者たちに光が当てられた。
    かつて、このように稀有なそして破壊的に雄大な漢(おとこ)たちがいたのかと思うと、楽しくなってくる。
    凄まじいばかりの彼らの生き方は、現代では望むべくもないだろう。
    しかし、兵衛の才蔵への問いかけの答えは、現代でも参考にしてもよいのではないか。
    すなわち、「銭より動くものは何か」と尋ね、答えをためらう才蔵に「それはな、人の口の端じゃ」と。
    そして、「蓮田どのは、銭をためる代わりに、この世での自らの信用を買って、何事かをなそうとされているわけですな」と、才蔵は理解する。

  • 『室町無頼』というタイトルの意味は
    室町時代
    誰も頼る当てのない
    まったくの独り身の主人公が
    六尺棒の棒術で身を立て
    乱世を生き残っていく物語

    剣道とは似てるようで似てないなと思う
    何度も命拾いし面倒見てくれる人に出会えるのは
    恵まれていたのだ
    しかし、兵法者としての人生を歩まないという選択肢が
    あったのではないか
    この若者のまわりはすべて、暴力的な人ばかりだ
    戦国の世とはそういうものなのか

  • なかなか、良かった。
    後半がイマイチ。

  • 結局、本作は応仁の乱の直前、寛正三年に起きた土一揆を描いたものだった。

    浮浪社会に人脈を広げていた蓮田兵衛は、うち続く飢饉で高まる幕府や豪商による対する不満を見事にまとめあげ、計画的に大規模な一揆を起こして幕府に一泡も二泡も吹かせた。この一揆は、その後の応仁の乱の先鞭として、戦闘の主力が甲冑武士から食い詰め浪人や百姓の次男三男などの地下人=足軽へと代わる契機、そして下剋上の乱世の魁を作った、という。

    「力さえあれば、幕府にも思うさまにものが言える時勢になってきているのだ。それは道賢に限らず、土倉たちでさえ政所へ平然と苦情を持ち込むようになっていることからも明らかだ。」

    棒術の修行を終えた才蔵は、「吹き流し才蔵」と名乗りを改めて市中に名を轟かせるが、これも一揆計画の伏線の一つにすぎず、後半だいぶ影が薄くなる。

    下巻では、一揆の首謀者兵衛と、市中警備役だが志を同じくする骨皮道賢のを巡るドラマ、そしてクライマックスの一揆の戦いが読みどころ。

    室町時代の混乱と、無秩序の中から生まれつつあるバイタリティがビビッドに描かれた良作。

  • ★4.0
    師匠との修行を終え、京に戻ってきた才蔵。兵衛や道賢たちと一緒に興行した見世物は、暴力的で残酷ではあるものの、また3人が一処に集ったことが懐かしくて嬉しかった。そんな中、遂に口火を切った土一揆。結果的に、兵衛も道賢も三条河原に晒されることになるけれど、損得ではない自身が信じる道を突き進んだ二人がすこぶる格好良かった。そんな兵衛と道賢、さらに才蔵までもが、芳王子の手の平の上で踊らされているのが面白い。また、決して善人ではないものの、不思議と愛嬌があり三度生かされる暁信も、時代に必要な人だったのかも。

  • で、下巻。
    道賢と兵衛から世の料簡を教えられ、古老からの壮絶な棒術修行の果てに、心身ともに生きていく力を身に着けていく才蔵。
    その強さが半端ないが、戦いの中で人を見抜き、それらが兵衛のもとに集まってくる様はさながら「七人の侍」みたいな面白さ。
    時は熟し、人も揃い、物語は一気に、兵衛が企てる土一揆へとなだれ込む。
    その年号を覚えた時に“人世虚し”と記憶した応仁の乱だが、そこへ突入する直前の時代、既に虚しい時代であったことが知れる。
    ただ、そういう時代であっても、自分の信じるがままに生きた無頼の徒の生き様は、儚くはあったが虚しくはなかったことも、また知れた。
    相国寺の大塔のことは知らなかったが、今の世でそこに登って京の街を見てみたかったなと思う。

  • 話の続きが気になってサクサクと読み進んだ。
    想像していたとおりの結末ではあったが、そうなる事が一番落ち着く感じがする。
    下巻も人物のキャラクターが際立っていて話の展開に面白さを加えている。
    才蔵のその後が気になる。

  • この、絶妙な時代を切り取った舞台設定。
    この後に来る激動の時代を予感させ幕を閉じる。

    群像劇としてみると100点マンテンなのだが、主人公の成長譚としてみるといささか物足りなかった。

    どんだけスゴくなるんだー、というのを見届けたかった。

    もっと無頼道(?)を極めてほしかった!

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著者プロフィール

垣根涼介(かきね・りょうすけ)
1966年、長崎県生まれ。筑波大学筑波大学第二学群人間学類卒。
2000年『午前三時のルースター』でサントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞しデビュー。2004年『ワイルド・ソウル』で吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞、大藪春彦賞の史上初の三冠に輝き、2005年『君たちに明日はない』で第18回山本周五郎賞を受賞。2013年、初の歴史時代小説『光秀の定理』を発表、歴史時代小説『室町無頼』は第156回直木賞候補、第7回山田風太郎賞候補となり、第6回本屋が選ぶ時代小説大賞を受賞。2018年、『信長の原理』で第9回山田風太郎賞候補作、そして第160回直木賞候補となる。

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