越境者 松田優作 (新潮文庫)

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  • 新潮社 (2010年6月29日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (448ページ) / ISBN・EAN: 9784101330419

感想・レビュー・書評

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  • 1、2章あたりはすごく面白くて、自身の脆さをかばうような松田優作の暴力的な一面を、スターならではのカリスマだと魅力的に捉えることができていた。一つ一つのエピソード(事実)を語るだけで、補足の説明なしに全てが分かってしまうくらい
    序章の離婚した後に長女の誕生日会のエピソードから惹きこまれる

    ただ、訴訟騒ぎ、筆者の妊娠あたりから、ファンですら冷静になるくらいの、(精神的な)暴力性というか、わがままというか、自己中心の世界観が露呈される
    自分が信じた道を突き進むという意志が本当に強い人で、その徹底したプロ意識があったからこそ、憑依したような演技ができ、多くの人に慕われ、今もファンが多いのだろうけれど、自分と周りの大切な人たちを傷つける、諸刃の剣だったのだろう

    松田優作は「崇められたスター」ということばにどのまま当てはまらず、人並み以上に弱さや脆さを抱え、それでも自分の世界を作り上げて、ぶち壊してしまおうというところがあった。だからこそ、家族や友人を含めた自分の周りを自分の世界一色で染めなければ脆さがぶり返してしまうようなところがあったのかもしれない
    母親が逝去し、体調が崩れ、自分の色で世界を染められないとわかったとき、自分の色で染めるのを諦めて、宗教に頼ったのかもしれない

    離婚した奥さんが死後20年(?)が経ってから執筆したとはいえ、本当に精神的な力の削がれる執筆作業だったと思う
    私は松田優作の複雑な内面を知りたくて読んだが、それでも読後は重い気持ちになった

    身内とはいえ、感情的にならず冷静に分析されているために、あくまでこれは松田優作の一つの見方であるということを忘れそうになる

  • 松田美智子『越境者 松田優作』新潮文庫。

    松田優作の最初の妻であり、善き理解者であった松田美智子が松田優作という稀代の俳優の生き様を描いたノンフィクション。

    その出自由縁なのか常に怒りを秘め、時折その怒りを爆発させていた松田優作。自分が松田優作という俳優の存在を知ったのは『太陽にほえろ』の個性的で特異な演技である。その後、映画やテレビドラマでの彼の個性的な演技に注目していた。何と言っても『ブラック・レイン』で佐藤を演じた彼の鬼気迫る演技は印象深い。本書を読み、松田優作の自らの出自との葛藤、癌との壮絶な闘いなどの背景をより詳しく知ることが出来た。

    昨今のテレビを見ると面白いドラマも無く、お笑い番組やお笑い芸人を雛壇に登場させる番組ばかりが目に付く。日本映画もアニメに、アイドルとかモデルが簡単に主役に抜擢し、つまらない演技を見せられるばかりだ。もはや松田優作のような並々ならぬ情熱を持ち、個性的で特異な演技を見せてくれる俳優にお目に掛かることは出来ないのだろうか。

  • ── 松田 美智子《越境者 松田優作 20100629 新潮文庫》
    https://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4101330417

    (20251215)

  • 松田優作の正確な性格の部分をしれて良かった
    破天荒すぎるのと暴力性みたいなのが刺さった

  • 無理なんてしたくない。
    そうしないと生きてれないから無理をする。
    ただ、それだけ。

  • 「このときの私は二十一歳。貧しく、無名で、ただ希望だけが大きい若者だった」p.33 松田優作の最初の妻による、死後二十年を経たあとの、評伝。映画スターとしてのヒーロー的な部分しかしらない試聴者に、タフでかっこいい以外の側面を知らせてくれる。仕事には純粋で情熱をもってとりくむが、行き過ぎて付いて行けない人を置いて行き、また振り回し疲弊させる。極まると暴力に訴え、何度も事件となり、粗暴と言われても否めない面も。色街での私生児としての出生、在日韓国人としての国籍へのコンプレックスと元妻への帰化申請がスムーズにいくことへの依頼。家族を非常に大事にする反面かえりみないところもあったというアンビバレンツ。最後は、宗教にたよりあやしげなビジネスにたより、死を予感しつつ受け容れず倒れた感。巨大なエネルギーだったと思う。スクリーンを通してすらそれを感じさせて、人々を惹きつけて、それゆえに、身近にいた人々には時に火傷を起こさせる。

  • これが、真実の松田 優作……かどうかは知らない。
    松田 優作の妻だった人が書いた人のドキュメンタリーというか、評伝。

    自分の夢を犠牲にしての内助の功は報われず、若い才能のある女とデキて出て行った男のこと。でも、彼を作り上げた一部は自分であるという自負もある。
    そして、けっして憎んでいたわけではない。
    これはあくまでも、そんな松田 美智子から見えた松田 優作。

    でも、ぼくらがテレビや映画を通してみている松田 優作よりも、多分、リアルな証言なんだと思います。

    狂気のようなコンプレックスと、すべてを犠牲にして一つのことに賭ける思い。

    と書けば、かっこいい。
    でも、犠牲にするのは、自分だけでなく周りも一緒くた。そして、息切れした人間にかける言葉が、

    「あいつは、もうダメだ」

    ひでえと思う。
    自分の半分ぐらい体重の女性を殴りつけて、

    「殴った方がいたいんだ」

    なんてことをいう馬鹿が、本当にいるということにビックリする。

    それでも、えてして、強力な個性カリスマというのはこんなものか?

    そして、その狂気があったから、スクリーンのなかの彼は、光を放ち続ける。

  • 今日2回目の参加でした。いろんなジャンルの話が聞けて、本当に楽しかったです。

  • 松田優作との関係はまさに偽りのない愛に包まれているようでのめり込めるものがあった。しかし,「あれ」と思う記述もあり,感情にまかせて事実が見えていないのではないかと感じさせられたのが残念。

  • 本書を読んで初めて知った事実もたくさんあるのだが、それを意外とは思わない。リアルタイムで映画やドラマの表現活動の中で見てきた松田優作の裏側は、そんなことがあっても当然だと腑に落ちることばかり。惜しまれる早過ぎる死であったが、それも松田優作に相応しいと思えてならない。

  • 優作の前妻にあたる著者が描いた優作はすごく身近に感じる。
    喧嘩が強く逮捕歴もあり、在日韓国人であることの葛藤、癌との壮絶な死は有名だ。

    だが晩年は新興宗教に傾倒するなど人間としての弱さも描かれていたが、膀胱癌が転移し末期状態になっていた彼には仕方がなかった事なのかもしれない。

    松田美由紀との出会いの場面や離婚に至る過程などが生々しく吐露されていて著者の松田優作への愛に満ち溢れた作品だった。

    優作が存命していたらデ・ニーロと共演し、日本人として間違いなくハリウッドスターの第一人者になっていただろう。
    それを見られなかったのがただただ悔やまれてならない。

  • 2010年98冊目

  • 松田優作の演技はほとんどテレビでしか見ていない。「太陽にほえろ!」「俺たちの勲章」など。映画は「野獣死すべし」「それから」「家族ゲーム」ぐらいか。この間、テレビで「蘇える金狼」を見たが、それほど面白いとは思えなかった。そんな、ファンでもない私が、元妻によるノンフィクションを読んでみた。当事者が書くノンフィクションは、先日の「滝山コミューン一九七四」もそうだけど、作品の持つパワーが違うと思う。臨場感があると言うか。とにかく読ませます。

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著者プロフィール

料理研究家、日本雑穀協会理事、テーブルコーディネーター、女子美術大学講師。一九五五年東京生まれ、鎌倉育ち。ホルトハウス房子に師事し、各国の家庭料理、日本料理、中国料理など幅広く学ぶ。一九九三年より「松田美智子料理教室」を主宰。季節感を大切にした、美しく作りやすい料理作りを心がける。二〇〇八年、使い手の立場から本当に必要なものを考えて開発した調理道具、食器のプライベートブランド「自在道具」を立ち上げる。『季節の仕事(天然生活の本)』(扶桑社)、『丁寧なのに簡単な季節のごはん 松田美智子料理教室「絶対の定番」』(小学館)など、著書も多数。

「2021年 『おすし』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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