空白の桶狭間 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101330525

作品紹介・あらすじ

圧倒的な軍勢を誇り東海に君臨する今川義元は、その触手を尾張に伸ばそうとしていた。自らの出自を後ろ盾に、さらなる立身を目論む若き藤吉郎は、策をめぐらす信長にある進言をする。持ち前の機転と洞察で、剛将義元の隠された内実と力量を見抜ききっていたのだ。天下の趨勢を一変させた桶狭間の戦いを舞台に、歴史の空白から埋もれた真実を炙り出す。驚天動地の傑作歴史ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 尾張の気候や水害の多い環境故の兵農分離や楽市楽座など小説そのものより歴史背景の記述の方が興味深く。

  •  桶狭間の真実は闇の中であるが、この本のようなことがあったことは間違いない。多くの桶狭間物語は説得力がない

  • 歴史小説ならではの展開。歴史の謎に対する問いかけは、やはり僕達歴史ファンの特権であり、楽しみではある。秀吉が山の民であるというのは、それなりに神秘性があり、桶狭間の謀略も、そこまでなのという展開が面白い。小説ではあるが、あながち100%空想と言いきれないのが面白く、素晴らしい。

  • 山の民として秀吉が桶狭間で今川義元に謀略を仕掛ける

  • この本は加藤廣の本であるという一点のみで買って読んでみた。

    内容は桶狭間の本当の歴史は何か?
    そこに焦点を当ててある。

    実際に読んでみると加藤廣ならではのストーリーが書かれていて面白かった。
    ただ、この本は加藤廣の本を初めて読むという人にはおススメしない。

    もし読むのなら、信長の棺から始まる加藤廣の三部作を読んでからの方がそれら三作がこの本の内容にも繋がっているからいい。

    秀吉はどのようにして、今川義元を桶狭間に連れてきたのか、それを読み解くこの本。

    評価は3にしたけど、実際3.5くらいの評価でした。

    ちなみに、小説の最後に出てくる
    (誰もが己れを知ることは難しいものじゃな)
    という言葉が印象的でした。

  •  秀吉を「山の民」(網野善彦流に言えば、「漂泊民」「山伏」といったところかも)とし、諜報活動との連関性を強め、彼らの活動が桶狭間合戦の死命を決したとの観点から同合戦を描く歴史小説。松平元康(後の徳川家康)がこの謀略を知っていた点と、信長謀殺目的を今川義元が有し、直接面会を応諾したというのは些かご都合主義の感がないではないが、エンタメとしては十分楽しめる。ただ、元康が全貌を認識していたというシュチエーションが終章に迫力を生ぜしめるので、先のご都合主義という問題点も一概に否定しづらいところ。

  • 今川義元が上洛を果たし、彼を中心とした一大勢力が(天下統一?)実現していたら日本はどうなったのだろう?
    あまり変わらないのか?
    それでも家康が天下を取るのか?
    家康は今川義元の後継者といってもいいんだよね。

  • またもや加藤廣の世界観にどっぷり。
    内容としては本能寺の変三部作のスピンオフ的なものではあるが、全てが矛盾なく繋がる様は心地いい。
    全ての作品で一貫したストーリーが構築できていることは、作者の研究と物語のバックグラウンドの深さを見る気がする。

  • 桶狭間の合戦に未だ残るミステリーを、秀吉の出自と絡ませて書かれた歴史小説です。桶狭間の合戦までの展開は早くリズミカルです。合戦前後の関係者の動きと心情を記した第五章「それぞれの桶狭間」は、この合戦に運命を左右された人たちの存在を改めて思い起こさせ、心惹かれるサイドストーリーでした。因みにこの本では、秀吉は「山の民」の出身として描かれています。また信長が行った革新的と思われる施策も、必然的なものだったと評価しています。

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著者プロフィール

加藤 廣(かとう ひろし)
1930年6月27日- 2018年4月7日
東京都生まれ。東京大学法学部卒業後、中小企業金融公庫(現日本政策金融公庫)に勤務し、調査部長などを歴任。山一証券経済研究所顧問、埼玉大学経済学部講師を経て経営コンサルタントとして独立し、ビジネス書執筆や講演活動を行う。
50歳頃から、人生を結晶させたものを残したいと考えるようになり、歴史関係の資料類を収集。2005年、『信長の棺』で作家デビュー。当時の小泉純一郎首相の愛読書との報道があって一気にベストセラーになり、高齢新人作家としても話題になった。のちに大阪経済大学経営学部客員教授も務めた。
『秀吉の枷』『明智左馬助の恋』を著し、『信長の棺』を含めて本能寺3部作と称される。ほか『水軍遙かなり』、『利休の闇』。その一方で『戦国武将の辞世 遺言に秘められた真実』、『意にかなう人生 心と懐を豊かにする16講』など歴史エッセイや教養書も刊行を続けていた。

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