兎の眼 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.78
  • (36)
  • (36)
  • (60)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 380
レビュー : 35
  • Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101331027

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 産後、最初に読んだ本。
    かなーーり久しぶりの再読。

    読みながら、何度か目頭が熱くなった。
    が、一方で「違和感のようなもの」も結構感じてしまった。
    偽善っぽい…というのかな。
    いやいや、たぶん違う。
    きっと今や「偽善ですらない」ような。うーん。

    …と、もやもやしていたら、先日パラッとページをめくった『友だち地獄』(土井隆義著)に、これだ!と思う一文があって、妙に腑に落ちてしまった。
    「今の若者にとって〈やさしさ〉とは、他者を傷つけないよう空気を読み、距離をとることであり、一時代前の〈やさしさ〉とは向かうベクトルが真逆である」
    そんな内容だった。

    一人ひとりの生徒に、これでもかと踏み込んでいく小谷先生や足立先生。
    きっと今こんな先生がいたら、とんでもない偏向教師と言われ、下手すれば失職ものだろう。
    けれど、たとえ「偽」が頭につこうが、このような人への向き合い方が「善」であると捉える時代の方が、今よりずっと伸びやかに生きられるのではないか。
    そんなふうに思った。

  • 原発事故の直後に読んで、考えさせられてしまった。

  • 学校の先生とハエに興味を示す子どもの話。教育関係の仕事につきたい人には、絶対読んでほしい作品。灰谷さんの作品の中で一番好きで、小学校の頃からの愛読書。昔の作品だけど、今でも普通に読める。

  • 「はねあらへん」鉄三ははじめて友だちと話をした。けれど、どういうわけかだろう。勝一もたけしも、ほかの友だちも、みんなごくあたりまえのような顔をしている。

    涙が止まらなかった。教員一人の力では無理と決めつけていないか、大人の事情を子どもに押しつけていないか、と問いかけられているようだった。灰谷健次郎をもっと知りたいと思った作品。出会えてよかった。

  • 小学校を舞台とした、子供との関わりや教育者のあり方を問うた物語であるが、社会全体や組織運営、学生との関わりにおいても重要な示唆が含まれる一冊。登場する教員のように力強く生きていけるかはわからないが、オロオロしながらも進むしかないのだろう。

  • 何だろう、この清々しさ。ストーリーは、これからというところで終わるが、それがちょうど良い。途中、何度笑い、何度泣き、何度怒り、何度…。数えきれない。いわゆる児童文学、大人が読めばすぐに読み終えてしまう。もう40年以上前に書かれた話なので、冷静に見れば時代錯誤な部分も多々あるが、そういうところに目を向ける内容ではないだろう。純粋に元気がもらえる。少し気になるのは、主人公の先生とその旦那さんは、その後どうなっていくんだろう、と。ま、これは大人の余計な詮索かな。

  • さよならだけが人生だ

  • 新任教師の小谷芙美先生が、塵芥処理所内の住宅から通学する臼井鉄三という無口な少年をはじめとする子どもたちとの関わりを描いた、児童文学の傑作です。

    小谷先生は、ハエに強い関心を示す鉄三に関わり続け、彼の心を少しずつ開いていきます。また、処理所の子どもたちの絶大な信頼を得ている足立先生や、鉄三の祖父のバクじいさんたちとの交流を通じて、小谷先生は優しさだけでなく、強さを獲得するようになります。そして小谷先生は、自分たちのクラスに養護学校に通うことになる伊藤みな子を引き取ることを決意します。そんな小谷先生の方針に、始めは保護者たちからの反対が出ますが、まず子どもたちが変わっていき、それに続いて大人たちの意識もしだいに変わり始めます。

    そんな中、処理所が移転することになり、子どもたちが転校を余儀なくされるという話がもたらされます。小谷先生もビラ配りに参加して、子どもたちといっしょに戦い、足立先生はハンガー・ストライキを始めます。そしてついに、彼らの声が聞き届けられることになります。

    「優しさ」は、ときに恐ろしいものだということも、じつはあるのだろうと思います。無垢な子どもの視線によって大人の世界を告発するという図式には、オリエンタリズムと同種の問題がひそんでいるという指摘も頷けます。それでも子どもの頃にこの本と出会えたことは、やはり幸せだったと今でも思っています。

  • 再読了。

  • 「まごころよりチョコレートのほうがええ」

全35件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

灰谷 健次郎(はいたに けんじろう)
1934年10月31日 - 2006年11月23日
兵庫県神戸市生まれの児童文学作家。定時制高校商業科を卒業。大阪学芸大学(現・大阪教育大学)学芸学部卒業後、小学校教師に。そのかたわら、児童詩誌『きりん』の編集に関わる。
短編小説「笑いの影」が問題となり、事件身内の不幸が重なったことを契機に1971年小学校教師を退職、沖縄・アジア各地を放浪。1974年『兎の眼』で児童小説デビュー。その他代表作に『太陽の子』『ろくべえまってろよ』、テレビドラマ化された『天の瞳』などがある。

兎の眼 (新潮文庫)のその他の作品

兎の眼 (フォア文庫愛蔵版) 単行本 兎の眼 (フォア文庫愛蔵版) 灰谷健次郎
兎の眼 (フォア文庫 C 55) 新書 兎の眼 (フォア文庫 C 55) 灰谷健次郎

灰谷健次郎の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
三島 由紀夫
東野 圭吾
フランツ・カフカ
宮部 みゆき
ヘミングウェイ
有効な右矢印 無効な右矢印

兎の眼 (新潮文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする