国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて (新潮文庫)

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レビュー : 210
  • Amazon.co.jp ・本 (550ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101331713

感想・レビュー・書評

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  • 佐藤優氏の著作を多く読んでいるうちに、今更ではあるが原点の著書を読み返してみた。
    外務省時代の彼の仕事ぶり、そして逮捕後の拘置所内での検察とのやりとりなど、非常に興味深い内容であった。
    自分も当時はメディアの情報を丸呑みしていた者として恥ずかしく思った。彼ら(鈴木宗男氏や著者たち)がどれだけ真剣に日本そして北方領土問題を解決しようと奔走したのか、そしてそれを政治的な理由だけで検察に捉えられたしまったことがどれだけ今の日本にマイナスになっているのかを悔やまれてならない。
    あれから数十年も経っているのに、このような本気で国のことを考えて奔走している人たちが政治に利用されることがないような仕組みを日本という国が作れていないことに恐怖さえ覚えた。
    微力ながら時分ももっともっと知識をつけて、声を発していかなければいけないと考えさせられた。

  • 恐らくは未だ口外できないことが多いのだろう、何故著者が逮捕されたのか、どのような力が働いたのか…言おうにも言えないもどかしさを感じた。あと、著者の恐ろしいまでの記憶力と再構築力には畏怖すら感じる。知性の構成要素で最も重要なのは記憶力だと思う。

    この本で最も印象的なフレーズは「日本人の実質識字率は五パーセントだから、新聞は影響力を持たない。ワイドショーと週刊誌の中吊り広告で物事は動いていく」。

    かといって「いや、俺は様々な情報をベースに世間を見ているぜ」というポーズをとる輩も危うい。そして、冷静なふりをしつつ、一方的な主張を繰り返す人間が最も危うい。

  • 田中眞紀子外務大臣(当時)と外務省事務方との軋轢に端を発した鈴木宗男事件の「国策捜査」で逮捕、拘留、起訴されて有罪とされた、著者の真相糾弾本。感情を殺し、客観的かつ冷静な分析に徹した著者の執筆スタンスには好感が持てる。記憶力や分析力の高さにもただただ脱帽。
    外務省の陰湿で責任を取らない官僚体質に、こんなことで日本の外交は大丈夫か、と心配になってしまう。今も変わってないんだろうなぁ。
    著者の見立てでは、本件国策捜査は、「「公平分配モデル」から「傾斜分配モデル」へ、「国際協調的愛国主義」から「排外主義的ナショナリズム」へという現在日本で進行している国家路線転換を促進する」ことを意図して行われた、とのこと。
    何れにしても、国策捜査の怖さと、著者の情報分析力の高さが印象的な作品でした。

  • 著者はロシア関係の外交官だった佐藤優。
    今、ロシアのプーチン大統領と安倍首相の会談が話題になってる中、この本を読んだ。

    田中真紀子に「外務省のラスプーチン」といわれて、鈴木宗男と共に国策捜査されて512日間に拘置された人。

    つい先日、冤罪の恐ろしさを描いた『殺人犯はそこにいる』を読んだのだけど、これはある意味冤罪よりも恐ろしい国策捜査の話。
    冤罪は助かる可能性もあるけど、国策操作は著者が「地獄の双六」と証するように、最初から逮捕することが目的なので絶対に助からない。

    それでも獄中で著者はインテリジェンス(諜報活動家)として、取調べの検察官と虚虚実実の駆け引きをするのだけど、基本的には負け戦の撤退戦。
    最終的に本丸の鈴木宗男も逮捕され、彼自身も刑を執行されるのだけど、インテリジェンスの矜持は最後まで守ります。
    「刑に執行猶予はあるけど、インテリジェンスの違反に期限はない」というのが印象的だった。

  • 10年も前に刊行されていて、今まで読まなかったのが悔やまれる、面白い本であった。
    あの頃、鈴木宗男が悪い奴、やな感じ、としか見れなかったし、そもそもロシアとの関係や北方領土に対してまったく認識がなかった。政治のショー以外は見てなかったし。
    国策捜査という作り込みの怖さ、起こっていることの史実なども興味深かったし
    それ以上に自分が信頼できる人、その人達とどんなことをやっていけるのか、作者の姿勢に好感を持った。
    そして自分はどう生きる?

  • 今迄読んだ佐藤優氏の本の中で一番読みやすかった。正確性・事実性を大切にする書き方は、この後次第にエスカレートしてゆくのだろう。確かに、この作品にもその片鱗が見受けられる。

    読了後でも、佐藤氏が逮捕された背景がよく分からないのだけれど、塀の中に入ってからの感性と思考性はより研ぎ澄まされたものとなる。後半の展開はあたかも推理小説を読んでいるかのように進んでゆく。

  • ・国際協調的愛国主義から排外主義的ナショナリズムへ
    ・クオーター化(全体像に関する情報を持つ人を限定する)=秘密を守る方法
    ・田中眞紀子、トリックスター(騒動師、文化人類学)、その言葉は人々の感情に訴えるのみでなく、潜在意識を動かすことができる。規制社会の道徳や秩序を揺さぶるが、同時に文化を活性化する。(しかし、その活性化された政治がどこに向かうか、ということ。)

  •  外務省内部に共産党のシンパがいる・・・保険として民主党にも告発文(マル秘文章)を送った。マル秘文章を手に入れることが出来るのは外務省幹部である。外務省は田中真紀子と鈴木宗男をどちらも切りたい・・・(文庫あとがきP519参照)

     真紀子の我儘、宗男の恫喝で外務省幹部が我慢ならないところまできたのだろう、詳細については500ページある著書の中にも詳しくは書かれていないが、その雰囲気は伝わる。国家のためと思う気持ちが強い分、無理をしいて役人たちに嫌われたのだろう。宗男の娘が共産党との共闘姿勢を見せた民主から自民に鞍替えしそうだが、宗男の共産党嫌いはこのあたりにあるのかと知る。

  • 田中真紀子が外務大臣になった時の外務省にいた佐藤氏の告発本です。鈴木宗雄代議士と組んでロシアとの友好に尽力していたところに田中大臣が乗り込んできてとんでもないことになった事件の話。結構面白い。

  • やっぱり面白かった。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。同志社大学大学院神学研究科修了後、専門職員として外務省に入省。英国の陸軍語学学校でロシア語を学び、在ロシア日本大使館に勤務。
帰国後、外務省国際情報局で主任分析官として活躍。
2013年、『国家の罠』で毎日出版文化賞を受賞。

「2019年 『世界宗教の条件とは何か』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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