国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 210
  • Amazon.co.jp ・本 (550ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101331713

感想・レビュー・書評

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  • 佐藤優万歳なわけではないが、読み応え抜群。マスコミの操作で鈴木宗男悪代官と感じていたが、実際はこんな動きがあったのかと目からウロコ。ムネオハウスの実態についても知れた。国家の罠というタイトルはなかなかいいえて妙である。
    北方領土について。途中までの流れはひょっとするとひょっとしたかもしれないなと感じた。2000年までに解決すると言っていたがあれから15年。なんら進捗がないところをみると、この頃が一番話が進んだのかもしれない。北方領土についてもっと知る必要あり。

  • 事実、読了に時間を費やしたが重厚な読み応え。 「国策捜査」を軸にした、検察と自身との神経戦。 佐藤氏の著書は数冊経験済みだが、なるほどこれが原点。 ロシア人、外務省人、検察人、弁護人。 極限状況にあっても、冷徹なまでの分析・観察眼、そして記憶力。 過度な悲壮感もドラマなく、淡々と綴られている事に、むしろ恐ろしさが。インテリジェンスのプロフェッショナルだからこそのノンフィクション。

  • This is intelligence.

  • 38冊目。

  • 非常に興味深く最後まで読めた。マスコミの偏向報道により、何となく鈴木宗男=悪代官的政治家、と思っていたが裏でこんなことがあったなんて。そもそもあの時、田中真紀子と鈴木宗男が何で更迭されたかすら分かってなかったし。

    筆者は鈴木宗男と連座というか前座というかで逮捕され、出所後文筆業で名を馳せており、以前からその知識人っぷりに興味津々だったのだが、読んでさらに興味をかきたてられた、是非他の本も読もう。ただし筆者の態度を借りるなら、この本もあくまでも一方からの言い分であり、鵜呑みにはしないように。

  • 外務省専門職員(ノンキャリア)の外交官だった佐藤優氏が、背任罪で起訴され、その事件の背景を細かくなぞってゆく。筆者の理路整然と物事を述べてゆく筆力にはただ圧倒される。
    筆者は以前ロシアの大使館で書記官を務め、外務省に戻ってからもロシアとの外交を主に担当していた。元国会議員の鈴木宗男氏とタッグを組んで、北方領土問題の解決に全力を注いだが、裏のより大きな力により(つまり誰かに目を付けられ)、「国策捜査」の対象となってしまった。本書は逮捕に至るまでと、拘禁中の佐藤氏の生活や検察および弁護士とのやり取りなどが中心に描かれている。
    本書を読むまで、ロシアとイスラエルのつながりがいかに強いかなど、その歴史的背景を知らなかった。外交は、様々な要素や各国の思惑があり、それをうまく扱いながら進めていかなければならない、とてもデリケートな分野だ。情報の専門家の作者は、幅広い外国人との交友関係を利用し、外務省で活躍するが、それを面白く思わない人もいたのだろう。
    元国家議員の鈴木宗男氏も同様の罪(北方領土のディーゼル発電の入札に絡む不正の疑い)で、続けて逮捕されることになる。本書によると検察はまずターゲットを絞り、その人物を逮捕すべくストーリーを描き、周辺を徹底的に調べるんだそうだ。タイトルは「国家の罠」だが、まさに国益のために尽くしてきた著者が国に裏切られる形になり、さぞかし無念だったろう。
    著者は敬虔なクリスチャンで、とても正義感の強い人である。頭脳明晰で論理的であり、罪を認めたほうが早く社会復帰できるとささやく検察とのゲームにも負けなかった。
    ずっしりと重く、考えさせられるノンフィクションである。毎日出版文化賞特別賞を受賞している。

  • 2002年の田中真紀子外務大臣と外務省との対立、鈴木宗男の汚職と逮捕で新聞・テレビが随分にぎわっていたのを覚えている。どうしても田中大臣=無能なわがままおばさん、鈴木議員=悪徳政治家、著者=陰でなにをしているのかわからない怪しい外務省員というマスコミそのままの印象しか抱かなかったが、内実はかなりことなることに驚いた。
    国策捜査とは知らない言葉であったが、罪の有無など関係なく敵とされたら葬られる仁義なき政治の一面を垣間見せてくれた。書かれた内容を信用するならば、著者が有罪とされる理由は微塵も見いだせず、鈴木議員も逆に実力がありかつ誠実な政治家というしかない。
    国を思う政治家がおり、自己顕示欲しかない政治家がいる。同様に国を思う官僚がおり、省益を思う、自己の出世を思う官僚がいる。当たり前であるが一般の社会もこれに同じであり、安易なイメージを信じることには何の益も見いだせなくなった。
    それでも、かような転落をも恐れず職務を全うした著者並びに鈴木議員には賞賛を送りたい気持ちになった。人より多くの仕事を果たした何よりの証拠であろうと思われる。
    今、2015年、田中大臣は議員としての評価を下げ続けた後亡くなられたが、著者の佐藤氏、鈴木議員をもはや前科者として知る者も多くはいるまい。
    私を含め多くの国民が二人の逮捕に喝采を送ったと思うが、それが国益にかなったことだとは思えない。国民が政治の正しい姿をすることは今後非常に重要だと考える。

  • 全ては国益のため。

    ダイヤモンドの書評でしたり、新聞の書籍広告でお名前はよく見かける方。
    そして「知の巨人」と呼ばれている方。
    この人がどういう人で、具体的にどんな考えをもっている人なのか。
    それを知るために、この本を手に取りました。

    国のために。「国益」という言葉が頻?に出てきます。
    その言葉の通り、国のためにまさに朝から晩、いや明け方まで情報を交換し、
    インプットをアウトプットにまとめ、酒を酌み交わし人脈を構築していく。

    自分の知識が及ばない部分も広くバックグラウンドに持った膨大な知力の泉から
    湧き出る文章に、付箋をつけ、辞書で調べての繰り返しになりました。

    解説でも書かれていましたが、情報のプロが書かれた、誌かも内用が内容でありますから
    全てが事実なわけではなく、「国益」に沿う内容としてかかれている、ということは
    肝に銘じないといけません。

    情報を取り扱うプロとしての意見が非常に為になり、
    おそらく情報についての書籍もお出しになっているでしょうから、ぜひ読んでみたいと思います。

    お金とか地位とか名誉ではなく、プライドを人の目を曇らせるものとし、
    日本国家と日本人にお仕えするために情報を発信している、という佐藤さんの書籍、
    文章は今後も積極的に触れていきたいと感じました。

  • 時代の潮流が大きく変化する時にはスケープゴートとして象徴的に断罪される組織や個人があるということ

  • 対ロシア外交官としてロシアでの人脈つくりの中で経験したロシア政治家の行動思考様式。イスラエルのロシア外交における特殊性・重要性。外務省、検察庁の「組織の論理」等々ノンフィクションのリアリティが下手な小説を量がする面白さがあった。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。同志社大学大学院神学研究科修了後、専門職員として外務省に入省。英国の陸軍語学学校でロシア語を学び、在ロシア日本大使館に勤務。
帰国後、外務省国際情報局で主任分析官として活躍。
2013年、『国家の罠』で毎日出版文化賞を受賞。

「2019年 『世界宗教の条件とは何か』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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