8月17日、ソ連軍上陸す―最果ての要衝・占守島攻防記 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101332215

感想・レビュー・書評

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  • ノンフィクションなのである程度はしかたがないが、非常に読みづらい。

  •  ポツダム宣言を受諾し、玉音放送により終戦を迎えた8月15日。しかし千島列島の最北端に位置する占守島でソ連との戦闘がはじまったのは8月17日だった。
     アメリカとの戦争を開始してから年々状況が不利になったのは周知のことだが、当初大本営が想定していたのはアメリカの日本本土への攻撃はアラスカからアリューシャン列島を経由して、北海道から上陸するというルートだった。(藤田嗣治の絵でも有名なアッツ島玉砕はこのアルーシャン列島経由での戦闘)
     そこで日本は防衛上の要として占守島に関東軍の精鋭部隊を配置転換しアメリカの進攻に備えた。しかし米軍は太平洋における激戦で勝利し続け南洋の島々を次々と占拠、B29による無給油本土爆撃が可能になったため、北方からの侵攻作戦を放棄した。
     その時点で占守島の関東軍は配置転換することが活用法としては正しいのだが、すでに制海権を米軍に奪われ、輸送するための船が調達できなかった。
     かくして占守島には無傷の関東軍の精鋭が終戦まで温存されることになった。
    これが日本の運命を変えた。
    無傷の精鋭部隊である。ソ連軍を圧倒する。なにもできずに祖国の敗戦を迎えてしまった無念さを一気に爆発させた守備隊は、圧勝する。これによりスターリンの野望を挫いた。
    この占守島でソ連軍の上陸を阻止することができたことにより、北海道が占領されなかったと言ってもいい。北方領土くらいですんで儲けものと言えなくもない。
    詳しくは本書でと言いたいが、この本は書き方が固い。難しい。
    なので最初に浅田次郎の『終わらざる夏』を読んでからサブテキストとして読むといい。

著者プロフィール

大野芳(おおの・かおる)
一九四一年愛知県生まれ。ノンフィクション作家。『北針』で第一回潮賞ノンフィクション部門特別賞受賞。
著書に『近衛秀麿――日本のオーケストラをつくった男』(講談社)、
『絶海密室』『瀕死の白鳥――亡命者エリアナ・パブロバの生涯』(以上、新潮社)、
『8月17日、ソ連軍上陸す――最果ての要衝・占守島攻防記』『「宗谷」の昭和史――南極観測船になった海軍特務艦』(以上、新潮文庫)、
『死にざまに見る昭和史――八人の凜然たる〈最期〉』『無念なり――近衛文麿の闘い』『裸の天才画家 田中一村』(以上、平凡社)、
『天皇は暗殺されたのか』(二見文庫)など多数。

「2020年 『伊藤博文を暗殺したのは誰なのか 安重根と闇に隠された真犯人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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