- Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101333120
作品紹介・あらすじ
美貌の産婦人科医・曾根崎理恵、人呼んで冷徹な魔女。彼女は母に問う。ママ、私の子どもを産んでくれない-?日本では許されぬ代理出産に悩む、母・山咲みどり。これは誰の子どもか。私が産むのは、子か、孫か。やがて明らかになる魔女の嘘は、母娘の関係を変化させ…。『ジーン・ワルツ』で語られなかった、もう一つの物語。新世紀のメディカル・エンターテインメント第2弾。
感想・レビュー・書評
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ジーン・ワルツで主人公の女医・理恵の代理母となった実母みどりの気持の流れ。
かなさんにお勧めいただきました。
ジーン・ワルツでの代理母出産は、合理的で理性的な女医が中心。そこ姿勢に納得はしていたが、そこで書かれなかった、元夫の考え方、出産した双子を、理恵と母親が一人づつ育てることになった流れが描かれる。
娘にも母親にもなんとなく欠落しているものがあるような、誰しもどこかは不足があるのだから、と思ったり。
元夫は興味深い人種だった。息子へ「ようこそ地球へ」と言えるような理性的な理論派。でも、何かが足りないような。
代理母について、医療的な事、法律的な事、社会的な事。そして、母親となる心情的な事。
人工授精、代理母、将来的には人口子宮となってくれば、倫理観も変わってくるでしょう。
「ようこそ地球へ」という感覚が、一般的になっていくのかもしれません。
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『ジーン・ワルツ』を、もう一つの視点からみた物語。
アチラをどこか冷めた寒色の物語とすれば、
こちらは太陽のような光に彩られた暖色の物語、でしょうか。
「生命」を作る、「生命」を育む、、そして産む。
母と呼ばれるのは果たして、誰になるのでしょう。
題材は同じであるにもかかわらず、人が違えば変わるものですね。
たとえ母と娘と言う、血のつながりのある親子であっても。。
『医学のたまご』とも仄かにつながっていて、ラストはなかなかに味があります。 -
『ジーン・ワルツ』を読んでから本作を読むことをおすすめします。産婦人科医・曾根崎理恵は母のであるみどりに代理母出産を依頼する。そのみどりから見た代理母出産‥娘のためが赤ちゃんのためにと変わっていくのはある意味自然なことなのかも感じました。続編、読みたいですね!
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「ジーンワルツ」の同じ時間軸の別視点(代理母)からの作品。なのでやはりテーマは代理出産。
両方で一つのストーリー。「ジーンワルツ」だけではもやもやとしていた疑問点が解決した。
クールウィッチ(冷徹な魔女)という言われは今回の作品の方が、不快に思うほど感じ取ることができた。しかし何より人間愛に勝るものはない。というのが私の結論。 -
代理母出産をテーマとした『ジーン・ワルツ』の出来事を代理母の立場から描く小説である。海堂作品では患者を主人公とすることは珍しい。主人公は桜宮市に長年居住した桜宮市民であるため、ショッピングセンターの火災やボンクラボヤなど桜宮市の出来事も言及され、桜宮サーガらしくなっている。
意外なところで別の作品との接点を見せる桜宮サーガの壮大な世界観には圧倒させられる。しかし、著者も最初から全ての設定を考えていた訳ではないだろう。漫画『バクマン。』の「一話完結でない一話完結」のように過去の作品を読み返し、何気ない描写に新たな作品で意味を持たせることもあるだろう。過去の作品を大切にすることが成功の秘訣である。
医療問題をメインテーマとする桜宮サーガであるが、開発優先の街づくりへの批判精神も旺盛である。『夢見る黄金地球儀』では個性のない再開発による地方都市の疲弊を描いた。『極北クレイマー』ではリゾート開発による税金垂れ流しと医療予算削減を相関させる。
そして『マドンナ・ヴェルデ』では新築マンションの耐震強度偽装や手抜き施工に言及する(8頁)。新築マンションの「あやうさ」という表現まである(9頁)。マンション紛争を扱った『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者にとってニヤリとさせられる内容である。
産婦人科医の置かれている厳しい状況への問題意識は『極北クレイマー』と共通する。市民が出産を安全なものと勘違いしていることが非難される。これは正当であるが、少子化対策から国が出産のリスクを周知させていない傾向があるのではないか。市民の意識を批判し、医者の立場に理解を求めるだけでは解決しない問題である。
印象に残った登場人物の台詞は「仕事を引き受ける時、できるかどうか考えてから決めるでしょ。できない仕事はできない、と答えることはいけないことじゃない」である(163頁)。日本では頑張ってチャレンジすることを評価し、無理と即答した人を「挑戦してもいないのに無理と言うな」と非難するガンバリズムが蔓延している(林田力「『家政婦のミタ』『専業主婦探偵』ガンバリズム否定の労働者像」リアルライブ2011年12月27日)。時代遅れの精神論の払拭を支持する。 -
『ジーン・ワルツ』と同じ時間軸で山咲みどり視点で語られる。歳時記と共にゆったり時間が流れている感じが心地良い。みどりのような丁寧な暮らし憧れるなぁ。伸一郎との手紙のやり取りが多いのも書簡集好きには嬉しい。
前作のラストで語られた理恵の所業の理由が判明するが、感情が伴わないのでやはり納得できない。崇高なお考えとは思うけれど。少なくとも夫婦の同意は必要。血液型だけではないその他の遺伝の部分で違和感を感じることもあると思う。 -
「ジーン・ワルツ」のもう一つの物語。代理母となったみどりの側のストーリーです。心情的にはこちらの主人公の方が近いかもしれません。日々を淡々と、しかし大切に生きてきた主人公の前に突然の代理母のお願い。ただひたすらに戸惑います。しかも単身赴任中の夫とは離婚するという。お腹の中の子どもたちの事を考えどうするのがいいのか…答えは簡単には出ませんね。生殖医療の難しさを突きつけられました。
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娘がいる私はみどりになったり、理恵先生になったり大変だった。
でも、やっぱりまだまだ理恵先生側でみどりさんには程遠い。
私個人に限るのかもしれないが、世間で言う立派な大人の年齢になってるはずの娘的立場ですら母親には結構な言いたい放題をはなってしまう。
本作はテーマは代理出産なる深いもので、そこらにありふれている親娘の微妙な関係はステージが違うものであるのだろうけれど、私はそちらの関係性の方か気になりながら読んでいた。
海堂先生、男性なのにすごいな。 -
最初は代理母と言う題材なので、読みづらくなかなかページをめくる事が出来なかったのに、三分の二程読み進めると
サクサクと読み進めれた作品でした。 -
ジーンワルツは娘の理恵の話だが、これは理恵の母親であるみどりの話。
相変わらずユミが覚醒している。
みどりみたいな可愛くて優しいお母さんに憧れる。
凝ってますね。
凝ってますね。
読んでいただけて嬉しいです(^-^)
2作品読むと、色々考えさせられますよね…。
私もあれこれ、すごーく考...
読んでいただけて嬉しいです(^-^)
2作品読むと、色々考えさせられますよね…。
私もあれこれ、すごーく考えましたもん。
ありがとうございました。
ヴェルデってみどりという意味みたいですね。
母親の名前からかな?あと未成熟みたいな意味もあるみたいで、母とし...
ヴェルデってみどりという意味みたいですね。
母親の名前からかな?あと未成熟みたいな意味もあるみたいで、母として未成熟な二人のことかな?などと。
楽しく読ませていただきました♪
ありがとうございました。