新版 トットチャンネル (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (474ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101334103

作品紹介・あらすじ

いいお母さんになるやりかた、教えてくれるかも知しれない──そうして、一人の少女はNHK専属テレビ女優第1号となり、放送の世界に飛び込んだ。しかし、録音された声を初めて聞いた時には、自分の声じゃないと泣きじゃくったり、草創期のテレビ界でトットが巻き起こす事件の数数、やがて個性派女優へと開花していく姿を、笑いと涙で綴る感動の青春記。最新メッセージを加えた決定版。

感想・レビュー・書評

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  • パンダ好きとしては徹子さんの本は必読では...と「窓際のトットちゃん」に引き続き読んでみた。

    懐かしのドリフの台本か!?と思えるような話がちらほら。このままコントに出来そう。そんな笑えるページもある一方、切ないページも多々あり。
    これは小説ではないので、徹子さん自身としてはとても辛かった出来事だろうけれども。

    話全体に昭和の自由な、まだ見ぬ未来への意欲的な空気があり、私までワクワクする。でもその対極には陰湿な感情、個人へのオブラートに包まない批判的な言い方、今で言えば、コンプライアンス違反ですよね?なこともあり...。
    それでも何故か、昭和のこの時代は、人との間にいい時間が流れてたね、と思える。そして切ない。
    ...あ、この時代には私まだ産まれてませんけど。

    そして1番、ああー徹子さんですねー!思うのが、前作同様あとがきが長い!読んでも読んでも何十ページもあとがき。これもまた面白いね。

  • 草創期のテレビ界を舞台に、トットこと黒柳徹子の青春時代がユーモラスに(時に切なく)語られる。ドラマ「トットてれび」(NHK)、「トットちゃん!」(テレビ朝日)が大好きだったので、天真爛漫なトットちゃんの喜怒哀楽弾けまくりの日々を活字でも楽しむことができてよかった。若気が至りまくって大変なことになる場面も多々あったが(笑)それでも、なかなか芽が出ない下積み時代は辛かったことだろう。
    初期NHKの生放送のドタバタエピソードは信じられない出来事のオンパレードで、これまた読んでいて飽きない。名優達との絡み、そしてプライベートではお見合いの顛末など、とにかく話題に事欠かないトットちゃん!
    テンポよくコミカルな語りだけど、淡々としているからこそ切ないエピソードが妙に染みる。自分自身、デビュー前後のトットちゃん同様に燻り気味の日々を過ごしているので、一つ一つのエピソードにずいぶん元気付けられた。
    本書が発売された頃、すぐに読みたいと思っていたがあれから数十年。読めたのが今でよかったのかもな。若いときに読んでも、それなりに感銘を受けたと思うけど、自分が歳を重ねたからこそ理解できる部分もたくさんある。特に、新版発売にあたり書き加えられた「はじめに」。読了後、改めて読み返すとしみじみする。長く読み継がれて欲しいなと思える一冊だ。

  • テレビの創成期から関わったトットちゃんの回想録。
    「窓際のトットちゃん」の続編のようにも思える。
    「窓際のトットちゃん」で幼い頃のトットちゃんを知り、テレビで活躍する黒柳徹子さんを知っているので、この本を読み始めてすぐ私の頭の中で好奇心旺盛で早口のくるくると動く「トット」が簡単に出来上がった。
    どのように記録されていたのか記憶されていたのか、NHKを受験するいきさつから合格して失敗しながらも第一線で活躍するまでがほんとうに細やかに描かれている。
    NHKの生放送の様子も今では考えられないコントのような有様だが、そこにいたトットが語るものだから臨場感があり面白い。状況だけでなくそのときトットが考えたこと、抱いた感情、周りの人に対する観察力。ともえ学園で育まれたトットの感受性は大人になってもとても豊かで素直。それゆえに失敗したり傷つけられたりすることも多い。というか、この本はそういう話ばかり。しかしそれがあのトットのキャラクターで展開されるのでコミカルにさえ思える。逆にトットの感受性ゆえに哀しみが増す場面も。トットの装いを見ても素敵な暮らしをされていたのだろうと思う。
    「普通じゃない」ことに苦しむトットだが、自分を曲げてまで「普通」になろうとしないことがトットらしい。「窓際のトットちゃん」を読んだ時に、「普通じゃない」トットちゃんを育てたパパとママが素晴らしいと思ったが、本作を読んで改めてそう感じた。

  • くう、泣ける

  • 黒柳徹子の思い出話
    お仕事ない時期とかもケロッとしてて明るい徹子さんを尊敬する。もっと人生楽しく生きたい。

  • 昭和28年(今から63年前)、日本にテレビ放送が生まれた。
    みんな「ありがたみ」を持って「テレビジョン」と呼んでいた。
    現場には生まれたてのテレビジョンを手探りで育て上げた人たちがいた。

    日本のテレビ放送開始から現在までテレビ業界で活躍するトットちゃんこと黒柳徹子の自伝エッセイ。
    生まれたてのテレビという教室の窓際からトットちゃんは何を見たのか?
    スーパースターはあまり登場しない。
    トットちゃんが見たのは名もなきクラスメイト達の苦難と奮闘だった。
    「知床の岬に ハマナスが咲くころ 思い出しておくれ 俺たちのことを」

    放送開始当時は小さな悲喜劇が毎日数え切れずに起きた。
    当時は録画機材の値段が高く、撮り直しの効かない一発勝負ナマ放送だった。
    だから、言う事聞かないニワトリを紐でぐるぐる巻きにしたまま放送したり、
    忍者の懐から「役者の給料袋」を取り出してしまい、咄嗟に「拙者の扶持でござる」と誤魔化したり。
    大のおとなたちが、ばかばかしく、哀しく、切なく、一途で、面白い、ふざけたようなこと
    をしたエピソードには失礼だが思わず笑ってしまう。

    「今まで人類が夢想だに出来なかった国際間の、
    より大いなる理解と永遠の平和の可能性が生まれてくる。
    これがテレビジョンの力なのである。」これがテレビジョンの理想なのである。
    みんな理想を持っていた。数多の失敗を乗り越えてテレビを必死に育てあげた。

    そして現在のテレビ業界がある。
    何をか言わんや。今のテレビは成熟しきって老練の域に達しているのだろう。
    若い頃には戻れまい。ただ懐かしむことしかできなかろう。

    しかし未だテレビというコンテンツに一縷の更なる成長を期待するとすれば、
    今のテレビ業界人が、子供の頃に憧れたテレビの「理想」を改めて掲げることに他ならない。
    石橋貴明は言った。「バラエティには人を笑わせ、何かを与えられる無限の可能性がある。」
    大のおとなたちが、ばかばかしく、哀しく、切なく、一途で、面白い、ふざけたようなこと
    に本気になればきっと何かが育っていくと信じたい。

  • 日本テレビの草創期、ナマ放送でしばしばトラブルが起こり、どうしようもなくなると「終」と書かれた紙をカメラに貼り付けて、番組を終わらせてしまう。今だからこそユニークに感じるけれど、当時は黒柳さんたちが戦って作り始めたテレビ。その始まりをめぐる物語、そして黒柳さんの青春記は興味深く読むことができました。

    なによりこの作品を読んで、黒柳徹子さんを好きになりました。エキストラのおじいさんに関する話、作品への起用が決まり、あなたはその個性でいいと励まされた話、過労でテレビを休んだ話。このあたりが特に印象深い。どんどん進化していく世の中とテレビ。その中でも優しい心を持ち続け、今も大活躍の黒柳さんを、実に素晴らしいと思いました。

  • 黒柳徹子さんのエッセイ集。
    主にテレビ放送創成期の頃を中心にまとめてある。

    黒柳さんのほかの本を読んだことがなかったので、どういう経緯で芸能界に入ったのか、若いころにどんなことをしていたのかなど、まったく知らなかった。


    当時は、「テレビ放送」という新しい、未知の世界に並々ならぬ期待が寄せられていたのだなー。

  • 草創期のテレビ界に身を置く黒柳徹子の青春記…、で終わるかと思いきや、最後の章でどんでん返し。これで終わるか?って感じ。ただ、その当時と今現在はともかく、この連載を書いていた頃(80年代前半?)の徹子さんの気持ちはこんな感じだったのかも。

    あとがきが秀逸。連載を上手くまとめ上げ、一冊の本としての完成度をぐっ、と高めています。

    スタートアップしたい人にオススメ。背中を押してくれるかも。

    ライフ住吉店書籍コーナーで購入。

  • 昔のテレビ業界の裏側を知ることができるのみならず,あとがきにある後日談も面白い。ありのままの文章に当時の情景が浮かんでくる。著者の周囲に自然と沸き起こる「作らない」ユーモアがページを捲る手を速めた。

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著者プロフィール

女優・ユニセフ親善大使。東京都生まれ。自伝的著書『窓ぎわのトットちゃん』でも描かれたトモエ学園から香蘭女学校を経て東京音楽大学声楽科を卒業、NHK放送劇団に入団。NHK専属のテレビ女優第1号として、現在にいたるまで大活躍している。『窓ぎわのトットちゃん』(1981年)は、800万部というベストセラーの日本記録を達成し、全世界で2500万部を売り上げている。アジア初のユニセフ(国連児童基金)親善大使として、長年にわたりアフリカ、アジアなどを各国を訪問、めぐまれない子どもたちのことを知ってもらうための活動に力を入れている。

「2023年 『トットちゃんの 15つぶの だいず』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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