とける、とろける (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
2.89
  • (15)
  • (66)
  • (178)
  • (96)
  • (21)
本棚登録 : 1505
感想 : 127
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101334332

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • R4.11.29 読了。

     官能恋愛小説というよりは、一般的な恋愛とは違う幻想や妄想や不倫などを題材にした恋愛小説のように感じた。どの短編も感情移入できず、よく分からない終わり方に気持ちが取り残されてしまったように感じた。
     この中では「契り」、「スイッチ」が面白かった。

  • 唯川 恵氏の「とける、とろける」。

    解説から・

    唯川 恵、という稀代のストーリーテラーが紡ぐこの短編集「とける、とろける」には性を扱う小説が持つべき最適な温度、読者との距離感、物語の最後まで保たれているべき品、そのすべてが含まれている。
    一言で言えば、エロティックな小説が内包すべき「心・技・体」、そのバランスが絶妙なのだ。

    どの物語も、連なる言葉はシンプルだが、味わいは限りなく深い。
    上質なビターチョコレートをしたの上で溶かすように、時間をかけて味わってほしい。

    作家 窪 美澄

    女性作家が性を描く上質の短編集。
    露骨な性的表現はありながら、品は保たれている。
    以前読んだ村山氏の「ダブルファンタジー」より、こちらの方が好き。

  • 女性の性を中心として描いた短編集。

    昨今の短編集はそれぞれの話に関連性があり、短編集でありながら1冊を通すと1つの大きな物語になっているケースが多いが、本作は1つ1つが完全に独立したストーリーとなっている。

    作者の他の作品も読んだ事がある上で比較すると、唯川恵氏は女性の心情を細かに描いて積み上げていくことに非常に長けているが、短編集という1話30ページほどの中で起承転結を行うとなるとその積み上げが十分に行えずややライトな内容となっており、読み味としては唯川恵氏らしさを感じることはできなかった。

    また、女性の細かな心情を描くという本来の形ではなく、性の部分のみにフォーカスして書くということに "挑戦?" してみたというようなテスト的な感覚も少し覚え、やや滑稽な表現が散見されていたように思う。

  • 女の幸せって何でしょうね…。20代ぐらいで読んだらまた違った感想になるのかもしれないけど、結婚して子供も大きくなり、アラフォーになった今読むと気持ちがざらついて仕方がない。結局、女の不幸せは女がもたらすのか…。
    この年になると母親、妻、嫁、娘…いろんな顔を持っている。そんなことより先に女であることを忘れがちになってしまうけど、いくつになってもそこは忘れたくないのよ、女はみんなきっと。

  • 怖い、怖い、怖い…!
    9ある短編集のほとんどが妄想?だったり死という末路…
    唯一ホロっとしたのは「浅間情話」。
    「スイッチ」の''私は私であり続けることに安堵する''という主人公の強さはいいな、と思った。
    官能というよりホラー、サスペンス的な内容でサラッと読める。

  • 2019.11.1

    女の情欲の結集です。
    短編集で、出てくる女の状況は様々だが
    みんなわがままで、貪欲で、乱れて、淫ら
    性というものの魔力に取りつかれている。
    快楽を書ききるのはなかなかハードながら
    すらすらと読めてしまったよ

  • 快楽・性愛・混沌。激しく怖さもある9つの物語。秘密、いけないとわかっているからこそ燃え上がる関係には読みながらも心を激しく突き動かされた。
    感情の動きや性描写は結構ダイレクトなものであるが、それがこの物語の良さを発揮している。

    直接的な描写によって頭の中に描く物語は一層激しくなり、タイトルにもあるようにまさに「とろける」感覚になってしまった。
    何度も読み返せる感じではないが、読書体験としてはとても興味深く最後まで難なく読み切ってしまった、好きな作品。

  • 『甘やかで底知れない性愛の深みに堕ちていく女達を描く、官能に満ちあふれた九つの物語』
    この紹介文とタイトルの雰囲気から、めくるめく官能の世界、の様なものを想像しましたが
    とろけるような快楽を“知ってしまった女”の物語が多かったです。知らないままでも
    幸せだったが、知ってしまったら、もう以前の自分には戻れない。ある意味怖いです。

    九篇ともなると一話一話が短いので、面白くなってきた所で終わってしまった話もあった。
    官能的な描写も多々ありますが、上品さを保っているように思われ、読みやすい方かと。

  • 淫らな短編。何回も繰り返して読みたい本。唯川恵さんは本作で二度目。100万回の言い訳を見た後だったので、短編にするとここまで凝縮されるのかとびっくり。一気に読んでまた繰り返し読む面白さ。ただ似たような言い回しが何作かに出てきてちょっと?になったので★3つ。

  • 男と女の淫らで恐ろしい短編集。唯川恵さんの本は久しぶりに読んだ。相変わらず都会的でおしゃれなのに、背筋が寒くなる恐ろしさ。恋愛小説なのに、ある意味でホラーでもある。10代の頃に読んだ時より、10年以上経った今読む方がより心に突き刺さる気がする。登場人物と年齢が近く、理解できるポイントが増えたからだろうか。「みんな半分ずつ」の愛人の言葉が怖すぎて忘れられない。

全127件中 1 - 10件を表示

唯川恵の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
村上 春樹
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×