- Amazon.co.jp ・本 (164ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101334813
感想・レビュー・書評
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「不意の償い」くどいまでの自己の描写は三島由紀夫みたいです。火事は金閣寺のオマージュなのかも。
「蛹」は作者自身の私小説ですね。人間も昆虫のように、しかし違ったかたちの変態をする。人間を原初生命体として見た、成長の表現だと思います。母親と作者との半生とこれからの思いを感じました。
「切れた鎖」'母'、'祖母'と時間が度々行ったり来たりするので読みづらいです。性交、女性へのコンプレックスを多分に感じました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
相変わらずクセのある文体。非常に難解だが力強い。
特に「不意の償い」の男の妄想(幻覚?)の描写は凄まじい。この男は発狂したのか、これから何をしてしまうのか、途中で死んでしまうのではないか…読みながら非常に気がかりであった。
「蛹」「切れた鎖」も現代の作家としては抽象性の強い、異色の作品である。 -
蛹がいいなあ。
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孤独で排他。殻に閉じこもっている。永遠の蛹である。底に流れるのは、人間だろうが動物だろうが、父というもの、雄に対する不信感と喪失感。しかるに何故かしらそれを徹底できない。どこまで行っても延々と続く自己弁護と言い訳に言い知れぬもどかしさを感じる。
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三島由紀夫賞作品というので、三島ファンなので
どんなものなのか読んでみた。が、期待ハズレ。
どうして三島由紀夫賞なのだろう???
作品中に美しさが感じられなかったのに…
同書の「不意の償い」も読んでみたが、私には
この作家の作品に出てくる女性が魅力的に感じ
られなく、つまらなかった。 -
『共喰い』があまりにもドロドロまとわりつくような印象だったので覚悟して手に取りました。
読みにくい…。現実と妄想が倒錯してるようで、さらっと読めない(笑)
カフカみたいな短編も入ってるし。難しい。
でも、そういう表現方法ありだな。 -
唐突な言い回しについていけず、すぐ眠たくなる。すると、必ず小説の内容とは無関係な変な夢を見てしまう。何か、深層に訴えるものがあるのか?
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男の本性が丸出しになる表現力は凄い。
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こちらの人生まで負の連鎖に巻き込まれる不安を感じるほど圧倒的な力がある。憎むことで自分の輪郭を捉えてきた人間にとってソレが受け継がれるということは恐怖であっても自分に対する肯定なのだから止めさせることはできないだろう。土地に縛られるということは自分に縛られることとイコールなのだ。