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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784101334844
作品紹介・あらすじ
揃いの国民服に身を包む金髪碧眼の「日本人」に、武力による平和実現の大義を説く黒髪の首相A。母の墓参に帰郷したはずが、「日本国」の違法侵入者として拘束された小説家Tは、主権を奪われた「旧日本人」の居留地に送られる。そこで自分と瓜二つの伝説の救国者Jの再来とみなされたTは、国家転覆を狙うレジスタンス闘争に巻き込まれていく。もう一つの日本に近未来の悪夢を映す問題作。
みんなの感想まとめ
戦争主義と平和主義が交錯する近未来のディストピアを描いたこの作品は、国家と個人の関係、そして「存在」の意味を問いかけます。物語は、拘束された小説家が自らのルーツを探りながら、国家転覆を狙うレジスタンス...
感想・レビュー・書評
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戦争主義的世界的平和主義における民主主義的戦争!
SFの一分野としてのディストピア小説とみるか、政治批判とみるか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
初の田中慎弥。
クセの強い人なんだろうと思っていたら、やっぱりすごかった。
第二次世界大戦後に、アメリカが新たな日本を生み出し、自分たちがそこに居住したとしたら。
それまでの日本を旧日本と呼び、旧日本人に対して居住区を設け、行動に制限をかけたとしたら。
解説で触れられているように、「強国」はその意味で善なる統治を施行することに、疑問を抱かないものである。
恐ろしい小説と思っていながら、身近な所で『宰相A』の世界は存在するように思う。
小さな世界の我々が決めたことこそが、ルールであり、正義であるのだと。
その「普遍」に逆らうものを屈服させる悦びを、純粋に引き継ぎの少女は知る。
母の墓はどこにあるのか。
あって欲しいのか。あるはずがないのか。
自分はどこに還ってゆけるのか。
そして、ここはどこなのか。
つまり、自分は誰であったのだろう。
自身に流れるルーツなど、ある日唐突に何の証でもなくなるんだなと知った。
ディストピア小説って終わりは救いがなくて、いつも滅入る。 -
ディストピア小説と言えばディストピア小説とも言えるが、「作家」とか「よみもの」の存在意義を問いかけたんじゃないかなぁと思った。
いや、存在意義というより、存在根拠と言うべきか。
風刺と読むより巷間ですでに多くの人に語り尽くされている「芸術で世界を変えれるか」問題へのこの作家なりのアプローチではないやろか。
その答えはこの作品では一見無力的にも読めるが、書くということは過去と未来をしっかりと結びつける重要な役割を果たしていると、ちゃんと作家をアピールしとります。 -
母の墓参りに行くために電車に乗り眠る。駅に到着し目覚めると、知っている「日本」ではなかった。 元々の日本人は旧日本人とし居住区内での生活を強いられている。 宰相Aのセリフは、現首相で脳内再生余裕。 架空の世界だけど、現代の日本にもシンクロするような部分も感じる。 最初は読みづらさを感じたけど、読んでくうちに慣れたな。 揃いの同じ緑色の制服を常に着るとかさ。産まれたときから他に何の情報も知らなければ、違和感も感じずにそれが当たり前なんだよな。 戦争主義的世界的平和主義とかリアルAも考えてそうで怖い。
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読みづらい。「神様のいない日本シリーズ」とかそんなことなかったのに。終盤濡れ場(?)とそれ以降のドタバタは筒井康隆っぽさもあっておもしろかってんけど、そこまでの文章がなかなか入って来なかった。
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『図書準備室』以来、田中作品二作目。電車を降りたらもう一つの“日本国”に着いた場面が、川端康成の『雪国』の冒頭に何処か似ていると感じた。のちに、本作中に川端康成について多少言及されていて「嗚呼…」と、予感していたのかなぁと思った次第。星三つ半。
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嫌いじゃない。田中慎弥はきっと常々自意識の塊と向き合っているのだろう。そうでないとこんな文章は書けない。命削りながら書いてるのがよくわかる。
内容に関しては、解釈しながら読もうとしたけれど要素が多すぎて途中で諦めた。即ちよく分からなかったが、恐ろしく勇気のこもった本であることは理解した。著者が裸一貫で国家という巨大なシステムに立ち向かっている。
将来、日本の国家統制が強まることがあれば早い段階で禁書扱いになりそうなレベルの内容である。 -
こういうのディストピア小説というらしい。何とか最後まで読んでみたけど結局消化不良、理解不能。やっぱりこういうジャンル無理なんだな。
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ディストピア物。独白スタイルはアレナスの『襲撃』を思い出させる。なかなかの良作。
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太平洋戦争後に米国人が居抜きし日本で「日本人」として振る舞い、日本人が「旧日本人」とされ居留地に閉じ込められている並行世界に、作家である主人公Tが飛ばされる。旧日本人は誇りや人種、同胞という概念が好きだけど、それ自体というよりもそこに守ってもらおうとする卑屈な愛国心を持っている。
そのために、旧日本人の宰相A(作者は安部総理と名言する)の如く一見無害な人間を戴いて安心し、その実Aは真の支配者にコントロールされている。ただ拒否するという主人公の態度は、消極的で、うざったい反面、狂い咲く集団に抵抗するためには有効な手段かも知れない。
ただ、文章が読み辛くてしんどかった。とりわけ句点でつらつらと長い主人公の語り口はあまりにも苦痛。 -
揃いの国民服に身を包む金髪碧眼の「日本人」が支配する「日本国」に黒髪に日本語を話す「旧日本人」の小説家Tが違法侵入者と扱われる。国家転覆を狙うレジスタンス闘争に巻き込まれていく。これは来るべき日本なのか?フィクションとして読むほど能天気ではいられない。
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