ちぎれた夜の奥底で (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101335438

作品紹介・あらすじ

業績悪化に苦しむ損保代理店課長の田口(42)は、法人契約をまとめた部下の千咲(32)と寝てしまう。彼女には社内結婚した年下の夫がいた。危ういダブル不倫は爛れてゆく。深夜のオフィスや屋上での交接、ウリセンボーイとの乱交。その度に千咲の知的な美貌は羞恥に歪んだ。刹那の快楽こそが救いだった。だが快感に溺れ切った田口の心は、やがてちぎれていく……。官能ノワール長編。

感想・レビュー・書評

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  •  草凪優の官能小説はライトなエロ小説とは一線を画する。同様な小説家として花房観音が挙げられる。小説をしっかり読ませた後、何かしら考え深い思いをさせられるわけだ。ただただやってるってだけじゃない(笑

  • ネタバレ 2014年刊。まさに現代の中年・中間管理職の閉塞感を顕わにした小説。仕事のノルマ主義(≒成果主義)が職業人を圧迫してきたのは平成期に限らないが、さらに家庭でも夫、父としての「適切」な役割を期待され、強要され、この役割を演じなければならない家庭も逃げ場ではなくなっている。どこにもあるはずのない逃げ場を求める心性を痛く描写するのが本書である。勿論、官能小説なので「寝る」描写がてんこ盛りで、夫の「逃げ場」も不倫(かつ、愛人も夫持ち)なのは読み手を選ぶだろう。が、夫の身勝手さのツケか、彼の魅力の無さか。
    その理由は不明だが、妻も他の若い男と不倫関係にある。しかも、妻・夫の何れが先に不倫したのか明確にせず、互いの善悪が相対化されているのだ。現実には不倫に至るケースは多くなく、閉塞感を誤魔化しながら生活しているのだろう。となれば、不倫の部分をファンタジーと解釈した上で本書を読破した後、何とも時代を切り取った感を感じたのはそれなりの理由があるのかもしれない。ともあれ、著者、こんな作風だったんだと意外の念。

  • 2014.1.22

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