トラウマの国ニッポン (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101335537

感想・レビュー・書評

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  • トラウマを求めてさまよう現代日本人の事情に肉薄した力作、というか脱力作。
    この人の力の抜けた途方にくれたような文体が好きです。そして現場の人々への目線の近さ。近すぎて、小学生に「おっちゃん何しとんの」と逆取材されてしまう始末。この本のテーマは様々ですが、この子供にインタビューする章が一番好き。
    職場でまわってくる新聞に「小学生に将来の夢を訊きました」ランキングみたいなのが毎年載せられているのですが、いつもわかりやすい職業ばかりで、ほんとにこれってそうなんかな、といつも思う。そんな私には、彼が誠実に小学生に訊いた結果、「訊かれれば訊かれるほど夢がなくなっていく」という子供の回答ってすごくリアルだと思う。
    そして子供の疲れっぷり(「朝起きたときから疲れてる」「夕方、水戸黄門見ながらおじいちゃんに足揉んでもらう時間が最高」「お風呂ちょー癒される」)などのコメントに、親近感を抱く、けど、君ら今からそんなに疲れてて今からン十年後にはどうするんだい、という気にもなる。しかし、私より年上でこれだけ子供の素直なコメントを引き出すとは、やっぱりこの人のルポは面白い。

著者プロフィール

ノンフィクション作家。1961年、横浜市生まれ。東京外国語大学モンゴル語学科卒。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家に。開成高校野球部の奮闘を描いた近著『弱くても勝てます』がベストセラーに。
『ご先祖様はどちら様』で小林秀雄賞受賞。

「2015年 『損したくないニッポン人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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