異端の大義〈下〉 (新潮文庫)

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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (500ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101335735

感想・レビュー・書評

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  • (上下巻合わせてのレビューです。)

    まだ1月ですが、今年読んだ小説№1に決定!
    久々に骨太で面白い長編経済小説を読んだ。
    やっぱり楡周平さんは間違いない。

    モデルは三洋電機。
    バブル崩壊後の不況の中、シリコンバレーから帰還した主人公は、
    同期の取締役から疎まれ工場閉鎖の任務に就く、、というのが前半。

    今週、寝る間も惜しんで読んでいたせいで、
    仕事中すこぶる眠かった。。
    この苦痛から開放されると思うと少しばかり嬉しい限りです。

    楡さんには、個人的に「現代版・山崎豊子」の称号を送ります。

  • 道を閉ざされても自らこじ開けるサラリーマン

  • 山崎豊子の「沈まぬ太陽」に比べるとやや軽い感じもしたが、十分に楽しめた。上巻を読んでいるときに、湯下のやり方もサラリーマンとしては間違ってはいないような気がして、むしろそれが正しいような気もしていたが、まあ、最後は妥当な結末だろう。中国に対する見方も含め、企業には市場調査セクションよりも小説家を一人雇ったほうがより市場や顧客を知り、よい戦略につながるのではないか。(それは調査を生業にしたときからずっと思っていることだが)

  • 岩手工場の閉鎖業務に送り込まれた高見

    しかし、現場の写真と組合とひざを突き合わせ話をし、理解を得ながら、工場へ伊勢業務を

    確実にこなしていく。

    そんな中、工場の従業員が自殺をする、その対応も上層部は保身に走り、高見は、今まで全く経験もない

    営業の子会社に左遷される高見、湯下は高見を退職に追いやろうと画策する。


    そんな中、父の病気は悪化し、ついにこの世を去ることになる。

    この時期と合わせて、入社以来勤め上げた会社を去ることを決意

    そんな中、アメリカでひょんなことで出会った、ジョン・ノーマンと展示会で再開する。

    そこで、ジョン・ノーマンの会社、カイザー社への転職が決まり、単身、北京へ。


    日本では東洋電機産業は莫大な赤字を抱え、再建が待ったなしの状況になる。

    日本市場がほしいカイザー社と、東洋のメインバンクは、

    東洋の再建のため、カイザー社の成長のため、あるプロジェクトを始動する。

    東洋の行く末は、高見は・・・

  • 三洋電機をモチーフにしたビジネス小説
    残念ながら、上下巻あわせてちょっといまいち。
    しかし、下巻は盛り上がります。

    主人公はさらに門外漢の営業へ!厳しい人事です。
    そして、結局は転職を決意しますが、MBAを持っていながら転職が難しい!!
    これは、正直びっくり。

    本書の中では、会社の危機がわかっていながらも転職しなかった決断力の甘さが指摘されています。
    そして、会社に甘えていた姿勢が糾弾されています。
    なるほどと思いました。

    さらに、そもそも会社の従業員、役員たちの会社に対する甘えが会社を傾ける原因になっていること。
    また、会社は人で成り立っていることをおざなりにしていること。
    そういったことを警告する物語となっています。
    自分たちはどうなのか?考えさせられます。

    日本企業に警告を鳴らしている感じです。

    主人公は、結局は転職し中国で働き始め、最終的には元会社の建て直しに携わることに。
    この辺はいかにもって感じですね。

    ということで、下巻はかなり動きがあって面白いですし、メッセージ性もあり、楡さんの本領発揮なところが多いです。
    ただ、上下巻ということでは、ちょっと期待値をしたまわります。
    小説というより警告として読むべき本なのでしょう。

  • 後半になればなるほど
    読ませてくれますね!!
    深いですわ~

    日本独特の企業にありがちな嫌~なところを
    見事に取り上げつつ

    いつ、企業が廃退していくか
    いつ何があるかわからないぜ~と
    感じさせます。
    仕事、組織、人間関係と難しいんですが・・・
    よく書かれた企業経済小説だと思います。

    立場が違えど
    いろいろと考える視点から取り組むことも違うのはわかるんですが
    この小説では、昭和の復興した日本を
    昔の良い部分と悪い部分の日本
    今(現在)の再生にかけた日本の企業のありかたとは。

    ちょっと文章が長い感じはしますが
    太い経済小説でした

    GOOD!

    モデルのSANYOは気になるのは当然ですけど
    松下電器(パナソニック)
    頑張って行きましょう!!

  • バブル絶頂期日の丸半導体として世界を席巻した日本企業。僅か10年でコスト競争に晒され厳しい生き残り競争を強いられる。時代背景は90年代。国際競争力が弱くなった日本企業の問題点及び強いメッセージを作者の深い洞察力によって小説に託す。主人公は大手家電メーカーに勤める海外帰任者。リストラと企業再生。時代に翻弄され正義感溢れる主人公が邁進した先は−−。テーマは企業の現地化に伴う生産拠点の海外シフトと国内製造及び経済の空洞化に伴うジレンマ。現在の日本企業の苦悩を予告したかのような作品。小説同様日本企業の再生に貢献したいものだ。そういえば「孫正義の二乗の法則」に記述されていた結果を出す為の組織のあるべき姿がほぼ等価。相変わらず唸るアイデア。脱帽です☆彡

  • 高見が 転職を図ろうとする。
    経歴も 実績も 十分であるが・・・・
    『会社が 危機に陥いろうとしているときに なぜ転職しなかったのか?』
    という 質問が浴びせられる。

    そして、 経営者の側に立つとしたら
    『判断力がない』と ヘッドハンティングの会社の担当者から指摘される。
    経営の資質に あげられるのは 判断力である。

    確かに理由はあった。
    父親が がんで 死期が迫っていた。
    岩手の工場の リストラによって 再雇用が決まっていなかった。
    日本では 通用しない理由かもしれない。

    結局は 会社に甘えていたと 反省する。
    湯下は 権限は 自分の届く 範囲内で 行使をする。
    なぜ 不毛な取締役を 首にしなかったのか?
    物言いをしなかったのか?

    早期退職 優遇制度 指名解雇
    そのなかで 優秀な人材が 去っていった。
    それも 40歳台の働き盛りが・・・。
    そこで 会社は コストダウンができたが 
    結局は 業績を回復することができなかった。
    なぜなのだろうか?

    社員は 家族。そのために 滅私奉公せよ。
    翁はいうが・・・
    会社は 裏切るばかりだった。

  • 会社に対する甘え。
    きっと誰かが何とかしてくれる。
    従業員の全てが与えられた任務を全うしない組織は必ずや滅びる。
    企業は人なり。
    この言葉を胸に刻もう。

  • 痛快!

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著者プロフィール

1957年生まれ。米国系企業に勤務中の96年、30万部を超えるベストセラーになった『Cの福音』で衝撃のデビューを飾る。翌年から作家業に専念、日本の地方創生の在り方を描き、政財界に多大な影響を及ぼした『プラチナタウン』をはじめ、経済小説、法廷ミステリーなど、綿密な取材に基づく作品で読者を魅了し続ける。著書に『介護退職』『国士』『和僑』『食王』(以上、祥伝社刊)他多数。

「2023年 『日本ゲートウェイ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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