グレート生活アドベンチャー (新潮文庫)

  • 新潮社 (2010年8月30日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784101336312

みんなの感想まとめ

テーマは、魔王を倒すという壮大な冒険と、主人公の内面に潜む葛藤です。主人公は最強の力を持ちながらも、果たして魔王を倒すことが本当に正しいのか、自問自答を繰り返します。このようなユーモラスな視点から、ダ...

感想・レビュー・書評

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  • 「グレート生活アドベンチャー」芥川賞候補。
    ヒモ男の独特な着眼点やユーモラスな思考のスタイルを楽しむものか。
    とはいえ王道RPGへの視点、恋人の内面を想像はできても思いやりには欠けるところなど、わざと独特に描こうとしているのにどうも凡庸にも思える。
    ネットで「テキストサイトやブログ記事なら楽しめるのに」と書いているのを読み同感。
    例えば初期本谷有希子も奇矯な語り手を設定していたが、あちらは小説として良いのに、こちらは小説としてはどうも薄味。
    無理してる感があるというのか。
    妹がらみの思いも、舞城王太郎の抒情性には到底かなわない。

    「ゆっくり消える。記憶の幽霊」
    崖から飛び降りる女の走馬燈が長く続いたら、というワンシチュエーションもの。
    男性作家が女性を語り手に据えたときの気持ち悪さ残念さが微妙に拭えない。

    と、どちらにも乗り切れなかったが、こまかーい描写や美味しい部分は、ある。
    たとえば「グレート」ではシンクにパスタを一本ずつ置いていくところとか。
    「ゆっくり」では恋人と喧嘩していても、スルメを渡す動作だけは変わらない、とか。

    非生産的生活に共感できる、とか、自分の世代なら共感できる、とかいう共感ベースでは、残念ながら評価しづらいが、
    それ以外の描写やモチーフの使い方で、時代を超えられそうな芽はある、という程度。

    ところで福満しげゆき先生のカバーイラスト、かなりいい。

  • 現実を絶対に直視しないという楽観的恒常性をみにつけた主人公が、それを剥がされそうになるが、やっぱり恒常性を取り戻すという薄ら怖くもなる奇妙なハッピーエンド。未来は何色と聞かれて「水色?」と答えるような気楽な日常の下の決して表面化しないどす重さのどす重さ。
    かなり共感。パスタのシーンは震えた。

  • 僕は最強で、
    僕はお金持ちで、
    最強の仲間もいて、
    伝説の武器も持ってるし、

    あとは魔王を倒すだけ。

    でも、
    どうしよう。

    このまま倒していいのか。

    魔王は、退屈ぢゃないのか。
    魔王は、今何を思っているだろう。


    30歳、ヒモ生活。
    加奈子の家に転がり込んでみたり。

    とっても軽く読めますし、
    ダメ男っぷりもいいですし、
    電車の中で読んでたら笑っちゃいました。苦笑

    どこかに区切りなんてあるんだろうか。

    表題作と、
    「ゆっくり消える。記憶の幽霊」
    という作品が収録されています。

    こちらも、
    ゆるーい美人な女性が
    いい味出してます。

    どうにかして、
    この世から自然に消えてしまいたい。

    ワサビソフトを片手に
    自殺を考える美人女性。

    崖から落ちている間の、
    記憶の走馬灯が
    ダダダー!っと描かれています。

    私の8コ上の前田さん。
    素敵な人です。

  • 前田司郎さんも前から気になっていたけど福満ファンだから表紙に惹かれて買った。

    表題作と「ゆっくり消える。記憶の幽霊」の二作入り。

    RPGやりながら社会について考えちゃうあたり自分みたいでちょっと脱力した。

  • 「年収0円の僕に木の棒でたたかれて、魔王は惨めだっただろう」というところに笑った。

  • 「グレート生活アドベンチャー」★★
    「ゆっくり消える。記憶の幽霊」★★★

  • 軽く読むのに良い。主人公の視点が面白い。最後のザワザワ感が余韻をひく。

  • 解説:福満しげゆき
    グレート生活アドベンチャー◆ゆっくり消える。記憶の幽霊

  • 30歳でヒモ暮らしだけど大丈夫。
    不安はない、根拠もないけど。

  • この生温く足腰立たなくなってゆくかんじ

  • 久々の小説。だらだらとしたニートの内面と、死に近づいていく女の滑稽な独白。どこか演劇的だ。

  • アドベンチャー、冒険。冒険って、どこか旅に出て危険な目に遭ったり人に会ったりして己が成長していくことでは?と思っていたけど、確かに家の中にいても危険な目に遭ったり恋人の知らない一面を発見したりで、これも「冒険」だなぁと思った。緊迫感はないけど。

  • 【グレート生活アドベンチャー】
    『さすがに向かってくる生き物たちはかなりの強敵ではあったが、僕たちにしたら悪いけどせいぜいカブト虫のメスくらいの強さである。』

    『僕の血筋の者でチャーハンにピーマンを入れる者はいない。』

    『チャーハンにピーマンはあわないと思う。だってピラフと見分けがつかない。』

    『そもそもウチの実家のキッチンは、ただのKでDKではないのだ。KでDするのは、Kにたいしての侮辱だ。KはKのみするところなのだ。』

    『リス園はリスがいるだけで、確かにリスの園としての役目は充分果たしているが、リスのための園であって人間にとっては他人様の園に入っていく心苦しさしか感じられないのかもね。』

    『最近加奈子があまり口をきいてくれない。まずいと思ったので昨日の残りでチャーハンを作ったがお腹が減って全部食べてしまった。後片付けを加奈子にやってもらう。』

    『喪が日常になってしまった。皮膚が喪服なの。』

    『実際はそんなに海苔弁な好きと言うわけではない。オカズとライスのパワーバランスをあんまり考えないでいいから何も考えずに食べられるというだけで、味としてはただの醤油をかけた海苔とご飯だし、そんなに絶賛するほどの食べ物ではない。』

    『けんのんけんのんって言うじゃん』
    『誰が? いつ?』
    『おばあちゃんが、危機に瀕したとき』
    『危機に瀕してるおばあちゃん見たことないもん』
    『マジで? じゃあ想像してみてよ』
    『かなり無残なことになってるよ』
    『けんのんけんのんって言ってない』
    『それどころじゃないみたいだよ』

    『魔王よ、お前は今どんな気持ちで僕と戦っているのだ? 僕は30歳で無職の男だぞ。年収は限りなく0に近い男だぞ。収入のほとんどは「¥」でなく「G」だし、ほぼ寝たきりと言っても過言ではない生活だぞ。お前はそんな男に木の棒で打たれ、今死のうとしているのだ。』

    【ゆっくり消える。記憶の幽霊】
    『つまりわたしは女だから、最近腐っちゃったのだろう。そりゃ、30年もすれば大抵の物は腐るよね。缶詰だって腐るんじゃない? そんなに置いておいたら。』

    『あなたにはわからない。わかったとしても、本当にわかったかどうかは、どうやったって、言葉をどれだけ重ねたって、確かめようがないの。』

    『一言に尻と言ってもよくよく観察していくと意外と複雑な要素を持っていて、もし視力を失ったとしても、相手の尻を触ることで個人の識別は可能なのではないか、テクノロジーの進歩に伴って、本人認証のシステムは指紋から瞳へ、そして尻へと進んでいくのではないか。』

    『スーパーボールはボールを超越したゴム製のボールでどこら辺を超越してるかと言うと、一般のボールより跳ねる。』

    『それなりに幸福でそれなりに不幸に生きていた。』

    『わたしは愛を疑った。そしたら愛が死んじゃった。もう生き返らない。愛が死んでから世界が一変した。全ては色を失い、感触を失った。』

    『本格的にわたしは気絶狙いに出たのだがなかなか集中して気絶出来ない。目が冴えてしまう。気絶のことだけ、考えよう。気絶に向かって集中しよう。リラックス、リラックス。』

    『完全につながりを断ったと思ったとき、それは全裸で世界と対峙したみたいな気持ちだった。全裸で世界と対峙したことなんて無いくせに。と思うかもしれないけど、わたしはある。だって、「生まれる」っていうことはそういうことだ。』

    『だって愛が二つも三つもあるなんて、自分が2人も3人もいるみたいで、とても我慢できない。』

  • 死ぬ前になると一瞬で、全てが見える。
    なんかありそうでなさそうで、ありそう。

  • 何かしら人として重要な部分がずれた人の、散漫な思考回路を無駄に丁寧に追う2作品。アシッド感を抜いた町田康みたいな風情。

    文体がおもしろブログの長文エントリーみたいな軽さで、おもしろいんだけど、大概読後になにも残らないのが残念。魔王がらみのくだりは好き。

  • 雰囲気のあるハードカバーで読んだのに画像ないみたいで残念。
    私小説ってこういうのを言うのかな。現代の若者にいそうでなんとなく怖い。

  • 30歳ダメダメ男が彼女の家で引きこもりながら自分探しをする表題作「グレート生活アドベンチャー」と崖から飛び降り自殺をする女の着水までの不思議な作品「ゆっくり消える。記憶の幽霊」の2編からなる。

    短編なのでさっくりと読めるが内容は、うーんでした。

  • オモシロい。だが長い。
    200ページもない話で2編入っているので、決して『長い』話ではないんだけど、だらだらと長い。
    一文一文がどうでもいいことをこねくり回すので長く感じる。
    小説じゃなくブログならば、お気に入りに入れてチェックするなぁーというレベル。

  • なんと不真面目なやつ。自分の将来に深刻になれないと、無意識の不安がおかしな行動となって表にあわられるのですね、不気味だ。町田康『夫婦茶碗』西村賢太『暗渠の宿』とあわせて新潮文庫ヒモニート小説(厳密には違うけど)三本柱としたい

  • 主人公の彼の生活にはなんにもないんだけど、なんだかそれがすごく切実に思えた。

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著者プロフィール

1977年生まれ。劇作家、演出家、俳優、小説家。和光大学人文学部文学科在学中に劇団「五反田団」を旗揚げ。2005年『愛でもない青春でもない旅立たない』(講談社)で小説家デビュー。同作が野間文芸新人賞候補となる。2006年、『恋愛の解体と北区の滅亡』(講談社)が野間文芸新人賞、三島由紀夫賞候補、2007年、『グレート生活アドベンチャー』(新潮社)が芥川賞候補に。2008年には、戯曲「生きてるものはいないのか」で岸田國士戯曲賞受賞。同年、『誰かが手を、握っているような気がしてならない』(講談社)で三島由紀夫賞候補。『夏の水の半魚人』(扶桑社)で第22回三島賞。その他の著書に、『逆に14歳』(新潮社)などがある。

「2011年 『小説家の饒舌 12のトーク・セッション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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