グレート生活アドベンチャー (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101336312

感想・レビュー・書評

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  • 「グレート生活アドベンチャー」芥川賞候補。
    ヒモ男の独特な着眼点やユーモラスな思考のスタイルを楽しむものか。
    とはいえ王道RPGへの視点、恋人の内面を想像はできても思いやりには欠けるところなど、わざと独特に描こうとしているのにどうも凡庸にも思える。
    ネットで「テキストサイトやブログ記事なら楽しめるのに」と書いているのを読み同感。
    例えば初期本谷有希子も奇矯な語り手を設定していたが、あちらは小説として良いのに、こちらは小説としてはどうも薄味。
    無理してる感があるというのか。
    妹がらみの思いも、舞城王太郎の抒情性には到底かなわない。

    「ゆっくり消える。記憶の幽霊」
    崖から飛び降りる女の走馬燈が長く続いたら、というワンシチュエーションもの。
    男性作家が女性を語り手に据えたときの気持ち悪さ残念さが微妙に拭えない。

    と、どちらにも乗り切れなかったが、こまかーい描写や美味しい部分は、ある。
    たとえば「グレート」ではシンクにパスタを一本ずつ置いていくところとか。
    「ゆっくり」では恋人と喧嘩していても、スルメを渡す動作だけは変わらない、とか。

    非生産的生活に共感できる、とか、自分の世代なら共感できる、とかいう共感ベースでは、残念ながら評価しづらいが、
    それ以外の描写やモチーフの使い方で、時代を超えられそうな芽はある、という程度。

    ところで福満しげゆき先生のカバーイラスト、かなりいい。

  • 現実を絶対に直視しないという楽観的恒常性をみにつけた主人公が、それを剥がされそうになるが、やっぱり恒常性を取り戻すという薄ら怖くもなる奇妙なハッピーエンド。未来は何色と聞かれて「水色?」と答えるような気楽な日常の下の決して表面化しないどす重さのどす重さ。
    かなり共感。パスタのシーンは震えた。

  • 僕は最強で、
    僕はお金持ちで、
    最強の仲間もいて、
    伝説の武器も持ってるし、

    あとは魔王を倒すだけ。

    でも、
    どうしよう。

    このまま倒していいのか。

    魔王は、退屈ぢゃないのか。
    魔王は、今何を思っているだろう。


    30歳、ヒモ生活。
    加奈子の家に転がり込んでみたり。

    とっても軽く読めますし、
    ダメ男っぷりもいいですし、
    電車の中で読んでたら笑っちゃいました。苦笑

    どこかに区切りなんてあるんだろうか。

    表題作と、
    「ゆっくり消える。記憶の幽霊」
    という作品が収録されています。

    こちらも、
    ゆるーい美人な女性が
    いい味出してます。

    どうにかして、
    この世から自然に消えてしまいたい。

    ワサビソフトを片手に
    自殺を考える美人女性。

    崖から落ちている間の、
    記憶の走馬灯が
    ダダダー!っと描かれています。

    私の8コ上の前田さん。
    素敵な人です。

  • 前田司郎さんも前から気になっていたけど福満ファンだから表紙に惹かれて買った。

    表題作と「ゆっくり消える。記憶の幽霊」の二作入り。

    RPGやりながら社会について考えちゃうあたり自分みたいでちょっと脱力した。

  • 「年収0円の僕に木の棒でたたかれて、魔王は惨めだっただろう」というところに笑った。

  • 「グレート生活アドベンチャー」★★
    「ゆっくり消える。記憶の幽霊」★★★

  • 軽く読むのに良い。主人公の視点が面白い。最後のザワザワ感が余韻をひく。

  • 解説:福満しげゆき
    グレート生活アドベンチャー◆ゆっくり消える。記憶の幽霊

  • 30歳でヒモ暮らしだけど大丈夫。
    不安はない、根拠もないけど。

  • この生温く足腰立たなくなってゆくかんじ

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著者プロフィール

1977年生まれ。劇作家、演出家、俳優、小説家。和光大学人文学部文学科在学中に劇団「五反田団」を旗揚げ。2005年『愛でもない青春でもない旅立たない』(講談社)で小説家デビュー。同作が野間文芸新人賞候補となる。2006年、『恋愛の解体と北区の滅亡』(講談社)が野間文芸新人賞、三島由紀夫賞候補、2007年、『グレート生活アドベンチャー』(新潮社)が芥川賞候補に。2008年には、戯曲「生きてるものはいないのか」で岸田國士戯曲賞受賞。同年、『誰かが手を、握っているような気がしてならない』(講談社)で三島由紀夫賞候補。『夏の水の半魚人』(扶桑社)で第22回三島賞。その他の著書に、『逆に14歳』(新潮社)などがある。

「2011年 『小説家の饒舌 12のトーク・セッション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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