九月が永遠に続けば (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (495ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101338514

作品紹介・あらすじ

高校生の一人息子の失踪にはじまり、佐知子の周囲で次々と不幸が起こる。愛人の事故死、別れた夫・雄一郎の娘の自殺。息子の行方を必死に探すうちに見え隠れしてきた、雄一郎とその後妻の忌まわしい過去が、佐知子の恐怖を増幅する。悪夢のような時間の果てに、出口はあるのか-。人の心の底まで続く深い闇、その暗さと異様な美しさをあらわに描いて読書界を震撼させたサスペンス長編。

感想・レビュー・書評

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  • 息子の失踪から始まり…とあるが、まぁ、これだけでは警察は動いてくれんか…
    しかし、徐々に色々分かってくる。
    息子と父親、更にその娘、更に娘の男友達などなど…更に更に、色々絡み合って複雑怪奇〜
    まぁ、要はドロドロって感じやな。
    そんな、身内ばっかりで、色んな関係あると、もう麻痺してしまいそう…
    死に関しては、またまた、どんでん返し的な…
    タイトル通り、時が止まって欲しそうな気になる。
    もう起こった事は、仕方ないから、前向いて行こう!レベルではないし…
    この人ら、これから普通の生活はムリ!
    謎は解かれても、しんど〜っ感じ。
    先が気になって、一気読んだから、面白いんやろうけど、あと味は…

    しかし、こんな中にあって、関西弁のおっちゃんは異色!でも、関西人は何も考えんと軽るっ!と思わせるのは、ちと失礼では?と憤慨しながら、作者の出身地見ると大阪府…この話の中の唯一の清涼飲料水的な役割なの?
    確かに、最後、救われてそうな感じやけど、でも、何か、ちょっと、作者の親近感かもしれんけど、何か嫌や。

  • 読み進めていくと、段々と泥沼に足を踏み入れてしまったような不快感が現れてくる。小説としての技巧の上手さや哲学的な深い物の見方は感じる。でもこの手のお話は好まない。登場する服部さん親子の存在が救い。

  • サスペンスホラーと言うことで、怖いのが苦手な私はちょっと構えて読んでたんですが、幽霊系ではなくてほっとしました(笑)面白かったです。まぁ、ちょっと異常な登場人物が多いだけに読んでて気持ちのいい内容ではなかったし、もう1度読もうって気にはならないけど。ページを捲る手が止まらなかったのは久しぶり。息子の失踪に愛人の死…。緊張感漂う世界の中で、時々出てくる服部のおじさんが私の中で唯一の救いでした。なので終わり方がすごく好きです。

  • まさかこの本、不倫のお話?と思いきや、息子が行方不明になるわ元夫の奥さんの過去の話しとその娘の現状、その彼氏といろいろなことが次から次へと気になることばかりが出てきて一気に読めた作品でした。
    途中嫌な描写もあったので気持ち悪いのと怖いのもありました。
    最後が少し分からない感じで終わったので私的にうぅ〜んって感じでした(^_^;)

  • 記録

  • このブグログに感想を書き始めて何ヶ月かが経ったと思う。以前感想を書いていたブログに比べるとブグログは桁違いに参加者の多いブログで、以前のブログでは誰も感想を書いていない本によく行き当たったけれども、このブログではまずそういうことはない。
    参加者も多いから感想の登録も多く、自分の評価や感想との共通性や違い等も、時々チェックして、それはそれで面白い。

    この「九月が永遠に続けば」というのは、このブログでの評価と自分の評価が大きく違った本だ。
    評価と言っても、僕は別に書評家でもないので、小説としての「出来栄え」を評価するわけではなく、自分が面白く読めたかどうか、だけが唯一の評価基準なわけであるが。
    僕自身は、今年読んだ本の中でも最高に面白かった本の中の一冊に入れられる。生々しくて不気味なストーリーと、新人なのに熟練と思える文章力で、ほとんど一気に読んでしまった。
    が、このブログに登録された評価を見てみると、あまり評価が高くないのですね、この本は。
    読書というのは、自分が楽しむために行う、極めて個人的な行為なので、自分が面白いと思った本に対する他人の評価は別に気にもならないのだけれども、人の好みや感想というのはそれぞれで、それはそれで、読んでいて、結構、面白かった。

    僕的には是非お勧めの本なのだけれども、この本を読んで面白いと思う人は少ないですよ、とは言っておきます。

    • 薔薇★魑魅魍魎さん
      いつも拝見しています。洪水も影響なくお元気なご様子、安堵しました。私は、人が何と言おうと自分の評価しか信じない性分で困ってしまいますが、エー...
      いつも拝見しています。洪水も影響なくお元気なご様子、安堵しました。私は、人が何と言おうと自分の評価しか信じない性分で困ってしまいますが、エールを送ります。
      2011/11/05
  • 取り返しがつかないほど恐ろしいことが、身の回りで起こってしまったら。
    そしてそれが自分の過失によるものではなく、原因も分からないままにただ立ち尽くすことしかできないとしたら。
    後悔する理由も見当たらず、眠れない夜に何度も寝返りを打ちながら思うかもしれない。あのときの報いを今、こういう形で受けているのではないだろうかと。

    高校生の息子が突然姿を消してしまう。すぐ近くのゴミ捨て場に行った息子は、寒い夜に軽装で、サンダルで、財布も持たずにいなくなってしまった。
    文彦の母である佐知子の胸にまず最初に訪れたのは、信じられないという気持ちだ。何がなんだかよく分からない。それから不安。追いかけるように焦りがやってきて、やがて諦めと絶望に飲み込まれてしまう。
    文彦は自らの意思でいなくなったのだろうか。でもそれだったら、もっとちがうタイミングでもいいような気がする。誰かに拉致されたのか。誘拐なら犯人からなんらかの接触があるはずだ。怨恨によるものだったら、もしかしたらもう文彦は。。。
    佐知子の気持ちが痛いほど伝わってくる。食事のシーンや雨のシーンなどに絡めた表現力が見事だと思った。近所に住んでいる服部という男の存在も、善い人なのかそうでないのか、どっちつかずで引っ張り続けるところも上手いなと思った。

    ホラーだとは知らずに読み始め、読み終わった今でもこれはホラーなのだろうかと迷っている。できれば詳しいあらすじなどは読まずに、佐知子の身に起こることを驚きと共に読んだほうがいい。
    佐知子の別れた夫の雄一郎、雄一郎が再婚した亜沙実、亜沙実の娘の冬子、それ以外にも様々な人間が徐々に姿を見せ始め、やがて思いもよらない真実に辿り着く。途中、不快になる描写もあったが、わたしはとてもこの本に満足している。

    『九月が永遠に続けば』とは、なんて悲しい願いなんだろう。
    自分の幸せを望めば、誰かが不幸になってしまう。
    ずっとこのままでいたいと思えば、大切な人が壊れてしまう。
    だけど救いのあるラスト(それは僅かなのだけど)だとわたしは理解し、それに少しほっとしたのだ。

  • 高校生の一人息子の、突然の失踪。
    付き合っていた年下の彼の突然の事故死。
    元夫の現在の妻の忌まわしい過去。
     
    佐和子の周囲が、これでもか!というくらい
    複雑に絡み合い、怒濤の数日間が進んでいきます。

    読後感は噂通りでした。
    話自体は途中から面白くなってくるんだけど、
    そもそもが非現実的すぎて…。
    あまりにも共感する部分が少なくて、
    違和感を感じスッキリしませんでした。

  • 魔性的魅力の母娘を愛した男たち。
    登場人物が沢山出てきて、誰もが主人公になれる位、その度合いこそ違うけれど、みな心に闇を抱えています。とりわけ、親が知らない子供たち(想像以上に色々なことを知っていて苦悩している姿)が次第に明るみになる過程は他人ごとではないほど、胸を突かれる思いがしました。題名の真意はそれぞれが「何も知らなかった頃に戻って、自分をリセットできたならば、どんなにか良いだろう」と解釈してみました。作品自体は長編ですが、多面的に色々な角度から楽しめるので惹きこまれるように読めます。只、最後はちょっと呆気ないというか、フェードアウト的な終わり方でした。この著者のほかの作品も興味が湧きました。

  • 息子の失踪から始まった色々なことが繋がっていき佐知子を翻弄していく。自分の行動によって引き起こされてしまったと思い込み息子の行方を必死になって探す。少しづつ過去が分かっていく過程で複雑な人間関係も絡まっていく。ホラーとも思える語り部分があったりで想像力が必要な部分もあり読了してどっと疲れた。デビュー作で話題になった作品のようだけれど自分にはちょっと合わない作風だったかな。

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著者プロフィール

沼田 まほかる(ぬまた まほかる)
1948年、大阪府生まれの小説家。女性。奈良県在住。読んだあとイヤな後味を残すミステリーの名手として、「イヤミスの女王」という称号で語られることもある。
寺の生まれで、大阪文学学校昼間部に学ぶ。結婚して主婦になり、母方祖父の跡継ぎを頼まれ夫がまず住職となるが、離婚を経て自身が僧侶になる。50代で初めて長編を書き、『九月が永遠に続けば』で第5回ホラーサスペンス大賞を受賞、56歳でデビュー。
2012年『ユリゴコロ』で第14回大藪春彦賞を受賞し、2012年本屋大賞にノミネート(6位)。それを機に書店での仕掛け販売を通じて文庫の既刊が売れ出し知名度を上げた。
代表作『ユリゴコロ』は2017年9月23日に吉高由里子主演で映画化。同年10月、『彼女がその名を知らない鳥たち』も蒼井優・阿部サダヲ主演で映画化された。他の代表作に、『九月が永遠に続けば』、『猫鳴り』、『アミダサマ』。

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