こうばしい日々 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.39
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本棚登録 : 4349
レビュー : 319
  • Amazon.co.jp ・本 (177ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101339122

作品紹介・あらすじ

ウィルミントンの町に秋がきて、僕は11歳になった。映画も野球も好きだけど、一番気になるのはガールフレンドのジルのことなんだ…。アメリカ育ちの大介の日常を鮮やかに綴った代表作「こうばしい日々」。結婚した姉のかつてのボーイフレンドに恋するみのりの、甘く切ない恋物語「綿菓子」。大人が失くした純粋な心を教えてくれる、素敵なボーイズ&ガールズを描く中編二編。

感想・レビュー・書評

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  • 主人公が幼い年齢だからか、全体的に気だるいような雰囲気が少なめだったと思う(この著者にしては珍しく、)

    アメリカに住む、少し年の離れた姉を持つダイは、ほんとうにまだ幼い男の子らしくて、どんなに思考をめぐらし物を考えていたって、微笑ましい。

    姉を馬鹿にしているつもりが、それもやはり姉の手のひらの上。でもそのことに気付かず、また気付いても追い越したと勘違いしたり、ああ男の子の感覚だなあと思う。

    日本に住む女の子、みのりはもう少し大人で、現実を全力で走りながら、涙を流さないように必死に歯を食いしばっているような。

    そして現実と、想像とをいい具合に織り交ぜていて心地いい。この心地良さは女の子ならではなんだろうな。

    どちらが良くて悪くて、なんて話ではなく、どちらも気持ちが良い。清潔な布団で、清潔な状態で眠りにつくような、幼い時を思い出すようなそんな2つの話。

    • aida0723さん
      「清潔な布団で、清潔な状態で眠りにつくような」って表現がいいですね。
      「清潔な布団で、清潔な状態で眠りにつくような」って表現がいいですね。
      2019/04/09
    • 百円さん
      @aida0723 ありがとうございます。素直にそう感じたことなのでそう言ってもらえると嬉しいです。
      @aida0723 ありがとうございます。素直にそう感じたことなのでそう言ってもらえると嬉しいです。
      2019/04/09
  • 一つひとつの言葉が繊細で美しくて、ガラス細工みたいで、江國香織さんの本のなかでも大好きな1冊。
    初めてこの本を読んだのは中学生のころだったと思う。思春期が始まりかけた男の子と女の子がそれぞれ主人公となった2篇の物語に、当時の私は、まだまだ幼い友人のことのようにちょっと上から目線で読んでいた気がする。
    大人になって改めて読んで、中学生という誰もが早く大人になりたいとジタバタしていた時代がなんと愛らしく大切なものだったかを知った気がする。親や先生、友達の言動一つひとつにあんなにも正直に受け止め頭をぐちゃぐちゃにしながら懸命に自分の未来をさがしていた。あんなピュアな心を私はいったいどこに置いてきてしまったのだろう。

    この本を読んでほしいのは、登場する食べ物があまりにも魅力的だからだ。大介がパーネルさんに焼いてもらうチョコレートブラウニー、みのりがおばあちゃんと一緒に食べるみつまめや次郎君と一緒に飲むコーヒー。読みながらその味や香りがありありと想像できてしまって物語にいっそう彩をもたらしてくれる。初恋の甘さや、大人になり切れない苦さ、いつまでも変わらない懐かしい味。味覚までも操る江國ワールド、ほんとに好きだ。

  • 図書館ではヤングアダルトのコーナーに置いてありました。良い判断だと思います。主人公たちと同じ10代はじめの頃にこの本に出会えるなんて羨ましいから。ピュアな恋がとっても素敵でした。

  • 短編が2作入った本ですが、表題の「こうばしい日々」よりもだんぜん「綿菓子」の方がお気に入り。2作品とも11歳の子が主人公。
    「こうばしい日々」はダイ(大介)。日本人ではあるものの、アメリカに住み、家庭でも英語で会話し、アメリカ人のように暮らす男の子。英語ベースだからか、文章が「ライ麦畑でつかまえて」っぽい感じ。11歳の男の子ってまだこどもっぽい。
    かたや「綿菓子」のみのりはもっと大人。幼いながらも色んなことを感じ考えている。みのりは中学生まで成長するところまで物語は進む。みのりがお姉ちゃんの元ボーイフレンドの次郎くんに抱いている淡い恋心が切なくピュア。みのりのおばあちゃんの話もうまく絡めていてこれがまた良い。文章もしっとりしていて、江國さんらしい繊細な感じが好き。
    「こうばしい日々」★2つ、「綿菓子」★4つ。

  • 短編が2話「こうばしい日々」と「綿菓子」。

    「こうばしい日々」
    父親の転勤でアメリカで生まれ育った11歳の男の子が主人公。
    表現が11歳の男の子にしては少し違和感のあるところもあるけれど、さほど気にならない。
    ガールフレンドとの絡みも可愛らしい。
    嫌な感じの人がほとんど出てこないのもいい。
    ちょっと意地悪な同級生の男の子が出てくるけど大人になる過程で
    素敵な青年になっていくかもしれないしね。
    なにも終わらない話だなと思った、継続してるような。
    希望につながるようなそんな感じ。
    誰かがいなくなるとか別れるとかそういうのはなく。
    大袈裟な出来事があるわけではなく日常的。
    よくある小さなケンカにちょっとしたレジャー。
    そうして日々は流れていく、未来につながる。
    可愛らしい話だった。

    「綿菓子」
    小学6年生の女の子が主人公。
    1話目は年の離れたお姉ちゃんが3年付き合っていた恋人と別れてお見合い結婚をしてしまう、というところから始まる。まぁ、普通。子供が主人公の話はスムーズに読めるのかなと思ってた。
    2話目、おばあちゃんのお友達が急死してしまう。そのお友達はおじいちゃんの恋人だったという...あれ?れれれ??
    3話目、お父さんとお母さんの小さな約束の話。ほほえましい感じ。
    4話目、お姉ちゃん夫婦と昔の恋人とは顔見知りになっていた。彼のバイト先のスポーツ用品店に夫婦で買い物に行くという。彼はサービスしてくれるという。う~ん、理解できない。
    5話目、両親が離婚して引っ越してしまった小学校の同級生だった女の子からの手紙の返事。
    1話が返事のみで主人公の女の子の視点は一切なし。アクセントとして面白い。
    最終話、主人公の女の子とお姉ちゃんの元恋人との恋の芽生え(?)の話。まったく理解できない。おそらくお姉ちゃんに未練があるのであろう元恋人が主人公の女の子の中にお姉ちゃんの面影を見つけてということだろうけど。おいおいおい!って思ってしまった。
    年齢も何もかもが様々な男女の話が描かれていてそういう意味では面白い。

    江國香織の小説はファンタジーだと思って江國ワールドを楽しむことにしている。
    彼女の文章が織り成す空気感は心地よいから。
    リアルに持ち込もうとすると気になる点が様々ありすぎるのだけれど、著者は意図的にそれをやっているのだろうなぁと思ってしまう。
    女性の感性で書かれた話なので男性が読むとどういう感想なのだろうとも思う。

  • 江國さんの、子どもを子ども扱いしないところ、ばかにしないところが、好き。
    あと、江國さんの文章がやっぱり好き。季節の匂いがする。十月の海や、金色の落ち葉や、夜の空が見える。文章で絵を描くことができるって、すごい。

  • 『こうばしい日々』『綿菓子』の二篇からなる。まだ幼い大介とみのり、それぞれの恋を描く。江國香織の文章が瑞々しい。幼さ故の「真実の愛」を求める真っ直ぐさ、思春期故の複雑さ。
    私は『綿菓子』の方が昔の自分への愛しさも募ってすき。

  • 私は真実の愛に生きよう。そう決めたのだ。みたいな感じのみのりちゃんのセリフがいい。2つ目の綿菓子という作品の中でのセリフ。

  • 「ねえ、ダイ。一つのことを、はじめから知っている人もいるし、途中で気がつく人もいる。最後までわからない人もいるのよ。」

    「あるもん。私は心の中で言った。とってもせつなくて、苦しい恋をしてるもん。夜の中にぼーっとうきあがっているあんずあめの屋台をみながら、私は恋いに生きよう、と思った。」


    江國香織のあたたかさ
    私も恋したいな


    解説は、なんかむかついた

  • ダイのお姉ちゃんは、本当はアメリカが嫌いなのではなくて、アメリカに馴染んで、日本を忘れそうになる自分をきらいだったんじゃないかな

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著者プロフィール

江國 香織(えくに かおり)
1964年、東京生まれの小説家。1986年、児童文学雑誌『飛ぶ教室』に投稿した「桃子」が入選。2004年、『号泣する準備はできていた』 で、第130回直木賞を受賞。他、山本周五郎賞、中央公論文芸賞、川端康成文学賞、谷崎潤一郎賞など受賞歴多数。代表作として、映画化もされた『きらきらひかる』や『冷静と情熱のあいだ』など。女性のみずみずしい感覚を描く作家として、多くの読者を魅了している。また、小説から絵本から童話、エッセイまで幅広く活躍中。翻訳も手がけている。2019年5月2日、2年ぶりの長編小説『彼女たちの場合は』を刊行。

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