ホリー・ガーデン (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101339146

感想・レビュー・書評

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  • 私はこの小説に流れる時間が好き。
    果歩と静枝、2人の生活。

    ずっと果歩のようになりたいと思っていた。
    果歩は大人の女の人に見えた。

    でも気づいたらもう果歩と年が近い。


    私の人生で1番好きな本です。1番繰り返し読んだ本でもある。
    だけど面白いから読んでって人に勧める本じゃない。

    なんだろう、なんて言ったらいいのかな。

    むしろ人には読んで欲しくない。これを読めば私がどんな人か丸裸にされるような気がするから。
    好きな本って内面を映す鏡みたいだなと思う。

    • 大野弘紀さん
      読むこと。知ってしまうこと。その危うさに。触れてしまう。
      読むこと。知ってしまうこと。その危うさに。触れてしまう。
      2019/12/22
  • ジムでプールの帰りにふと、そういえば江國さんの小説にプールに行く女の人の話があったな、と唐突に思い出し再読。読み返してみると、プールにいくという描写そのものは、そこまで強調されているわけではないのに、例えば果歩が料理が上手だとか、数人の男性と刹那的な関係にあるとか、昔の男のエピソードだとか、は忘れていたのに、初読から記憶している部分が、そこ、というのはなんか面白いなと思った。

    2018.7.28

  • この本を読んだあと、ベートーベンを聴きながら、紅茶を飲みたくなりました。
    江國さんの小説に出てくる固有名詞は、何か特別魅力的なものに思えて、雑誌をパラパラめくっているような心地よさを感じます。

  • 時々無性に読みたくなる本。
    多分、私も果歩のように食器を割りたい気持ちだったから急に読みたくなったのだと思う。
    代わりに割ってもらった。
    綺麗じゃない世界が美しく見える、江國さんの文章が好き。
    全てが柔らかくて綺麗な世界に見える素敵なフィルター。
    ずっと思っていたのですが、これ他の作品と少しだけ繋がってますよね。

  • 江國さんの描く、こまごまとした生活の描写がことさら好ましい小説。
    いつもと同じ朝食。カフェオレボウルで飲むミルクティー。身支度の最後に選ばれる眼鏡。
    眼鏡をかけると見とれるくらい色っぽくなるというのに、「眼鏡屋の店員だから眼鏡をかけた方がいいと思って」かけているだけという果歩の投げやりなスタンスに惹かれて、江國作品の中では果歩はかなりお気に入り。ただ、変な男に失恋した傷がずっと癒えない女性という印象もあって、失恋相手にはあまり魅力を感じられなかった。
    失恋の傷がゆっくりと癒えていく様子に、ヒリヒリもするけれど、癒された。

  • 江國さんの小説に出てくる、ちょっとこまったちゃんな女性がとてもすき。
    だから、果歩はとても魅力的だと思った。

    過去に果歩の不倫を責めて、でも現在自分は不倫の恋を真実だと思って幸せに浸っている静枝。わたしは果歩がすきなぶん、静枝をすきになることはできなかった。
    美術室で珈琲を飲むのは、いいなあ。笑

    親友なのに、会うとぴりぴりした雰囲気になるふたり、この関係はよくわからないなぁと思った。

    それよりも中野くん…!
    女性同様、江國さんの小説に出てくる男性にもとてもときめく。
    中野くんに、はやくお嫁にもらってあげないと、と思われたい!笑

  • やはり江國作品は好きだ。

    奇をてらったストーリー展開はないが、日常のなんでもない情景(といっても不倫なのだが)、そのときの心の微妙なヒダがゆったりと丁寧に何層にも描かれている。
    静枝のキャラクターは一貫して静枝だが、果歩はときたま果歩ってこんなことするんだという意外性がこの小説のリズムを作っているのかもしれない。

    何はともあれ、この小説の空気感がたまなく好きだ。

  • 江國さんの本は好きですが、中でもこれが1番好き。
    何回読んだかわからない。カバーがボロボロになっている。

    あとがきに、余分なものしか出てこないお話を書きたかった、みたいなことが書いてありますが、だからこそこんなに美しいお話になったのでしょう。
    これを読むと、世の中はうつくしいものであふれている、という気持ちになります。
    カフェオレボウルで飲む紅茶、明け方、奮発して買ったコート、野球場、こっぽりと湾曲した薄青いコンタクトレンズ…などなど。
    果歩ちゃんが暗唱する、尾形亀之助さんのよくわからない詩も好きです。雨の日はつい、雨はいちんち眼鏡を掛けて…と思ってしまう。

  • 高校生の時に初めて読んで、「よく分からないな」と思い、定期的に読み返していたけれどもそれでもやっぱりよく分からなかった『ホリー・ガーデン』。25歳になって、やっとすとんと心に落ちてきて、好きだなと思えるようになりました。

    中野くんがいい。すごくいい。特に合鍵を返すあたり、そのあとおどけて話すあたり。とても素敵な人物です。中野くんみたいな人が身近にひとりいるだけで、とてもとても救われるんだろうなと思う。悪い考えかもしれないけれど。

  • 物語に進展が感じられず、読むのに時間がかかった。
    江國香織さんのあとがきの、無駄なものが好きという内容で、無駄なものほど豊かで美しいということが共感できて、いいなと感じた。

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著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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