神様のボート (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 1217
  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101339191

感想・レビュー・書評

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  • 夢の中の葉子と現実の草子。
    “骨ごと溶けるような恋”をして葉子みたいに、その気持ちをずっと持続できる人なんて一体どれ位いるんやろう?
    それこそ“箱の中”になる人の方が多いよね。
    葉子の一途さは、少し狂気じみてるけど羨ましく思うアタシも変?(笑)

  • 非常に女性的な作品だと思う。男には絶対書けない女性の情念が淡々とそして見事に描かれている。母と娘が一人称で交互に語る形式を用いて、変われない母親とどんどん成長していく娘の心のすれ違いを描写したのも見事だ。

  • 神様のボートに乗ってしまった母と娘の物語。
    約束と草子をのこして去ってしまった男が、いずれ自分をみつけてくれるまで、みつけてくれると信じて、えんえんと旅を続けている。
    しかたがないのだ。骨ごと溶けるような恋をしてしまったのだから。
    そんな浮世離れした”イカれた”葉子と、少しずつ大きくなっていく娘の草子の視点がこまかく入れ替わる形式で描かれています。
    あの人以外に馴染んではいけないのだ、と思う葉子が頑なに引越しをくりかえすことに、とうとう嫌気がさした中学生の草子。彼女が初めて母親に反抗するところでは涙が出た。
    すっかり手の届かないところにいってしまった娘。それは明確な成長だけれど、胸がつまる。「もう決めたの。」という言葉がどこまでも強く響く。
    それが覆らないことは、母であるからこそかなしいほど分かってしまうものなんだと思う。
    そうして娘は一人先に神様のボートから降りた。

    男に対する葉子の想いは狂気としか言いようがない。
    待ち続ける、というのがどれほど不毛であやふやで気が遠くなるほど先行きのないことか。
    あのラストが現実であるにせよ、葉子がつくりだした幻覚であるにせよ、葉子にとっての幸せであることにはまちがいがないのだと思う。

    ちなみにたしか高校生のとき一度読んだけど、そのときはなんだこの話?程度でなにもつかめなかった覚えがある。
    大人になったんだな、と実感。

  • 【江國香織シリーズ】

    ・必ずお風呂で読みたい作家さん
    ・透き通っていて時間の経過がゆっくり
    (個人的に日常の通勤電車内では読めない作家さん)
    ・必ず最後に少し落ちがある、本当にさりげなく
    (日常をモチーフにした本というカテゴリー内の相対評価)

  • 初めての江國香織。そのおしゃれさにノックアウト笑 90年代に流行ったのがわかる文体、言葉遣い、投げっぱなしな根無し草感。正直ちょっと過ぎた感があって鼻についた。

    恋の熱情にやられて、その相手を探し続け自分の娘まで振り回しながらも、それを運命と決めてさまよう親子。親子というか母親と振り回される娘。ただそんな風に斜に見てしまう思いとは別に、自分自身の幼い体験と強烈にシンクロするところがあってもぞもぞした。

    新興宗教に没入する両親を持つ宗教二世の心がそのまま表されている。二世というか親の心理描写もそのまま重なると思う。人生の中心が完全に恋人になっていて、現在の仕事も、家族の形態も、子供の生き方も、その恋人中心に回らざるを得ない母親・葉子。信仰に没入した親の姿そのままだ。時に子供からの反発があっても、それが私たちの最善だと思わずにはいられない。これは抗えない運命であるし、幸福はその心の向かう特異点にしかないのだ。子供の葛藤に心痛めながらも、いつかはわかってくれると祈るように心を閉じ込めるその姿は信仰そのものである。

    娘・草子の姿も宗教二世そのままだ。抗えない大きな運命を自明で受け入れている。しかし個体としてはそれを受け入れたくない。しかし抗いながらも、母親を苦しめることは、その運命を否定することは「悪」であることをわかっている。だからケンカの後は涙を流し、葉子を傷つける言葉ののちは罪責感が募る。

    このストーリーでは、最後思い人と出会い。暖かく終わる。本当は生活はそこから始まるはずだが、葉子の信仰は出会うことで完全に成就さえてしまっている。草子の気持ちは描かれていない。しかしストーリーとしてはこれで完璧である。


    17.7.1

  • 私が江國香織作品にハマるきっかけになった本。
    ユーミンの真夏の夜の夢を聴きながら読みたい。

  • 女子には読んでほしい作品。
    近くにいるからこそ離れたいと思ってしまう相手。でも離れたら寂しくて心配で…。
    そんな相手が自分にもいることに気づいている人でありたいし、その人を大切にしたい。

  • 昔、ママは、骨ごと溶けるような恋をし、その結果あたしが生まれた。“私の宝物は三つ。ピアノ。あのひと。そしてあなたよ草子"。

    必ず戻るといって消えたパパを待ってママとあたしは引越しを繰り返す。“私はあのひとのいない場所にはなじむわけにいかないの"“神様のボートにのってしまったから"――

    恋愛の静かな狂気に囚われた母葉子と、その傍らで成長していく娘草子の遥かな旅の物語。

    神が合わせわれたものを人が離してはいけない・・・ホントに引き合わせたのが神様ならね。
    人は勝手にそう思い込んだりするものだけど。

    神様のボートに乗っちゃったら・・・それはもう、仕方ないよねぇw

    ママを思う草子の心が切ない。
    でも、こんな母を持ってしまったら、娘は自立するしかないしね。


    終わりの方、桃井先生の家を訪ねたところ。
    衝撃的過ぎて、めまいがした。

    旅がらすのような生き方に憧れはあるけど、私には絶対無理・・・だな。

    それでも、本当に愛し合った人との記憶があれば、ひとりになっても生きていけるような、気はする、かな?w

  • 親の反対を押しきってまで結婚したのに、不道徳な恋をした結果子供を身ごもり、夫と別れ、あげく男にも去られ、子供を連れて放浪の旅を続けるイカれた女と可哀想な娘の話。

    女とその娘それぞれの目線から語られるのは、かつて愛した、いや今でも愛している男のことしか考えられない独りよがりな母と、その母に精神的にがんじがらめにされながら自我を確立していく娘の物語。
    江國香織らしい叙情的な語り口も、イカれた母の目線で語られると途端に胡散臭い。
    たった300ページ足らずの本なのに、何度も投げ出したくなってなかなか読み終わらなかった。
    年末から、子供たちが輝いている作品を立て続けに読んできたからか、母親の母になりきれない(なるつもりもない)「女としての感情」に、私自身が全く寄り添えないからか、今この本を手にした不幸を嘆くしかない。
    かつて恋をした頃にこの本を手にしていたら、もっと切ない気持ちで神様のボートに乗れたのだろうか…考えたところで、それも詮ないこと。

  • だだ何と無く読んでしまいました。馬鹿な女?
    自分に真っ直ぐで、決して真似出来ない生き方。
    あってみたら、16年も離れていても、変わらず愛せるのか?

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著者プロフィール

江國 香織(えくに かおり)
1964年、東京生まれの小説家。1986年、児童文学雑誌『飛ぶ教室』に投稿した「桃子」が入選。2004年、『号泣する準備はできていた』 で、第130回直木賞を受賞。他、山本周五郎賞、中央公論文芸賞、川端康成文学賞、谷崎潤一郎賞など受賞歴多数。代表作として、映画化もされた『きらきらひかる』や『冷静と情熱のあいだ』など。女性のみずみずしい感覚を描く作家として、多くの読者を魅了している。また、小説から絵本から童話、エッセイまで幅広く活躍中。翻訳も手がけている。2019年5月2日、2年ぶりの長編小説『彼女たちの場合は』を刊行。

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